■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 51(01/31/2008)
『喜びも楽しみも。』
2008年。新年そうそう仕事をふたつしました。ひとつは息子も一緒の仕事。どちらかというと私より息子が主役の仕事です。親子で、「赤ちゃんとママ」という育児雑誌の表紙モデルの仕事をしました。1歳4ヶ月の息子にとって人生初の仕事です。息子の体調と天気にやきもきしながら迎えた撮影当日。幸い息子は風邪もひかず、天気にも恵まれました。西武線と山手線を乗り継ぎ秋葉原にあるスタジオまで1時間。途中、電車の心地よい揺れに息子はうたた寝していたので、撮影の頃には機嫌良く絶好調の笑顔で臨めると胸をなでおろしていました。
しかし、「動物と子供は絵になるけれど、思い通りにいかない。」この業界のセオリーです。スタジオに到着してから、もろもろの準備で飽きてしまったのかカメラを向けられても息子はちっとも笑ってくれません。笑うどころか仏頂面。カメラマンやスタッフの方は根気よくあやしながら笑顔を待ってくれていました。私も「高い高い」をしてみたり、抱っこして振り回してみたり。男の子だからか、多少激しい遊びが好きです。悪戦苦闘すること数十分。ようやく笑顔も出て、無事撮影は終了しました。
撮影が終わってからわかった事なのですが、カメラマンはなんと日芸写真学科の卒業生。それも大先輩です。定年退職されたのち独立され、ご自身のスタジオを作ったという方でした。さすが日芸ネットワークはひろし。思わぬところで日芸の先輩と仕事ができ、光栄でした。雑誌ができるのは2月末。今から楽しみです。
「赤ちゃんとママ」
http://www.akamama.co.jp/akamama/index.html
このように子供を連れての仕事はとても稀なこと。多くの場合は子供をどこかに預けなければなりません。
ふたつ目は地元の子育てNPOによるイベントの仕事。授賞式やトークショーの司会進行役という内容なのでもちろん息子の出番はありません。この仕事が決まったのはイベントの1ヶ月程前。さっそく一時保育をしている近くの保育園にその日だけ子供を預かってもらおうと申し込みました。するとすでに定員いっぱい。3月まで空いている日はないそうです。少し遠くの保育園も同じ答え。困ってしまいました。結局、その日だけ夫に有給休暇をとってもらい子供の世話を任せ、仕事に行くことになりました。子育てしながら仕事をするというのは、聞いてはいましたがなかなか難しいものです。預けるところが見つからなければ仕事はできないし、ましてや、深夜、早朝、休日の仕事は難しくなります。いつも都合良く夫が休みをとれるわけでもありません。
学生の頃は「保育園不足」だとか、「待機児童」だとか、「仕事と子育ての両立」だとか。耳にしたことはあってもどこか遠い世界のことのように感じていました。自分はいつまでも好きな仕事を好きなようにしていくのだと。でも今、私はまさに問題のまっただ中にいます。学生の頃、女子はクラスの4分の1でしたが、今は女子の学生がグンと増えているとか。仕事と子育ての両立に直面する人もますます増えそうです。子育てしながら、ゆるやかに仕事も再開していこうとしている今年。なかなか解決策は見つからないかもしれないけれど、仕事の楽しさと子育ての喜び。試行錯誤しながら、なんとかバランスをとっていきたいです。
2008.1.27
増子瑞穂