■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 23(8/31/2005)
「第二のふるさと」
夏も終わり。皆さんはどんな夏を過ごされましたか?
海外へ出かけた方、実家に帰った方、様々でしょう。
私の夏、去年はアテネオリンピックとともにありましたが(詳しくはバックナンバーをどうぞ)2005年今年の夏は喜多見とともにありました。
喜多見、ご存知でしょうか。東京23区西に位置する世田谷区の中でもさらに西側にあります。誰もが耳にしたことのある成城学園の西です。私はこの夏、喜多見の地にすべてを捧げました。
今回の担当番組はその名も「ぐるりん東京」。東京都内のまだ知られていないとっておきスポットを紹介する旅番組です。とはいえご存知のように旅番組の多いこと。まだ紹介されていない場所なんてそうそうないのです。当初、担当が決まったとき、私には心密かに決めていた地がありました。その名は「江古田」。
そう、青春時代を過ごした江古田の地で旅番組を作ろうと目論んでいたのです。
構想30分で江古田にロケハン(ロケ地を探して歩くこと)に出かけました。がしかし、私をはじめ、江古田で過ごしたことのある人々が興味を持てるネタはたくさんあるのです。たとえば、少し前までこぎたない居酒屋だったのがお洒落系居酒屋に変わってる、とか日本で唯一のイスラエル料理屋がある、とか江古田校舎の8割が崩壊している、とか。
江古田を知っていれば楽しいネタ、もしくは食べ物ネタはたくさんあったのです。しかし公共放送ゆえ理由もないのにお店を紹介するわけにはいきません。そこで急遽方向転換。地図をずーっと見ていたら光り輝く文字がありました。それが喜多見。この喜多見、よく見ると、喜びを多く見ると書くのです。素敵な名前ではありませんか。ここには何かあるはず、とまずは名前から入りました。
で、またもやロケハン。今度は歩きました歩きました。1週間、喜多見に通いつめ自分の足と勘だけを頼りに歩き続けました。すると見えてきました。そこに喜びが。喜多見の北にはふれあい広場という公園があります。ここは小田急線の車庫の上にある公園で、南側からはレッドアロー号が公園の下に入っていくのが見えます。公園の下に電車が止まっているわけです。車庫の上にありますから公園は地上10メートルくらいの高さにあります。ちょっとした空中庭園です。富士山もきれいに見えます。これからの季節寒くなってくるとよりいっそうきれいに見えることでしょう。
そして管理されている人々が素敵。シルバー人材センターの方々で管理されているのですが、皆さん仕事に誇りを持っているのです。第2の人生を広場の仕事に見いだされている方にお会いして、なんだかうれしくなりました。
また喜多見には北から南へと野川という川が流れています。この川にはかわせみをはじめサギ類や鴨など野鳥が多く訪れます。実は私、生まれて初めてかわせみを見ました。綺麗なものですね。この野川は地元のボランティアの方々で清掃されています。今回私も清掃のお手伝いをさせていただきました。くるぶしくらいまでの水位ですが結構流れが速く、上流から色々なゴミが流れてきます。私は洗濯物でしょうか、紳士用の靴下を拾いました。地元の方と川の清掃にもいそしみ、月並みではありますがとてもすがすがしい思いがしました。
更に喜多見には次大夫堀公園(じだゆうぼり)というところがあります。ここは江戸時代の喜多見地域の農村を再現した公園です。この時期は養蚕、お蚕様を飼っています。明治時代に入ると喜多見では養蚕が盛んになったそうです。絹糸を出してくれる蚕は喜多見の人々にとって貴重な存在。蚕が餌の桑の葉を食べる音は喜びの音だったそうですよ。9月の中旬頃、園内で実際にこの喜びの音が聞けるそうです。
つらつらと書いてしまいましたが、それくらい私の夏は喜多見とともにありました。喜多見で喜びを多く見て参りました。機会があればぜひお出かけください。
追伸:
いつかは江古田の旅番組も作りたいと思っています。情報提供よろしくお願いします。
●喜びを多く見るまち喜多見
●野川
●なんとお蚕様の卵、直径1ミリ足らず
2005.8.31
増子瑞穂