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コラム創造力の根っこ」VoL.27(07/02/2011)

                                鈴木淳平

マンガ家の前に発想を

マンガ家を志す人が増えています。
〔職業・分野・業界〕を先に決めることを優先させる義務教育からの風習が、〔型〕を先に決めてから表現・創作活動に入るので、やがて発想やアイディアが枯渇しスランプにおちいりやすいと感じることになります。
なりたいがため、型にはまった表現活動を自らに強いるのが原因です。
〔職業・分野・業界〕を決めて表現活動に入るのでは、本来アベコベでは・・・。

小学生の作文で「将来なりたい職業」とあれば、「芸術家」、「表現者」と書くよりは、「マンガ家」と書くほうが受けもよく分りやすくクラスメイトからも好感度大で、ノートにちょっと走り描きしたマンガを見せれば喜んで納得してくれます。その子のオリジナリティで描かれていればなおさら、クラスの人氣者になれます。

マンガ家になる前に、この小学生のように表現者自身が脳の中で起こした化学変化の〔感動〕を〔自分らしさ〕に置き換える、創造力の根っこに芽ばえた、発想・発意・創意のオリジナリティある走り描きができれば、すでに表現者として、マンガ家としての、準備は整い次から次と湧き出るように創作活動に勤しめます。
鑑賞者が対価してくれるようになれば立派なマンガ家と言えます。

〔職業・分野・業界〕などのジャンルにこだわるのは、上から目線と変わらない目の前のものを過去の経験に当てはめようとする習慣がしみこんでいます。
大きな時代の変化を感じ取り、取り入れる表現者が増えている時に、過去の経験を参考に語ることは、新奇性や斬新さを削いでしまうのが世の常です。
電子技術の発達でコンピューターの世界が、一般化し〔型〕にはまった表現以外の活動が世界的になっています、マンガ家としても見逃せないツールです。

目的と手段
どんな道具、ツールやソフトを使って表現するかは、手段です。
目的である、何を表現するかが大事なことは誰でもが認めるところです。
専門知識や技能を磨くことも怠ってはなりませんが、先にマンガ家になろうと決めるのは、あまりお薦めできません。
模倣からか、似たタッチで表現しているマンガ・アニメが花盛りです。
キャラクターたちの髪の毛のハイライトだけを観て、どのキャラクターか、言い当てられるのは相当のマンガ・アニメ好きです。
それを知っていることで、同じように描けることで、マンガ家にはなれません。

マンガ家になるには、出版社に採用される方法が登竜門で定着していました。
出版社側のマンガ家採用者になったつもりで、全国からマンガ家になりたいマンガ家の卵たちから送られてくる作品の郵便の封を切るなり、小声か、ため息で「またか、どれも同じだぁ」と食傷気味のゲップならぬ、絶句が開口一番です。
別の方法は、年に2回東京で開催される《コミック・マーケット》通称コミケで、同人誌のマンガ家の卵が、町の印刷屋さんと組んで大成功を収めるケースがあります。(日本各地でイベントが開催されています)
コミケのイベントは、3日間の推定来場者数は30万人から50万人とも言われているほど盛況な催しで、入場者全員が同じコンテンツを買ってくれたらそれだけで、売れっ子マンガ家を自負できます。
コミケからデビューして成功した有名マンガ家も存在しますので、大手出版社に投稿するよりも近道かもしれません。
残る方法は、最先端で話題のインターネットのYouTubeなどに投稿するのが規模や観る側も国を超え国際的で、名を馳せる可能性もありコンテンツ次第です。(【著作権】の問題をクリアする独自の自己防衛努力は欠かせません。)
あえて手段としたのは、目的を大手出版社、コミケ、YouTubeに掲載するのはゴールではなくスタートの位置に着いただけで、それはあくまでも手段なのです。目的は、コンテンツです、表現したいものが何かです。

表現したいオリジナルのイメージがあって、表現する手段が、浮かび上がらず悩む方が本来の創作活動、表現活動にとってつき物の〔悩み〕として問題解決と同じで悩みがいがあり、極めることにつながると思います。

マンガが好きだからマンガ家になりたい、それも悪いことではありません。
大手出版社に採用されれば、マンガ家として、成功の門が開かれます。
コミケは、大手出版社に採用されるよりも早くマンガ家への登竜門をくぐれます。自腹を切って印刷費用を出した分、売れ行きもすぐ判り身近です。
コンピューターを使った表現活動なら新しい表現で世界的に有名になるチャンスがあります。
大手出版社よりもコミケよりも、中間が無い分より直接的な評価が期待できます。いずれにせよ、どの手段を取ってもあるいは採用されても、自分のオリジナリティを大切にし、自信をもって自分が表現したい手段を自分で探し出し活用し、直接、読者に評価してもらうことで、きっと道は開かれ未来が明るく照らし出されたと想えるはずです。
自身の創造力の根っこから湧き出た発想・発意・創意のオリジナリティを大切にすることこそ自己完結型の最高の満足感を味わえるマンガ家といえそうです。
それを味わえるのは目的と手段をハッキリと使い分けられるマンガ家を目指すことでやがて、〔世界的に有名なマンガ家〕と言われるようになるかもしれません。