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増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 74(12/29/2009)

「ベビーカー卒業」

11月後半の連休、夫の実家がある新潟へ行きました。新潟を始め旅行するときは、毎回ベビーカーが一緒です。目的地に到着してしまえばほとんど車で移動なので、ベビーカーは車のトランクに入れっぱなしで必要ありませんが、問題は家から新幹線の駅までの移動。眠ってしまったり抱っこをせがまれたり、ベビーカーなしでは 公共の交通機関を使っての旅行は考えられませんでした。息子をベビーカーに乗せてエレベーターを探したり、エレベーターのない駅では息子をベビーカーごと抱えて階段を上ったり。(それにしてもエスカレーターにベビーカーを乗せるのと、ベビーカーを抱えて階段を上るのと、どちらが子どもにとっては安全なのかということ を毎回考えてしまいます。まぁ、ベビーカーに子どもを乗せたままエスカレーターに乗るのは禁止されているので考えても仕方がないのですが。)新幹線に乗ったら乗ったで、ベビーカーの置き場所に頭を悩ませていました。

今回の旅行。3歳を過ぎ、初めてベビーカーなしで向かいました。大げさかもしれませんが、挑戦といってもいいくらいのことです。長い時間歩いてくれるようになったし、抱っこをせがまれることも少なくなったし、昼寝をすることもなくなってきました。眠くなってしまっても励ませば?なんとか起きて歩いていられるようにな りました。ベビーカーを使わずに自らの足で歩いてくれるようになると、移動がなんて楽なのでしょう。エレベーターを探す必要もありません。電車の込み具合を気にしてベビーカーをたたむべきかどうか考えることもありません。階段しかないところでも手をつないで上り降りすることができます。(それにしても3、4段程度の 段差って駅に多いですね。なぜ?と思うようなところにほんの数段の段差。エレベーターもつけられないような思わせぶりな段差。この段差で困る人がたくさんいるのに。)新幹線に乗ってからも、もう足元にベビーカーを押し込むこともなく、ゆったり座ることができました。

子育てが一段落すると、これから1人目を出産する妊婦さんからどんなタイプのベビーカーを用意すればいいのか聞かれることがあります。
1、生後まもなくから使え、安定感はあるけれども重く幅のあるA型タイプか。
2、軽く折りたためるけれども赤ちゃんの腰が座る生後6ヶ月くらいからしか使えないB型タイプか。
3、またはそれらの長所も短所も兼ね備えたAB兼用タイプか。

私のベビーカー生活を振り返ってみます。誕生して初めての外出は赤ちゃんそろっての退院のとき。このときはほとんどの人がマイカーかタクシーを利用しての帰宅になると思います。ですからベビーカーはあまり使いません。それから生後1ヶ月までは基本的に新生児は外に出ることはあまりありません。その後初めての外出は生 後1ヶ月健診の時。この頃赤ちゃんはまだ4キロくらい。スリングや抱っこで出掛けられます。まだベビーカーの必要性はそれほど感じません。本格的な外出が始まるのは生後3、4ヶ月くらいから。季節にもよりますが外の空気を吸わせたり、自治体での育児学級が始まったりと屋外での生活が始まります。体重もグンと増え、個 人差がありますが6キロから9キロくらい。スリングや抱っこひもも使えますが、親の肩や腰に相当な負担がかかってきます。このころになってベビーカーの必要性を感じるようになってきます。もう少したてば腰がすわってB型のベビーカーでも大丈夫そうですが、まだまだこころもとない月齢です。でもA型のベビーカーでは大げ さすぎる感じもします。私はこの頃にAB兼用タイプのベビーカーを利用し始めました。B型ほど持ち運びやすくはありませんが、まだまだベビーカーで眠ることが多い赤ちゃんを安全に支えることができ、安定感もあります。
2歳を過ぎると、歩くことも増えベビーカーの利用頻度は少なくなってきます。しかし電車やバスの利用が多い場合、まだまだ使用することも。その頃にB型タイプに替えるのもお勧めです。AB兼用に比べグッとコンパクトになります。3000円くらいで購入できる簡易式のものも多くあります。とても軽く、使わない時にはたた んで肩にさげることもできます。公共の場でもかさばりません。ひとつ注意しなければならないのは、軽量化されているからこそ重量制限も軽めに設定されていることです。重量制限が15キロくらいまでのベビーカーが多いようです。ちなみに2歳の子どもの体重は10キロから14キロくらいです。
息子は重量級だったのでB型に替える2歳前には15キロを超えていました。ですから割にしっかりした、お値段もちょっと高めのB型に替えることになりました。今、振り返ればもうちょっと早く替えても良かったのかもしれません。

振り返ってみると生後3、4ヶ月くらいまではベビーカーなしで活動できる。それからはAB兼用タイプ。その後必要に応じて簡易式のB型タイプを利用する。という流れです。もちろん腰が座る6ヶ月くらいまでベビーカーなしで頑張ってしっかりめのB型タイプのみを使うこともできます。これならば1台のベビーカーで済みます。
A型タイプはというと、日本の道路事情を考えるとあまりお勧めできません。もちろん赤ちゃんのことを考えて安全に作られていて安定感もあります。しかし道路の狭さからいってもA型は動きにくい。いくら安定感があっても幅がある分、人や車に接触する危険性も大きくなります。自転車は基本的に車道を走るのがルールですがま だまだ歩道をすごいスピードで走り抜けていきます。そんなときに大きなA型は接触のおそれも高まるのです。また、エレベーターや電車でも場所をとってしまいます。子連れに優しい世の中ならばベビーカーの大きさなど問題にならないのでしょうが、日本はまだまだ。どちらかというとベビーカーを使っている側が肩身の狭い思 いをすることが多いのが現状です。
六本木や麻布十番あたりの綺麗に舗装された広々とした通りで、外国人の方が大きなベビーカーを優雅に押している姿を見かけます。うっとりして見てしまいますが、そのような生活環境の方はほんの一握りですよね。私もそうですが、たくさんの人は狭い歩道に辟易し、人や車との接触に気をつけながらベビーカーを押しているこ とと思います。

さて、A型、B型、AB兼用タイプにかかわらず注意しなければならないのは、折りたためるものは指を挟む危険性が必ずあるということです。小さな子どもがベビーカーで遊んだり、あやまって指を挟んだりしないように注意しなければならないことを覚えておく必要があります。自転車だって回転している車輪に指を入れればケガを します。でもそのことで誰も自転車メーカーに問題があるとは思いません。それと同じことだと思うのです。「たためる」イコール「指を挟む危険性をともなう。」もちろんメーカー側もケガをしないような製品開発をする努力が必要です。そして消費者側にも自己責任があると様々な育児アイテムを使っていくうえで感じます。
話がそれましたが便利になった現代、ベビーカーをはじめほとんどの育児アイテムは必要な時にインターネットのクリックひとつで自宅まで届きます。あらかじめあれこれ用意しすぎると、結局使わなくて無駄だったなんてこともあります。必要になる育児アイテムは人それぞれ。自分のライフスタイルと相談して必要になってから 手に入れるのが賢い選択かもしれません。ひとつ例外なのは、チャイルドシート。マイカーを使う人は必要になる前にあらかじめつけておかなくてはなりません。大切な命を守るために。法律でも決められたことですから早めに準備していただきたい育児アイテムです。

子どもが成長すると、ベビーカーを始め様々な育児アイテムから卒業します。長かったオムツもいつの間にかはずれ、公共施設などに設置されているオムツ交換台も使わなくなりました。少し寂しさも感じますが、来春にはまた0からのスタートです。2人目を育てることによって1人目とは違った気づき、2人目だからこその発見 もあるでしょう。ひとまず、年が明けたら収納の奥にしまい込んでいるAB兼用のベビーカーを日干しすることにします。2人の子育てを終えた友人からのお下がりのベビーカー。2年近く息子の育児を助け、次で乗せる子どもは4人目。こんなにたくさんの子どもを乗せるなんてベビーカー冥利につきるのではないかと勝手に思って います。
子どもとモノ、環境、デザイン。2010年もたくさんの発見と出会いがありますように。
それでは皆様よいお年を。

2009年12月27日
増子瑞穂
http://members3.jcom.home.ne.jp/massyweb/

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●いつもベビーカーが一緒でした。