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コラム「創造力の根っこ」VoL.46(01/02/2013)

RPG・ゲーム時代−2−1                       鈴木淳平


「この世は舞台なり、誰もが一役、演じなければならぬ」、と16,7世紀の劇作家の名言に、20世紀はRPG(ロール・プレイング・ゲーム)による〔ヴァーチャル・リアリティ・仮想現実〕の世界を行き来する人々でにぎわい、21世紀にRPGで育った人々が世の中を動かしはじめました。

冒頭の名言・台詞は、映画『ライフ・イズ・ミラクル』(2004年制作・セルビア映画)で引用され蘇った実在したか物議をかもした英国劇作家のシェイクスピアの和訳名言です。あえて〔実在したか〕としたのは、20世紀をまたぐ近年欧米でシェイクスピアが実在したかがミステリアスな話題となり、ローランド・エメリッヒ映画監督が、シェイクスピア別人説として『作者不詳』(Anonymous・アノニマス,2011年公開)を映画化されました。日本では一般教養的にシェイクスピアを崇拝する演劇界やマスメディアの配慮もあってか?一般公開は1年後の2012年に、『もうひとりのシェイクスピア』として東京有楽町で単館上演されたようです。
 寄り道ですが映画『ライフ・イズ・ミラクル』(原題:セルビア語・Живот ?е чудо、英語:Life Is a Miracle)製作・監督・脚本・作曲を手掛けたエミール・クストリッツァ監督は〔独り何役もこなす:マルチ・プレイヤー〕多才ぶりを魅せつけています。なかでも音楽は日本でインスパイア・トリビュート・オマージュされたのか〔似た〕楽曲をCMの効果音楽に使用していた時期もありました。

2011年は、日本にとって世界にとって忘れることのできない年になりましたが、復興が遅れている東日本大震災の被災地と被災者・人間の時間軸を超え傷が癒えない福島原発人災事故が起きる2ヶ月前、年の初めに〔アラブの春〕としてソーシャル・ネットワークなどによる〔ネットによる革命〕が世界を驚かせた年でもありました。その火付け役となったのが〔アノニマス・Anonymous〕です。
アノニマスは、コミック原作の映画『Vフォー・ヴェンデッタ』(V for Vendetta、2005年製作、アメリカ・イギリス・ドイツ合作映画)で、17世紀の英国で〔ガン・パウダー事件〕として”国家転覆”を企てたガイ・フォークスをリスペクトした主人公”V”がガイ・フォークス・マスクをして現代によみがえり、圧倒的多数の一般市民に同じマスクを配り、英国のシンボルが爆破させるのを見届けさせるという筋書きに触発されたのではと想え、アラブ地域に自由をもたらそうとネットを利用し動き出した革命集団と言われています。〔笑みを浮かべた〕ガイ・フォークス・マスクは、現在でもガイ・フォークスデーとして同じマスクをかぶり祝う祭りが毎年11月5日に引き継がれています。

偶然でしょうか、シェイクスピアの16,7世紀、ガイ・フォークスが権力に屈した17世紀、同じ1世紀の間に「この世は舞台なり、誰もが一役、演じなければならぬ」が『お気に召すまま』の舞台で演じられ、映画『Vフォー・ヴェンデッタ』で『スター・ウォーズ』のアミダラ姫を演じたナタリー・ポートマンに「政治家はウソを語り 作家はウソで真実を語る(artists used lies to tell the truth  while politicisns used then to cover the truth up)」と言わせました。
「物語は真実をあばき、現実はウソを隠す」と解釈するならばこの世は、ヴァーチャル・リアリティ(virtual・reality)の世界の方が良いのかもしれません。
映画『Vフォー・ヴェンデッタ』でガイ・フォークスが語った〔アイディア:Idea〕は、〔理念〕と訳され、想像力の根っこから化学変化で〔自発〕するアイディア・理念に制限や重圧、乗り越えられない壁はないと説きました。前向き・ポジティブな発想・〔アイディア:Idea:理念〕が最も重要な価値を決めるものと自覚します。

RPGは、まさしく理念を現実に生きる我々に可能性を魅させてくれます。
『ドラキュラゲーム』や『おばけ屋敷ゲーム』で偶然に頼らない自分の意思・理念で駒を進める能動・主体性をゲーム化したことが日本においてRPGが流行る大きな可能性を示唆し、礎になり素地・環境を整えたとも言えそうです。
同時期に米国で生まれた〔ゲームマスター〕を介し双方向コミュニケーションによるゲーム世界の仮想現実をより豊かに味わえ、感情移入する〔なりきる〕ことの楽しさを多くの人が支持し、ロール:role・劇の役を、プレイング:playing・演じる、ゲームgameすると訳されるのがRPGです。
RPGは、非日常と現実の境目を取り払ったともいえるかもしれません。

ヴァーチャル・リアリティをより身近な世界にし「この世は舞台なり、誰もが一役、演じなければならぬ」をRPGは、現実のものとしてゲーム世代の圧倒的な支持を受け飛躍的な進化を遂げました。誰もが気軽にRPGを楽しみ育ち、21世紀に大人となった彼等、彼女らが社会を動かすまでに時代は大きく変わりました。
世界中にガイ・フォークスのマスクをかぶるかのように仮想現実とこの世の境目の垣根がRPGによって取り除かれ、世界を変える原動力になった、という見方もできそうです。17世紀から3世紀が過ぎた現代に演劇や映画などの一方通行の仮想現実からから双方向コミュニケーションの共有型仮想現実が主流になったのも人類の進歩、文化の発展と言えると思います。

成功法則を身近にしたRPG
仮想現実で自身の夢を先にシミュレーションし現実の世界で実行すれば夢は、かなりの精度で叶えられるということです。
まずは、「想像してごらん:imagine」を一歩前に足を踏み出させるRPGともいえます。脳の中で芽生えた〔自発〕の夢を、共通言語化する必要からヴィジュアル化が必然となるように、多くの人と夢の共有を可能にしたのがRPGです。
「夢を叶える」の叶えるは、〔口に十〕と解釈し、夢を口で十回(願掛けと同じでたくさんの意)唱えれば脳に刷り込まれ実現に向かい、自分の夢を十人に相談すれば十人の口から問題点を指摘され出そろい解決に努力すれば、その2つを実行することで夢は叶う(前述)、ということです。(RPGの限界に続く)