■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 50(12/30/2007)
「カラカラ」
何かと慌ただしい師走。マッシー家ではなんと今年2回目の引っ越しをしました。以前マッシー通信でも書いた連載42「ゆっくり回って。」の賃貸とお別れしました。近くに大きな公園があって、子育てするのに環境がよかったのですが、やはり賃貸。いつまでいられるかわかりません。そんなことをぼんやり考えていたらこれまで住んでいたところから目と鼻の先に中古住宅が売りに出されました。人生で一番大きな買い物をついにしてしまいました。
以前の賃貸と共通点があります。まずは古いこと。今回も築30年ほどの中古住宅です。子供がいなければ家を買うときのポイントとして、新築であるとかお洒落なデザイナーズであるとかを重点に考えていたかもしれません。しかし現在我が家には1歳3ヶ月の怪獣が生息しています。おもちゃで床や壁をガンガンたたき、家を破壊するのも時間の問題です。あらかじめ古ければ、住める程度になら多少傷つけられても壊されても腹がたちません。何かとストレスの多い子育て。少しでも心穏やかに過ごしたいものです。
そして昔ながらの住宅のためか障子やふすまなどの引き戸が多いこと。
歩くようになったとはいえ、まだまだ抱っこの必要な月齢です。引き戸であればお行儀は悪いのですが抱っこしたまま足でちょいっと戸を開けることもできます。この抱っこしたままという限られた体勢でも戸を開け閉めできるというのは子育て中とても助かるのです。これはバリアフリーにも共通しています。障害者用のトイレはほとんどが引き戸です。引き戸は戸を開けるアクションがドアよりも少なくて済みます。また戸を開閉するためのスペースも扉1枚分あればいいのです。ドアならば開閉するには戸に対して90度分のスペースが必要になります。車椅子や子供を抱っこしながらドアを開け閉めするのは至難の業です。
また引き戸の、密閉されにくいという特性も子育て中は利点になります。子供は戸を開け閉めするのが大好きです。気が済むまで戸を何度もバタンバタン。ドアは密閉性が高いため指を挟むと大きな事故につながりかねません。障子やふすまなどの引き戸はドアにくらべて閉まり方がおだやか。多少指を挟んだところでちょっと泣く程度です。それくらいは経験して覚えていく必要があります。
今は引き戸も和室のものだけではなくフローリングに合うデザインや、天上から吊りさげて引き戸特有のレールをなくしたものなど様々なバリエーションがあります。床のレールをなくすとバリアフリーにもなるしや掃除も楽になります。いずれは建て替えが必要な中古の家。子育てが終わっても、いずれ年をとる自分達のために、全て引き戸の家にするのもいいなと考えています。サザエさん一家のようなカラカラという音をたてる玄関に安らぎを感じられそうです。それにはまず、住宅ローンを払い終えないとなりませんね。
では新しい年が皆様にとって素晴らしい一年になりますように。
2007.12.28
増子瑞穂
●息子が日がな一日開け閉めする障子。その向こうには公園の木々が揺れています。