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コラム「創造力の根っこ」VoL.35(3/2/2012)

「キャラクター・ビジネス−1」                  鈴木淳平

 634(ムサシ)メートルある東京スカイツリー、5月22日の開業にむけ〈マスコット〉の「おしなりくん」、「シラコバト」と「バトン」をつなげた「コバトン」のキグルミ(着ぐるみ)とともにテレビなどで露出のピークを迎えています。マンガ・アニメから派生したキャラクターは、日本が誇るポップ・カルチャー。

おしなりくん、コバトンのマスコットとは別に「東京タワー」のマスコットキャラクター「ノッポンくん」が公式ブログ上で誕生をお祝いしている東京スカイツリーの公式キャラクターで片足を上げてポーズを取る仕草の「ソラカラ」ちゃん。多くのキャラクターが次から次へと、とどまることを知らず、ソーシャル・ネットワーク・ゲームやネットで産声をあげるキャラクターも含めれば年間数十万のキャラクターが日本に誕生しては消えています。

平城遷都1300年記念の公式マスコットキャラクターとして2011年より奈良県のマスコットキャラクターに採用された、鹿の角が生えた童子の姿の〈せんとくん〉などは、賛否両論を巻き起こしながら定着したかのように観られ始め、最近、注目の〔ゆるキャラ〕の代表例の一つになっています。日本全国どこを見ても〔ゆるキャラ〕ばかりで見ない日はないくらいです。

キャラクターとは?
 
宣伝分野で古くから使用され、マスメディアを告知の手段として使用することで消費者への認知度を上げ、企業イメージ、商品イメージをインフルエンスさせる独創的なヴィジュアルであるアイキャッチ・マスコット・C.Iなどにも採用されるマスコミ・キャラクターは、縮めてマスキャラと言われようになりました。
戦後の団塊世代から受け継がれたポップ・カルチャーとして老若男女、誰にでも親しみをもってもらえたマンガ・アニメの主人公たちを初期段階で多用したことでキャラクター・ビジネスは生まれその地位を築き上げました。
 20世紀末からパソコン、ケイタイなどの電子化が進みメディアの在り方が問われ、変わる中で増殖が加速しインターネット、YouTube、SNSなど多様性に富み多岐にわたったキャラクターの全貌を知ることは困難と想えるくらい細分化し、何十万ものキャラクターが生まれては消えているのが現状です。
 マンガ・アニメから飛び出し芸能人やスポーツ選手が商品告知や提供するCMと肩を並べ、むしろそれ以上に露出しているキャラクターです。
各企業と広告代理店によって使用されたキャラクターは、独り歩きを始め今やあらゆる業界で親しみと期待されるようになりました。
 完成度〔らしさ〕を活かしたCGによって誕生したオリジナリティあふれるキャラクター映像が本物か作り物かその差を氣付かないくらいのキャラクターもあり、何のCMだったか?かえって観たあとにキャラクターは観覚えても、企業や商品の記憶がないという人も増えていそうなくらい氾濫しすぎているようにも想えます。

キャラクターの三要素

 キャラクターは、人間と同じで名前、体格、人格を有するヴァーチャルな存在
1、 絵=ヴィジュアル=独創的個性の存在感
 
キャラクターは、らしさ、意外性、類似がない独創的な個性と、目立つ、親しみやすい、どことなく記憶に残る存在感を視覚的に判別できる体格と同じで、ヴィジュアルに工夫がされ特許の意匠権で権利保護される以前に、版権として権利が成立します。(現在、版権は、著作権と表現されるようになりました)
動物も植物も人間も、個性的なものはキャラクターといわれるゆえんです。

2、 名=ネーミング=創作固有名詞、名は体を表す。
 
キャラクターは、それにあった、似合った名前が必要で、ネーミングは特許の商標権としても権利保護されます。類似したものと明らかに違いが分かる識別、次に観たときも同じものと認識できるように名前も工夫されています。
例外を除き生涯、改名できない人間と同じで生まれたからには最期まで上手に長く付き合うのがキャラクターの成長に欠かせないネーミングなのです。

3、中身=コンテンツ=内容、世界観が認知度と持続性の秘訣
 
キャラクターは、すでにマンガ連載で人氣を博し、数値化された視聴率でその人氣を知ることができるアニメなど継続していることで人氣度を知ることができます。言い換えればコンテンツ、内容が面白いということになります。
中身が伴わなければ名や絵がよくても長続きしないのは人間になぞらえても分かる通りです。

 今やキャラクターは、マンガ連載、アニメに限らずプライベートブランドとしてオリジナルなキャラクターが作られたり、ネットでオリジナルなヴィジュアル表現されれば、すでにキャラクターとして認知されますが、それだけでは自己満足の世界と変わらず対象となる受け手側の感動の共有とインフルエンスなしには〔立たない〕のです。(業界的言い方で「キャラクターが立つ、立たない」と言っています)
多様性に富んだキャラクター・ビジネスは百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の時代にあります。(一方で、興味を示さない人も存在する多様性の時代です)

ブランディング・ビジネス
 
キャラクター・ビジネスは、日本的ブランディング・ビジネスの成功事例でもあります。キャラクターを使用することでその人氣に〔あやかろう〕とする、あるいは相乗効果を期待した一連の事業は、消費者にも認知されやすく安心感と親しみをもたれるからです。
権利保有者と権利使用者との間で行われる摺合せと許諾作業により品質が保たれる仕組みでキャラクター・ビジネスは、ブランディング・ビジネスとしてくくることもできるのです。






























C.I=Corporate Identity一元的に視覚情報を統一して消費者などが認知しやすくなるおようにすることで企業価値上げることにつながる