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コラム創造力の根っこ」VoL.21(12/31/2010)

                      鈴木淳平(株式会社ジェダイ代表)

[YouTube]による21世紀の芸術(表現活動)の意味

[YouTube]の定着は、芸術(表現活動)とメディアにとってその世界が大きく変わった、21世紀に相応しい状態になりました。
[YouTube]は、芸術とメディアにとってどんな意味をもたらしたのでしょうか?
インフラも整って今こそ、その効果と影響力の絶大さを理解する時です。
生まれたときからパソコンに慣れ親しんできた〔デジタル・ネイティブ〕世代が20歳を超え、活躍する場の一つである[YouTube]がさらに輝きそうです。

過去の芸術(表現活動)におけるメディアを見直せば、立体物であるオブジェなどの三次元や、楽譜や小説の二次元など複製技術の進歩を必要としていなかった時代から、爆発的な人口の増加にともない必然的に必要になった量産技術である19世紀の英国で興こされた産業革命以降、飛躍的に複製技術は向上し、人間のあくなき好奇心とあいまって新しいメディアが続々と登場してきた歴史を観ることが出来ます。
二次元の平面に時間を閉じ込めた三次元の映像が21世紀にはデジタル化され、言葉の壁を超えた共通言語化されやすい映像と音声によって世界の人々が共有できる仕組みとして[YouTube]があるのです。
クラシック音楽では楽譜そのものがメディアでした、最初は手描きだったものから、「活字」による印刷技術を考案発明したグーテンベルク以降も続く、〈紙媒体〉の時代が、メディアの中心装置としてその地位を築き上げました。
さらにマスメディアの誕生と流れが拡大しましたが、マスメディアはより多くの人にインフルエンスさせる能力があるとされていながら相互のコミュニケーションについては、初期段階から限界が囁かれていました。
一方通行の情報発信にすぎず、視聴率などの量でその効果と影響力を知ることしかできない現状がマスメディアの本質的問題として露呈していたからです。
 メディアの進歩は、グーテンベルクの平面な二次元の〈紙媒体〉の時代をへて、時間を閉じ込めた映像の三次元へと変化し、フィルムや映画館など、アルベール・カーンの時代の動く写真・「活動写真」である映画や映像などへ続きます。
 そこに音を電波に変えた〈波媒体〉のラジオが出現し、まもなく波媒体のテレビ時代に移り変わり波媒体は20世紀のわずか50年を駆け脚で駆け抜け21世紀のデジタル放送の扉を開けたことになります。
時代の要請は、〈紙媒体〉と〈波媒体〉が両立することを望んでいました。
互いに影響しあいながら存続してきたメディアの多様性というべきことです。
各メディアは情報発信元にその採用権と選別権があり、そこに業界の権威が生まれ一部には〔慣習〕のような偏った才能発掘の現場が見え隠れし、不透明な世界を感じる時代であったとする人も多かったようです。
634mのデジタル電波塔の完成後の運用が始まるのを待たずとも、デジタル・テレビ時代へと完全移行される2011年です。
 デジタル・テレビの長所は今まで散々待たされた双方向通信・インタラクティブなところが新しく、マスメディアの未来を予感させてくれます。
「紅白歌合戦」で、その効果は広く一般の視聴者からの電子投票による審査と会場審査を併用し瞬時に結果を出すようにしたことが例としてあげられます。
過去よりは公平にできるようになったことがデジタル化としての良い例です。
〈紙媒体〉から〈波媒体〉へ、そしてデジタルを表す《粒媒体》(まだ誰も言っていません)へと技術の進歩と時代の要請によりメディアのあり方が、どんどん進化し続けていく21世紀です。我々は21世紀に生き、それを享受しているのです。

かつての日本におけるメディア関連のインフラは、20世紀初頭から地域に美術館や劇場風の公会堂が建てられ音楽、演劇、映画、写真展などが次々と開演・開幕・上映・展示、されてきました。
町には映画館が出来き、『ニュー・シネマ・パラダイス』のようにそこでニュース・フィルムが流されていた時代や、行列をつくって『モナリザの微笑』を観に美術館へ行った時代など、数々の芸術に相応しい “箱物”が主流の時代でした。
家に帰ればテレビ放送を「観る」から、「付けている」の、テレビ漬け時代がつい最近までどこの家庭にもあったようです。
20世紀末頃から情報化社会と騒がれるようになり21世紀初頭には、ついにテレビを抜いて飛躍的にデジタル化のインフラ整備であるパソコンとケイタイが、特に若者を中心に普及しインターネットが世界規模で広がりをみせ個人同士がつながり絆を深められるようになった《粒媒体》を先取りしていたのです。
テレビ各局は、《粒媒体》であるデジタル化を追いかけているのが今なのです。
インターネットの貢献と影響力は、『ウィキリークス』のような「真実・事実を開示する」という方法や、個人の情報発信を兼ねたブログにツイッターなどダレデモ・イツデモ・ドコデモ、メディアをもてる環境が備わったことで、テレビ局のコンテンツ不足の解消を投稿映像によって補う、その量の多さからも証明されています。

[YouTube]によって芸術家・表現者のだれでもが簡単に、だれの助けをかりることもなく確実にデビュー出来る時代になったのです。
プロと素人の境目のない世界が、《粒媒体》によってもたらされました。
年を重ねた各専門家の多くは新しい価値観と情報のアップ・デートができずに苦労しています。
[YouTube]からデビューしようとするプロを意識した世界中の若き芸術家や、表現者の卵があの手この手と「創造力の根っこ」に養分を送り、自己を高め、表現力を磨き、多くの人に感動を届けたい、認められたいという思いを表現物にぶつけ投稿しています。
そこに[YouTube]の存在理由と意味と価値があるのです。








  

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