ウェアラブル情報端末
鈴木淳平
ケイタイからスマホ(スマートフォン)に主流が移る中、次世代として注目されるウェアラブル(身に着けられる)情報端末が報道されました。
最先端技術の進歩は、日々精進と脳活用の結果、月を歩けた時代の日進月歩から加速・深化し、今や月に中継基地を築き火星に人類を送り込み歩かそうとする、月進火歩に表現が移り変わっても可笑しくなさそうです。
通信端末であるガラケイ(閉ざされた島ガラパゴスのように日本特有の進化を遂げたケイタイ)から情報端末へと格段に利便性を向上させたスマホの未来は、ハンドヘルド(手で扱う小型機器)から、身に着けられるメガネに情報が映り込む〈電脳眼鏡〉のウェアラブル情報端末が次世代として話題を呼びそうです。
映画にもなったNHK『タイムスクープハンター』で観られた各時代の主人公を取材するエージェントが身に着けていたゴーグル型情報端末がヴィジュアル的に似た形として憶い出されます。
ウェアラブル情報端末の実戦配備
21世紀初頭、すでに米国の海兵隊の一部の部隊に実戦配備され中東やイラク、アフガニスタンで使用され、ビンラディン殺害時にはホワイトハウスで実況中継を観る大統領の姿が報道され、その性能と精度を証明していました。
(余談:一般のわれわれがニュースで観られるのは、それ以上の技術開発が秘密裏に進行、実用化されているのが軍需産業の基本であり常識のようです。
戦地の遥か空高く飛行する無人機が戦場から遠く離れた米国本土で遠隔操作され、罪もない人々が間違われ誤爆されてしまう報道もされています。)
1980年代半ばには、すでに海外の発明品としてウェアラブル情報端末を実際に見る機会があったのは、玩具会社に在籍していたおかげかもしれません。
今、同じように最先端技術を応用開発してもらおうと玩具産業にその技術を持ちこむ人がいるかは知りえませんが当時は当たり前のように、今では当たり前の自動車に装備された超音波センサーで衝突防止装置や、液体窒素を使った超伝導技術による物体浮上を利用したリニアカーなどの最先端技術のほとばしりを感じさせる持ち込み技術が次から次へとプレゼン、デモンストレーションされ、拝見させていただき、そのつど玩具産業の内情を知る身として丁寧にお断りせざるをえない事情を打ち明け、理解をいただき、足を運んでいただいたことを労っていたものです。
電子化の盲点
20世紀の電気時代から情報化・ITを牽引したのが21世紀の電子時代です。
テレビ、スマホなどの電子機器に不具合の原因がLSI(集積回路)などのICチップ、電子部品と分かっても、仕組みを理解していたとしても、修理が容易にできるわけではありません。微細なパーツの不具合箇所を人の手では修理できないからです。ブラックボックス化され基盤ごと交換する以外、方法はなさそうです。
ウェアラブル?
そのまま解釈すれば、身に着ける衣料品、装身具になります。
アパレル産業やアクセサアリーなどのファッションがあてはまりそのものです。
ファッションデザイナーや世にいうデザイナーがそれぞれの価値観でウェアラブル情報端末の外装デザインを手がけられる日も近いかもしれません。
区別化(差別化)する意味で世界的な有名ファッションブランドのデザイナーも参入し手掛けたウェアラブル情報端末がきっと出回ることになるでしょう。
デザイナーなら内部の構造、部品、配置、各役割などを考慮して外装デザインするべきですが、高度な技術の塊、電子の世界を理解するには相当の学習が必要となり大学の工学系にデザイン部門が存在する必然を物語っています。
銀座にもある世界的に有名なファッションブランドの太陽光発電チップを縫込み内側から保温したり、小型内臓ファンで風通しを良くするブルゾンが〈吊るし物〉として普通に売られていたのは学習効果の顕れかもしれません。
またライブで暗くしたステージを鮮やかな光まばゆい〈電飾(LEDや電球)〉衣装を身に着け踊って歌うアーティストの姿もテレビなどで観られましたが、アパレル業界でのオキテである〈堅ろう度〉などによる洗濯基準を満たせないことから一般化は遅れ、映画やコンサートなどでみるだけになっています。
脳に近い頭周辺に集中するIC(集積回路)が可能にしたウェアラブル機器
頭用:ヘッドカム(映像装置付きヘルメット)→主にヴァラエティ番組突撃取材用
目用:〈電脳眼鏡〉・ルーペ(宝石商・内視鏡など)
耳用:イヤモニ(イヤホンモニター)→アーティスト御用達プロンプター・補聴器
口用:ヘッドセット(マイク)→スタジオ・イベントでスタッフなどが装着
それぞれが頭や顔の機能を補完・延長拡大しようとしています。
周辺機器でも、より便利に、より情報を操作しやすくしようとしています。
プロンプター(テレプロンプター):大統領演説やコメントを発表するときに原稿を透明板に映し出す字幕装置:が、一般化しガラケイ・スマホと同じように情報端末は、ICを使った電子装置が日進月歩を超飛躍させ目から進んで脳の中を駆け巡るような目進脳歩のような何だか分からない世界を見させてくれそうです。
「この世は舞台、誰もが演じなければならぬ」を彷彿とさせられながら、一方で脳のキャパシティを超え生身の人同士のコミュニケーションは、控えられ、避け、苦手になって孤立し、頭上にもやもやの雲が浮かんだクラウドな人々が街を行きかうのが想い浮かんできます。
新しいウェアラブル電子装置が個別に開発されても、集合的にまとめあげ、より使いやすい装置が求められるようになりそうです。
想像力の根っこから本来のイデアが芽吹き、〈理念〉から企画となりデザインの領域を拡大、深化させる好機でもあると理解できれば未来への扉を開く道に光がさしたことになります。
ウェアラブル情報端末
2013年9月21日NHK7ニュースで〈電脳眼鏡〉メガネ型情報端末として紹介
『タイムスクープハンター』
2009年4月1日からNHKGで開始した〈名もなき人々〉を主人公にした類まれな名作。シーズン5が2013年終わり、同年同名タイトルで映画化。
〈堅ろう度〉
〈財団法人日本繊維製品品質技術センター - 性能評価〉ネット検索で参考にしてください