「キャラクター・ビジネス−4」 鈴木淳平
消費者、各世代を網羅し、ほとんどの産業で商品・サービスなどに競合他社との区別、独自性、優位性をもたせる手段として前面に出されるキャラクターは、商品化の迅速な意思決定、売上げ向上に貢献しています。
キャラクターを新商品投入、販路拡大、売上げ活性化など、〔形容詞的〕に活用しながら期待を裏切らない効果をあげているからです。
〔形容詞的〕とは、消費者に対し商品の機能や価値をアピールするより別次元で魅力、分かりやすさ、親しみやすさなど、キャラクターを使用することで〔らしさ〕が助長され、印象をよくし特長ある商品に見えるようになるからです。
商品・提供サービスとは別に、企業が独自に創作しCMなどで露出させたキャラクターが人氣になり〔独り歩き〕すればこれもキャラクター・ビジネスです。
日本において、〔B to C:Business to Consumer (消費者向けビジネス)]の大きな柱の一つまで成長したキャラクター・ビジネスです。
権利保護の仕組みがこの30年(1980年代〜現在)に確立したといえます。
著作権契約の役割がますます重要になってきています。
著作権(版権)契約前に商品化できる可能性があるか版権元にお伺いを立てる著作権利用商品化許諾申請書の提出と同時にプレゼンテーションをします。
プレゼンテーションが重要です
契約の前に、版権元への著作権利用商品化許諾申請書と企画書、試作などでのプレゼンテーションをします。
ライセンサーは、より多くのロイヤリティ収入を望み、
ライセンシーは、より少ないロイヤリティ支払いであればと望むものです。
似たような商材や想定される他社競合がある場合、先願制の特許と異なり、対価額(契約で得れる利益)、人間関係や企業間の力関係が多大に影響、作用する場合もありますが、重要なのは商品的に優れていることをしっかりとプレゼンすることです。
著作権(版権)契約
日本の法整備は、昭和45年1970年からの〔著作権法〕で網羅されています。
著作についての約束事を当事者同士で取り決め書類にして互いに保管しその条項による権利と義務、要求と対応を守ることを約束するものです。
ネットなどにあげる著作に関しては、国際的に遅れを取っているようです。
契約事項は、ライセンサー側がフォーマット化しています。
・契約する著作権の使用範囲(商材として多岐にわたるケースが増えています)
・契約の対価(金額や場合によっては現物というケースあります)
・契約期間(日本では1年が基本ですが3年など長いほうが好まれます)
・商品サンプル数(著作権者へ現物見本を無償提供)
・契約違反に対する範囲・規定・責任・報告義務など様々です。
契約金とロイヤリティ(料率)
契約金は、アドヴァンス(Advance:前払い金・手付金)として契約生産販売数に料率を掛けた金額を契約成立時に支払います。(一例として)
料率(ロイヤリティ)は、上代や下代(流通卸売価格)にパーセント指定されます。テレビアニメなどは上代3%が基本でしたが近年上がる傾向にあります。
理由と(コピーライト)表示に〔・・・製作委員会〕が増えているからです。
製作委員会は、出資額に応じたリターン(著作権使用料やDVD化などで得られる二次利用対価)を想定する投資目的で参加する企業・団体を表記せず簡素化して表記できるようにしたものです。
著作権管理を専門とする会社では、契約から商品化までの流れがフォーマット化され契約書も整備され作業を円滑に進めるノウハウが蓄積されています。
一方で著作権とは縁のなかった会社・人間が創造した著作に、著作権契約を求める場合、著作権管理などしたことのない会社・個人は戸惑うことも多く業務も煩雑になり専門にしている会社との差は明白です。
商品化許諾
キャラクターの最大の強みである〔らしさ〕が、プレゼンされた企画に表現されているか、あるいはそのキャラクター〔らしさ〕と合致しているか、キャラクターに対するマイナス・イメージはないかなど吟味し、マンガ家本人も許諾作業に参加して商品化許諾(approval:アプルーヴァル=アプローバル)の判断を下します。
著作権利用商品化許諾申請書や著作権契約書などを管理、事務手続きをする部署を版権(著作権)窓口といっています。
証紙(コピーライト表記)
著作権者に正式に許諾を受けた証明として、正確な生産数の確認の意味合いも含め、また偽物販売防止の役割も担い商品のパッケージなどに1cm程度の主に四角い紙が貼られます。これを証紙と言っています。
版権元に申請した生産数に応じて発行される〔お金と変わらない〕証紙です。
証紙も偽造されるケースがありフォログラムを使用したものや生産数が膨大で証紙の代わりに著作権許諾番号?(コピーライト表記)表記は重要です。
一例をあげてきましたが業界や各企業によって呼び名は様々です。
キャラクター・ビジネスの契約の重要性と流れをつかめればと想います。
自作の著作物でライセンサーになりたければ学ぶ必要のなる約束事です。
ライセンシー側の就職先なら、ある程度は知っておくべき著作権と契約です。
著作権契約で得られる収入は苦労して作り上げた創作物・ことへの正当な対価である印税です。(ロイヤリティ収入)
チャンスに感じられれば、想像力の根っこに養分が流れ始めています。