■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 60(10/31/2008)
「5歩とクネクネ」
10月。キンモクセイが香る一番好きな季節です。が、さわやかな天気とはうらはらに季節の変わりめで私も息子もグズグズと体調を崩し、秋晴れのなか病院を行ったり来たりしていました。
毎日のように通っていたのは停留所ごとに病院があるような、いわば病院通り。バスの中はいつもお年寄りや車椅子、ベビーカーでいっぱいです。この地域のバスは真ん中あたりのドアから乗り、前から降りるタイプです。
この真ん中あたりから乗るバス。よく見られたのが、後ろの席はガラガラなのに前の方がギュウギュウという光景です。真ん中から乗ったお客さんは後ろの席には行かず前の方に向かってしまいます。前よりには優先席もありますから、お年寄り、車椅子、複数のベビーカーに一般の人も加え、まさにすし詰め状態。他の路線ならベビーカーのまま乗ることが多いのですがこの状態ではとても無理です。子供を座らせ、ベビーカーを畳んで乗っていました。病院に行くのも一苦労。ですが後ろの方は空いているのです。前の方に移動しておいたほうが降りる時に楽だし時間もかからないからなのでしょう。
車椅子やベビーカーは前の方にしか乗れません。後ろは通路が狭く入れないし、降りる時も一般の人に比べて時間がかかり迷惑になってしまいます。また後ろの席に行くにしてもステップを1段または2段のぼらなければならないバスがまだ多くあります。このステップをのぼることが辛い人も沢山います。病院通りならばなおさらです。
それに比べて一般の人は前の席に座ったり、後ろの席に座ったり、通路に立ったりと様々な選択肢があります。後ろに座ったとしても降りるときにそれほど時間はかかりません。私は個人的には一番後ろの窓際の席に座るのが好きです。でも子連れベビーカーだとそうはいきません。一般の人が後ろの席に流れてくれると前の方が広く使え、車椅子やベビーカーの乗降もスムーズになりみんなが幸せになるのではないでしょうか。たった5歩の配慮で車椅子やベビーカーの人々も、とても助かるのです。
先日、調布市に仕事に行ったときのこと。駅の階段の手すりが見慣れないカタチをしていました。クネクネと波打ったデザインでなんだかヘビのよう。近くに設置されていた説明パネルを読んでみると、これは人を安全に優しく支えるための手すりだそう。「取っ手」のように使える垂直部分と「つえ」のように使える水平部分が連続して出来ています。垂直部分は階段をのぼる時につかんで体を引き上げることができ、水平部分はおりるときに体を支えてくれます。そういえば私が妊婦のとき。よく階段の手すりのお世話になっていました。しかしまっすぐにのびた手すりはすべりやすく、特におりるとき、手すりに体重がかかっているぶん手がすべりやすく転落の危険を感じたことがあります。エレベーターやエスカレーターの設置など大掛かりなものでなくても、このような手すりがあるだけで助かります。急な階段しかない最寄りの駅にもこの手すりが設置されるといいな。
混雑したバスも、駅の階段も。ほんの少しの思いやりを行動やカタチにするだけで暮らしやすくなるのですね。さて11月。これからますます寒くなります。お陰さまで私も息子も元気になりました。皆さんも体には気をつけてくださいね。
2008.10.30
増子瑞穂
http://members3.jcom.home.ne.jp/massyweb/
<お知らせ>
その調布での仕事です。
11月5日から11月19日まで調布市で放送される「てれび広報ちょうふ」に出演します。期間限定、地域限定ではありますが視聴できる環境のかたはぜひご覧ください。
●後ろは空いているのに前は混んでいる。なぜ。
●階段のクネクネ。