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コラム「創造力の根っこ」VoL.51

クラウドソーシングに「機をみて敏」                
                                  鈴木淳平

「2020年までに労働者の3分の1が、ネットを介して働くようになるでしょう」(注)
国際舞台で活躍できるクラウドソーシングの時代がやってきました。
働きたい人は、自虐的なガラパゴス・ジャパンの日本語しか話せない現状を改善し世界を相手に自宅に居ながらにして仕事が出来る時代がやってきました。

1980年代から90年代初頭にバブル期があり、仕事の仕方が大きく変わるかもしれない未来像を先取りした例えで避暑地の軽井沢に居ながらにして通勤時間を氣にせず仕事・業務をこなし、終われば優雅なリゾートライフを満喫できるという夢のような話がもてはやされたことを憶い出しました。
今とは大違いで大きく重い携帯電話が出始め一般化するには高額すぎ一部の人しか持てず、もっぱら主流は固定電話とファクシミリ(FAX)、それに電卓と紙と筆記具があれば、わざわざ会社に出勤しなくてもかなりの業務をこなせると多くの〔仕事ができる人〕は想っていた時代から、現実になったと感じる現在です。
まだテクノロジーが追い付かずヴィジョンだけが先行していた20世紀末でした。
その後バブルは、はじけ21世紀に入ってすぐのITバブルもはじけ、景気は後退を重ね20年間を経てパソコンの普及と共にインターネットによるクラウドソーシングが花開く現在なのです。

 「8年前のサービス開始以来、登録した働き手は世界160カ国に広がりました。世界のクラウドソーシングの市場も急成長を続け、売上は既に1000億円を突破しています」(米国oDeskの事務所を映しだしながらのナレーション:注2)
国内では、業界最大手のクラウドワークスが〔仕事依頼総額18億円、1年で800%成長、成長率No.1(単月の契約金額ベース)とサイトで発表しています。
米国発世界規模と日本国内の単純な売り上げの比較だけでも差が分かります。
クラウドソーシングのウィキペディアでは、米中日の35社が名を連ねています。
急速に拡大しているクラウドソーシングだからNHKも取材放送したのでしょう。

〔創造力を発揮したい人〕は、人脈やコネなどの利用に加えインターネットのクラウドソーシングを利用し地球規模で仕事が受注できるようになり、まさに多様性の時代らしく新たな選択肢を増やし、やる氣が倍増していることと想います。
地球規模でコラボできる世界規模の〔異才能集団〕として創造者・デザイナーも活躍できる舞台と環境が整たことでチャンスと判断する人も増え、既に多くの人が実績を上げているようにも感じます。(まだの人は乗り遅れないで機敏に!)
期待が膨らむ一方、語学力を克服し実力本位・真剣勝負の時代と想います。

問題は語学力(英語あるいは中国語)
デザインを学ぶ学生や現役のデザイナーで英会話に長けている人がどれくらいいるか資料は皆無ですが、インターネットでは翻訳ソフトを使い世界中とつながることも可能です。(世界中でネット・ゲームが先行したおかげかもしれません)
世界共通語の英語・米語を話せるデザイナー、工業デザイナーならクラウドソーシングで世界とつながり、家に居ながら仕事ができる環境を手に入れられるようになったと実感しているはずです。日本の学生、若い社会人は、日本語での人脈・ネットワークつくりに熱心で、リアルな会話より日常のガラケー・スマホの日本語メールが国際的な活躍の場を縁遠くし、妨げだと感じるべきかもしれません。
デザイナーであることの強み
朗報はデザインを勉強し実践している人ならば、言葉よりもヴィジュアル、ヴィジュアルよりも実物(現物・物)と、何よりも説得力があることを知っています。
仮に英語圏でない世界の工場と超消費国になった中国で、中国語が話せず片言の英会話とデザイン・図面・試作などを見せ打ち合わせをすれば意思疎通は、かなりはかどる体験ができ実感すると想います。(メールに添付も同じです)
英語に限らず中国語の一例では世代交代した中国国家主席の習近平をニュースで〔しゅうきんぺい〕と発音していますが、日本国内でしか通用しません。
英語圏の方がより中国語を理解し会話できるように合理的配慮をしています。
習近平を【シー・ジンピン:Xi Jinping】と、中国語として覚えやすく国際社会で通用することを念頭においた配慮と親切心が日本のマスコミに必要です。

日本国内のクラウドソーシング
英語を話せなくても日本国内だけでクラウドソーシングを利用し頑張って仕事を得て生活できそうと、〔直観〕がはたらき可能性を信じる人も増えていそうです。
役割分担も対価もハッキリと透明性ある〔仕事革命〕をクラウドソーシングがもたらし、大都会に住まなくても、自身が選んだ環境で自給自足の生活を営み、空いた時間、クラウドソーシングで収入を得るチャンスを手にでき暮らせるからです。(ただし高競争率のコンペが主流なので受注は実力と運が決め手です)

クラウドソーシングに機敏にチャレンジする価値
学生ならばクラウドソーシングにチャレンジし、対価する真剣勝負で実力と運試しをするのも、社会的な評価も、直接受けられる良い機会と期待できます。
デザイン発注者と受注者の間に、権威も評論家もコネも介在することなく発注者側の意思決定でデザインが採用されるクラウドソーシングのビジネスモデル(ネット運営中間手数料有り)は、受注者のデザイナーにとってメリットは大きいといえそうです。ただしネットで実際の発注金額を見る限りデフレのような買い手市場の低額料金が多く、創造力への対価を軽んじる傾向にも見受けられるのが今後の日本のクラウドソーシング市場の大きな課題のひとつと感じます。
先頭に立つ創造者・デザイナーの人たちは、アイディア・企画・創造に対価・料金を払わないケースが多い日本の悪しき体質構造を改善し、後に続く人々に道を切り拓き、義務と責任を果たさなければプロと言えないと自負すべきでしょう。











 

 






注:冒頭の言葉
oDesk(米国クラウドソーシング会社)CEOゲーリー・スワート氏
注2
『企業働き方も激変〜クラウドソーシング』 クローズアップ現代(No.3366)NHK総合 6月18日(火曜日)19:30から放送より