「見る力」を向上させるアプリ「集中力」 鈴木淳平
「見る力」を向上させる三つのウェアラブル・アプリの二つ目は「集中力」です。
集中力は、能動的な「見る力」を向上させ、五感と記憶を融合し濃縮させます。
集中力は、記憶と新たな記憶をエッセンスとして束ね変換・醸成しエネルギーである光り輝くアイディアを発生させます。
集中力は、〈目的と手段〉双方に、脳内で問題解決の的をしぼり、ジャスト・フォーカスし合理的な近道への道しるべに光を当てもします。
初詣と集中力
年を越し除夜の鐘を聞き夜明け前の神社や寺で年初めの儀式・初詣におもむけば、人混みであふれかえる雑踏のごとく参拝者の列に混ざり、日頃の感謝を込めお賽銭を投げ入れ手を合わせ、家内安全や商売繁盛などの祈りをささげる瞬間、雑踏ノイズが消え無音状態に耳が包まれていることを、それぞれの人が経験し認識しているか無いかの差はあれ、新年を迎え集中力を身近に経験するひと時です。(祈りをささげる瞬間はみんな無言だから…なのかもですけど)
集中力を邪魔する雑踏ノイズ
街や歩道、車内など人声が絶えずにぎやかで…、近頃、無言状態な公共の場が多く、人声などザワザワとうるさい雑踏ノイズが少なくなっているのは、通信端末のガラケーから情報端末のスマホをウェアラブルする人が増えたことが原因の一つに挙げられます。あるいは居酒屋などの飲食店や工事現場など、雑踏ノイズのうるささが少なくなる年末年始の都市部にみられる毎年の傾向かもしれません。集中力を主軸にすれば、いつでもどこでも集中できる環境が整ったと感じます。(集中力が環境に影響されるようでは、まだまだとの声も聞こえてきそうです)
スポーツやライブコンサートでの雑踏ノイズと歓声
NFL(アメフトの通称)やサッカーなどのスポーツ観戦でスタジアムからあふれる熱烈で熱狂的な相手の作戦や動きを邪魔する声援を、実況中継アナウンスでよく使われる言葉、〈クラウドノイズ:Crowd noise(群衆の騒音)〉にめげず、試合・ゲームにベストを尽くし最高のパフォーマンスで勝に向かうプレイヤーたちの集団集中力が観られます。またライブアーティストもファンの熱狂的歓声に応えるように集中力で応え魅せています。
集中力は年齢・年輪に比例しない
集中力の発揮は、歳に比例すると想われがちですが見る力を主体にすれば決して年を重ねたから若い人より勝るというものではなさそうです。経験量よりむしろ集中力による見る力を向上させ記憶する情報量が飛躍的に増えることで差がつくはずです。集中力を発揮した記憶量と記憶活用度は年齢に比例しないと想います。フィギアスケートや体操に代表されるスポーツ界で若手の躍進が目立つのが良い例です。身体能力も脳の集中力による記憶情報量の多さで差がでるはずです。確実・完璧な演技をしようと、日々の練習を積み重ねる努力が身体を支配する脳の集中力によって本番で最高演技を引き出せるからです。
集中力は、問題意識・問題発見・問題解決・アイディアを閃(ひらめ)かせる
世間でいう〈常識〉と異なり、長い目、多面的な見方、本質を見抜く見る力でえた記憶が判断基準の〈良識〉になり問題を鋭くえぐりだす問題意識を芽生えさせます。観察情報・現状認識を記憶するときアラームのように問題発見したり、記憶量に応じ類似・近似値・相似形から問題解決のアイディア・仮説を閃かせます。
集中力が高まれば脳内でヴィジュアル化される解決策
「解決策が見えてくる」というように解決策は集中力によって閃きヴィジュアル化されます。脳内は2次元の絵よりパソコンの3次元ソフトで描いたときの見え方やアングルを変えたり動きを加わえた映像などが映し出される仮想空間になります。集中力の強弱によって脳内の仮想空間にヴィジュアライズされる記憶合成映像は、おぼろげであったり鮮明であったりします。
集中力は良識を育む
長時間想い悩むより最初に記憶から浮かんだアイディア・解決策に間違いが少ないと言われるのは記憶の中の良識量に比例し、集中力によって向上した見る力が良識量を増大させ、はっきりくっきりとした鮮明映像に変化させるからです。
数字が語る不思議
表計算ソフトなどで作成された数字がびっしり並ぶ事業計画書や営業費実績あるいは家計簿などを眺めるだけで、間違っている数字が飛び込んでくる不思議を経験するものです。奇跡のように発見したように感じさせる不思議も集中力で培った問題意識がはたらいたからなのではと感じます。
時間の流れを操る集中力
集中力を発揮できる人とそうでない人では時間の流れ方が異なると感じます。
小雨の降るなだらかなカーブの下り坂道路でアイスリンクで一回転するように車が360度横スピンした不思議な体験をしたことがあります。
スピンした時間はわずか数秒間、瞬時に瞳孔が開き、すれ違う車のない反対車線やその先のガードレール、街路樹がスローモーションしゆっくりと周囲が流れ過ぎるのが見えていました。時間の流れがスローになり数秒が数十秒に感じられました。瞳孔が開いたことで、数秒で得られる情報量に対して数十秒で得れる情報量を得たことを意味し、結果集中力により時間の流れを操れたかのように感じもしました。
何もないところから突然問題意識やアイディアが閃くわけではありません。〈天から何かが降りてきた〉とメロディ・音楽について前述しましたが、新たなオリジナルな解決策やアイディア、メロディが刹那に閃いたように記憶をヴィジュアル化し記憶を合成しているのです。「見る力」が、五感と記憶を融合し濃縮し問題意識、問題発見、問題解決方法・策を組み上げ、それらも同時記憶しているのです。
閃くとは、記憶された多くの情報を〈刹那(せつな)=一瞬、時間にならない時間)に消化・クリアし新しい記憶を発生させることだと想います。脳内で光と同じ速度で記憶と記憶が瞬時に合成及び醸成され問題解決策やアイディアを閃めかせるのが「見る力」を向上させるウェアラブル・アプリの集中力だと感じます。
その後バックミラーでから後続車が近づきつつあるのが見え、夢中でアクセル踏み何ごともなかったように車は前に進み数秒後、ガタガタと全身が震えていました。