■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 48(10/29/2007)
「そうおん。」
キンモクセイの香りに包まれ何ともいい気分だった10月。気になるニュースが二つありました。(詳しくは文末に。)マンションでの子供の足音と、公園の噴水で遊ぶ子供の声。いずれも騒音とされました。そうおん。子供がいる家庭にとって避けて通れない問題です。
マンションでの音に関するトラブルはよく耳にします。このニュースでは3、4歳の子供の足音が問題となりました。親は子供に静かにするようしつけるべきだと。しかし、歩きはじめた1歳くらいではまだ静かに歩けと言ってもわかりません。苦肉の策として階下へ音や振動が伝わらないように防音マットを敷く家庭も多く見かけます。訴訟にまで発展する前に、子供の足音について何らかのコミュニケーションをとって解決することはできなかったのか疑問が残りました。
公園の噴水については驚き、ただただ残念に思いました。都会に暮らす子供にとって、公園は数少ない遊び場所。はしゃぐ子供に非はありません。子供を持つ立場からすれば遊ぶ子供の声なんて楽しくていいじゃない、と言いたいところですが、近くに暮らす人がいることも配慮しなければなりません。夢中で遊ぶ子供の声は時として奇声に感じることもあります。我が子でも耳をふさぎたく思うこともあるのですから、病に伏している人がベッドで一日中その声を聞けばなおさらでしょう。この公園を作る時、住宅地から離れたところに子供が心おきなくはしゃげるスペースを作り、住宅に接したところには樹木や花壇などを設置し静かな環境を保つ計画はたてられなかったのでしょうか。
今、ソニーのブラビアのCMが放送されています。公園の噴水に子供達がいっせいに色とりどりのボールを投げ込み、噴水が吹き出すとボールも空へ。 子供も大人も歓喜の表情を浮かべます。 CMでは音楽だけ使われていて声は流れていませんが、さぞかしにぎやかな歓声があがっていることでしょう。
http://www.sony.jp/products/Consumer/bravia/report/cm/tvcm/index.html
こんな光景までも騒音とされてしまうと残念です。誰もがかつて子供だったように、誰もが必ず年をとります。色んな立場の人が心地よく暮らせる街づくりとは何か、考えさせられました。
2007.10.29
増子瑞穂
〜2階の騒音に賠償命令「子供のしつけ当然」東京地裁 〜
マンション上階で子供の騒ぐ音がうるさく、精神的苦痛を受けたとして、東京都板橋区の男性が子供の父親を相手に240万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、「騒音は受忍できる限度を超えている」として、36万円の支払いを命じた。
中村也寸志裁判官は、当時3〜4歳だった男児がほぼ毎日、廊下を走ったり、跳びはねたりして大きな音を出していたと認定。深夜に及ぶこともあったとして、「騒音が夜間、階下に及ばないよう、父親は男児をしつけるのが当然だ」と述べた。
〜公園の騒音めぐり仮処分「基準値超える噴水遊び禁止」東京地裁支部 〜
東京都西東京市が開設した公園の噴水で遊ぶ子供の声や、広場でのスケートボードの音に、精神的苦痛を受けているとした近隣女性の訴えを、東京地裁八王子支部(小林崇裁判長)が認め、騒音規制値を超える噴水使用などを禁じる仮処分決定を出していたことが5日、分かった。市は2日から噴水の稼働などを停止している。
市によると、公園は面積約44000平方メートル。噴水は水遊びができるようになっており、スケート広場はフェンスで囲んでいるが、防音対策は取っていないという。
公園近くに居住する女性は病気療養中で、2005年4月の公園開設以来、騒音に悩み、睡眠などを妨害されたと主張。市側は騒音は受忍限度内と反論していた。