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■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 42(4/26/2007)
「ゆっくり回って。」
先日引っ越しをしました。赤ちゃんを連れてのかたづけは遅々として進まず、今も部屋には開けていない段ボールがちらほら目につきますが、ひとまずは落ち着きました。
新居は築30年の古いマンション。新居とはいいかねるかもしれません。
これまで住んでいた部屋に比べて平米数も部屋数も少なくなったのですが、昔ながらの間取りで、とてもゆったりとしています。以前は、それぞれの部屋がドアで区切られたプライバシー重視の欧米スタイルの家でしたが、今回それぞれの部屋を区切るのはふすまや引き戸。戸を開け放ったり取ったりするとまるで広めのワンルームのようにもなります。これからハイハイやつかまり立ちが始まる我が子。ますます目が離せなくなってきました。どこにいてもそれぞれの部屋の様子が見える間取りというのは、今の私にとってうれしい限りです。
さて新しい部屋での生活、最も変化したのがお風呂。ガスによる追い炊き式のお風呂なのです。お湯をいれたり沸かしたりするときは、まずガスの元栓を開けて、口火をつけます。そしてレバーをまわすと「ボッ」という音とともにお湯がでてきます。小さい頃にこのようなお風呂に入っていましたが、今は目にすることも少なくなってきました。知らない、見たことがない、という人もいるかもしれませんね。
以前はボタンひとつでお湯が沸き、放っておけば24時間、適温適量のお風呂が保たれていました。お風呂が沸いてもついそのまま放っておいて、時間が経ってから入ることもしばしば。でも今はお湯を使っている間は見えるところでチロチロと火が燃えている。エネルギーを使うというのはこういうことなんだなぁ、と実感するようになりました。お風呂が沸いたら、リレー形式で家族が次々と入るようにもなりました。お風呂が済んだら口火を止めガスの元栓をきっちり閉めます。
かつては台所や洗面所でも何も考えずお湯を使っていたように思います。蛇口のレバーはお湯が出る方向に向いたまま。必要ないときでも、なにげなくお湯を使っていました。
今は台所のお湯を出すにもお風呂にある口火をつけなければならないという仕組み。いちいち口火をつけるのが面倒という理由もありますが、必要以上にお湯を使わなくなりました。
そういえば電気もそうかもしれない。これまでメーターボックスの中に隠れていた電気のメーターも今は目につくところにあります。玄関のドアの上でメーターの円盤がぐるぐる回っているのです。電気をたくさん使っているときは速く、使っていないときはゆっくり。玄関を出たり入ったりするたびに気にするようになりました。円盤がゆっくり回っているのを見るとなんだかホッとします。貧乏性なのかな?とも思うけど。ボタンひとつで色んな事ができる便利な生活もいいけれど、これが私にとってのエコライフなのかもしれません。
それにしても引っ越しにともない処分した家具や服、本やCDのなんて多いこと。これから子供に、「何が大切なのか」伝えていかなければならない中、ちょっと立ち止まって自分の生活を見つめなおしています。
2007.4.26
増子瑞穂
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●今日も電気のメーターはゆっくり回っています。