「キャラクター・ビジネス−3」 鈴木淳平
個人・企業が創造したすべての創造物・ことは、著作権が成立します。
著作権は、経済的(金銭的)な商取引のテーブルに乗る機会が増えています。
もしそれを無断使用すれば、盗用すれば、著作権を侵害し、信用やモラルなどを重んじる〔商道徳破り〕として著作権者や社会の記憶に刻まれ商取引対象から除外されると同時に、現実的に損害賠償問題に発展し多額の賠償金を支払う責務を負うことにもなります。
〔創造こと〕は、知的財産権の特許4権(特許う・実用新案・意匠・商標)とは別に〔ビジネスの特許(ビジネス特許)〕に当たり一般的には、ビジネス・モデルです。社会で生きる仕組みの大前提として規範・道徳・人間性を本質にもちながら、〔約束〕を交わすことによってビジネスに活かし信頼と友好を深めることが最も大切です。そのために契約(約束事)が重要になります。
その前に、個人でもできる最低限の権利保護をしましょう。
どうすれば自分が発案したものを権利保護できるか?
〔井戸掘りと、湧き出る水を飲む人は別人〕に喩えられる話になりかねません。
汗流し発案しあるいはアイディアを出す企画が井戸を掘った人とすれば、そこから湧き出る水が商品となり儲ける人は他人、別会社であることが日常茶飯事、日本社会では当たり前のように横行している現実があります。
井戸を掘った人への敬意があるはずもありません。
儲けた側は自分の権利として固く口を閉ざしたままトボケルのです。
自分が先に案を出していたと口頭でいうより、他人に故意に真似された時、客観的な裏付け、証拠を第三者が判断できるように書面をみせられれば正当な判断を下してもらえることが出来ます。
〈確定日付〉取得を
公証役場(意外に近い所にあります)で「確定日付」をとることです。(欄外参照)個人の思いつき、アイディアを第三者が日付と共に認識したことになり、特許申請以前のアイディア段階のメモ、スケッチ、文書などを書面にし〔袋とじ〕に押印して公証役場側の確認印をもらえば客観的な証拠になります。
中には「それほどの効力はない」という専門家もいますが、特許では先に出願した方を優先する「先願制」なので万が一、他人に情報をリークされ自分よりも先に他人が特許出願した時など、不正競争防止などの異議申し立ての際に有効な書類であることは間違いありません。
イラスト・マンガ・キャラクタ―などの著作権についても同じことが言えます。 確定日付取得費用は、公証役場に700円(随時法改正の確認必要)を払えば、第三者(公的機関)が認識した書類になります。
1か月単位、区切りのよいところで確定日付を取ることでスッキリもします。
袋とじ内の各頁に日付を個別に記入すれば、より手堅い防衛手段になります。
確定日付を取得した上で他人、他社と最初に取り交わす約束事があります。
NDA
キャラクター・ビジネスでは、新作の映画、アニメなど製作費が膨大になり一企業では負担増の現状から多数の企業出資を誘致した製作委員会がハヤリです。
製作が企画段階、企業間で企画情報を関係者に開示する必要がある時など、外部に口外無用で進行するために、お互いに約束を取り交わし守る契約が必要になります。その一定の効果をだしているのがNDAです。
NDA(守秘義務契約・秘密保持契約)を事前に結ぶ商慣習のことです。
NDAは、まさしく知り合い同士での口約束を文書化し、互いにその秘密を守る約束書類ですが、違反条項などが文言(もんごん)に織り込まれ国内であれば日本の法律に照らし合わせ所轄の裁判所にゆだねることまで明記されます。
個人同士の場合は、感情問題で済まされるケースが多いのですが、特に企画などのアイディアや授業などで創作された学生の案を無断で盗用するケースなどあってはならないことです。
企業間で最初にとり交わされるNDAの重要度は、情報開示も含め、相手の実力、業績や企業戦略戦術・姿勢など一歩踏み込んだ公知でない情報の扱いについて相手に情報を与えることになります。
個人では〔個人情報保護法〕が法整備され個人の許可なしにその個人情報を取得することは違法とされています。
個人も企業も法律によって権利保護、権利と義務を負う法治国家の体裁が整ってきた日本国です。
想像力の根っこを働かせ正常な人格者として、発意・アイディア・企画を重んじる風土を日本社会、全体で認識し人の創造するエネルギーを正しい方向で使用しないと風化するように徐々に社会全体が蝕まれ戦後の物真似の得意な日本・日本企業などの言葉が復活する可能性が増すことを忘れてはなりません。
発案者は自己防衛努力を惜しみなくする必要が当分は続きそうです。
(つづく)