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コラム「創造力の根っこ」VoL.36(4/01/2012)

「キャラクター・ビジネス−2」                  鈴木淳平

 キャラクター・ビジネスの業界用語は、版権(著作権)、版権(著作権)使用契約書、版権許諾申請書、ライセンサー、ライセンシー、アプローバル、料率(ロイヤリティ)、証紙など業務進行するうえで必要知識です。

キャラクター・ビジネスの究極は、原作の登場キャラクターやアクセサリー、主題曲などオリジナルに近いほど、コレクションしたいファン・消費者は多く、どんなに良いキャラクター商品企画でもオリジナルに勝るものはなく、かないません。
一点物の絵画を独り占めコレクションするような満足感とよく似ています。

キャラクター・ビジネスは、情報発信側の意図と、受け手側の感受性とが共鳴し、新たな化学変化を起こし独り歩きするほどまでに発展拡大をとげようになり、必ずしも数式のような成功法則は、存在しません。
(GRPを意図的に増やすテレビ宣伝が、キャラクター・ビジネスを成立させるうえで重要であると想われながら必ずしも有効な手段とは限りません)

情報発信側の原作者は、想像力の根っこにたっぷりと養分をおくりオリジナリティあふれ斬新で魅力あるコンテンツを創造しファンを魅了し続けることを心がけなければなりません。
その時代のメディアに融合させ常に情報発信を繰り返す義務を負います。
その自覚がなければキャラクター・ビジネスを継続することは困難です。
次から次へと流行を追うように新しいキャラクターが生まれては消える過当競争のビジネスともいえます。

ファッション業界を例にとれば、世界的なファッションブランドの独自性は、デザイナーの名を冠(かんむり)に、そのデザイナー〔らしさ〕が表現された商品の売り上げが人氣のバロメーターとなり結果、そのブランドが維持される仕組みです。
 常に流行を意識し試行錯誤が繰り返され新しいデザイン商品を供給し続け、同時に業界をリードし続けたい欲望と宿命と使命にも似た営みを繰り返し、その築いた地位を保持し続ける労力と苦悩を商品に垣間見ることができます。

 たった独りのデザイナーの力では、19世紀の産業革命以降の大量生産、大量消費を支え、消化させるには世界人口の爆発的な増加に伴い困難を極め、同じものを欲しがる、あるいはそのデザイナーの商品を買い続け揃えたい人々、全員を満足させることは容易なことではなくなりました。
キャラクター・ビジネスにも同じことが言えます。
独りのデザイナーの仕事を分業化させることでそれぞれに担当を設け事業の効率化をはかる会社組織や事業体が生まれ〔異才能創造集団〕によるブランド維持のための仕組みが必然的にキャラクター・ビジネスになりました。

キャラクター・ビジネスの流れと用語
版権(著作権)
マンガに限らず創造物すべてに権利が発生するのが基本です。
創造物を創作した情報発信側が単に創作しただけでは公知になりません。
その創作物が社会一般の多くの人がどのように知るようになったかが重要です。
認知されるには、メディアを通すことが基本になります。
メディアの在り方が変わった21世紀、新聞、雑誌、テレビだけではなく多様性に富んだコンピュータ、インターネット、YouTubeなど無限と想えるほど創造物をデビューさせる手段は多岐にわたるようになりました。
特許と同じで〔先願制(せんがんせい)〕が基本で、権利保護の意味からも誰よりも早くオリジナリティある完成度の高いコンテンツを広めることが求められます。

19世紀の画家と画商の関係に似て、マンガ家と出版社担当が二人三脚で読者アンケートを頼りに読者の心をわしづかみにしようと試行錯誤しています。
結果、発行部数が増えることでその人氣を推しはかることが出来ます。
テレビで言えば視聴率、インターネットのブログなどのページビュー数も同じで確認することが出来、その公知の事実が大きな動きとなることを予見しキャラクターの二次利用ともいうべきキャラクター・ビジネスへと広がっていきます。

ライセンサー〔licenser
キャラクター、ブランドの創造者側、情報発信側によって告知、認知され、コンテンツ(創造物)の権利保護されたものを版権(著作権:copyright:ライセンス(license(ce))といい、その権利者、保持者・コンテンツ・ホルダーともいわれる立場の原作者や共同作業した集団、企業などをいいます。

ライセンシー〔licensee(cee)
キャラクター、ブランドの版権(著作権)使用契約を申し込む側で、コンテンツ・ライセンスを自社商品に使用することで売り上げを伸ばそうとする企業や事業体側をいいます。

ロイヤリティ〔royalty
〔版権許諾(ライセンス契約)〕で最も重要視されるのは、経済性(契約金や料率:ロイヤリティ:royalty(版権使用料・印税・著作権、特許権使用料)に他なりません。

ロイヤリティ契約には契約金(申請販売価格や流通卸価格などに料率と最低保障数を掛けた金額)がライセンサーとライセンシーの両者で決められますが、大概はライセンサー側がハードルを設けているのが現状で契約成立時に支払われます。
商品化され販売消費され、追加生産で契約数を超えた時からのリピートロット数と価格に料率を掛け算した合計金額の追加ロイヤリティをその都度、支払う義務を負う契約がほとんどです。(つづく)