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コラム「創造力の根っこ」VoL.81 (02/01/2016)

「工夫(device)」  
                                  
鈴木淳平

イメージを膨らませる、アイディアを出す、デザインするなど
特別な技能を身に着けた人だけの、「思いを具現化する」工程と思われがち
本当にそうでしょうか?多くの人が日ごろの生活で一計を案じる姿こそ
特別な技能ではなく誰にでも備わった知恵の具現化であり工夫なのです


 正月になると特に予定もなく外に出るのもちょっとと一年の疲れを正月に取り戻そうと寝正月を決め込む人もあちらこちらに見受けられそうです…
毎回東京都知事選に出馬し根強い人気を博しながらいまだに都知事には選出されていませんが発明の世界では、日本でも有名な発明王のT・エジソンの発明数1093件よりも多い、ドクター中松こと中松義郎の発明件数は「3000件以上」らしいですが、詳しくはウィキペディアを…ドクター中松の著書を少しは読んで寝正月を過ごすのも今流かもしれません。

『ごろ寝してスーパーマンになる法』の説得力
有名なところでは母親が醤油の重い一升瓶をもって入れ替えている姿を観て母を何とか楽にしてあげたい一心で思いついた手動ポンプ「醤油チュルチュル」であり現在使用されている灯油ポンプがドクター中松の発明ということは多くの人が知るところです。
蜘蛛の糸
務めていた会社でヘリコプターがこれからの日本でも活躍する時代が来ると売り込む方法を案じていながら決定的な受注には結びつかず迷走していた時に
蜘蛛がネット(net=蜘蛛の巣)を張る、蜘蛛がお尻から糸を出し空中で曲芸のように巣を張る姿を見て、ヒラメイタ!
 それは人里離れた山岳地帯やへき地でも送電線を張り巡らす日本の国土の事情に関係し、その送電線を鉄塔から鉄塔の間をどうやって送電線を張っているかもっと楽に送電線を張れる方法がヘリコプターを使えばできるはずだと
、その想いが功を奏し受注に結び付いたと言う話でした。
 これは基礎特許ではなく応用特許の分類に属する話でが、高度成長期の日本はここ数年のお隣中国と似て〈物まね〉、見よう見まねで成長してきた日本と同じ背景を垣間見ることができるエピソードです。

日本の特許の多くは基礎特許より応用特許が多い時代が高度成長期でした。
基礎研究分野では世界に後れを取っていたことに起因し「追いつけ追い越せ」精神が原動力となった昭和の高度成長期からの売り上げ第一主義が90年代までのバブルまで続きました。経済事情が良くなるにつれ傾向は特許などの知的著作権でも「追いつけ追い越せ」精神が動き始め世界的に認められる特許・知的著作権などが百花繚乱(ひゃっかりょうらん)のごとく各業態・業種などで芽吹き始めた時期が80年代辺りからです。
プールの底で息が切れる瞬間
 案件を抱え、あるいは解決の糸口が見えない状況下で問題発見とあるべき姿はおぼろげながら感じるも、イメージするも、これだ!と納得する解決策が出てこない時、プールに行きプールの底でひたすらそのことに悩み続けながら息が切れ、もうこれ以上潜っていられないと水面に急浮上する瞬間!、思いもよらない案が解決案が脳に決定的な解決案として急浮上することもあると…

この本について記憶の中をたどり書きましたが正確性については著書を読んでいただければと感じます。著書からの情報は現実のリアルタイムよりも勝る情報を読み取ることができ、最近の若者は本を読まないと言われていますけど読んでいる人は読んでいるのも事実だと思いたいです。この正月を契機にごろ寝しながら良書を読みふけるのも良いかもしれません。出来れば正確性を期するうえでも「氣憶よりも記録」な時代だということでしっかりと自身で記録してほしいものです。
 ドクター中松に先回の都知事選挙の時、上野駅のガード下で選挙カーが止まっていた時に、『ごろ寝してスーパーマンになる法』を楽しく読ませていただきましたと声かけ握手したことを憶い出しました。

工夫こそ発明の源泉
 集団で問題解決に当たる習慣と個人で問題解決する手段では方法や手法も異なるものもあれば同じものもありますがドクター中松の手法は個人で、灯油ポンプやフロッピーディスクの特許を取ったりと並々ならぬ努力のたまものと感じますが決して我々一般人が発明に関われないということでもなさそうです。
何故なら誰でもが目撃する、経験する、あるいは自覚する、不便、面倒くさい、もっと楽したいなどの欲求を満たし解決する、裏返しが発明でありそれを推し進めるのが工夫であり源泉だと思います。

イメージからヴィジョン、アイディアやデザインなどを語るのも大切ですが、平たくすべきであると想いつつ極めて重要な言葉だと痛感できるのが工夫です。
日本企業の各業態・業種で会社や製品開発企画・研究に属する人を中心にテレビなどでドキュメンタリーとして描かれるシーンを観るにつれ、日夜、多くの日本企業が全社をあげて問題解決する習慣を感じ取れ、これが日本企業や会社の底力と言え、その根底にあるのが工夫だと感じます。

イメージからヴィジョン、アイディアやデザインなど言葉は異なっても作業工程では工夫がなによりピッタシくる言葉だと感じ、正月に工夫すべきことも思い浮かぶかもしれません。寝正月も良いですが、ごろ寝して本を読むもよし、そんな過ごし方もよろしいのではと感じます。













 



 


中松 義郎(なかまつ よしろう、通称: ドクター中松、中松義郎の『ゴロ寝してスーパーマンになる法』 上巻(マネジメント社、1987年)下巻(マネジメント社、1988年)ウィキぺディアより