■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 101(5/01/2012)
「iPadのなぞ。」
3月16日、Appleから新型のiPad、その名も「新しいiPad」が発売されました。銀座Appleストアには発売2日前から人が並び始め、発売当日の午前8時までに450人が並んだそうです。マスコミが報道し、仮装した人々でにぎわい、お祭りムードで盛り上がっていました。銀座の行列はAppleから新製品が発売されるときの風物詩となっています。その夜、インターネット番組のニコニコ生放送で「新しいiPad」の特番を放送しました。出演者はケータイジャーナリストの石川温(つつむ)さん、MacPeople編集長の吉田博英さん、元Apple社の技術者ジョン・ギブスさんです。そして司会は不肖、わたくし増子瑞穂でお送りしました。
この「新しいiPad」、ネーミングにも憶測が飛び交いました。これまでの流れから予想してiPad3か、あるいはiPhone4sのようにiPad2sか、いや今回はハイビジョン画質の素晴らしさが際立っているからiPadHDではないか。ふたを開けてみると「新しいiPad」。発売から1ヶ月以上たった今は、そのまま「iPad」と呼ばれることが多くなっています。
名前がiPad HDになるのではないかと予想されたほど、やはり一番の特徴はディスプレイの美しさです。テレビCMやAppleのサイトでご覧になった方も多いと思いますが、この美しさはテレビやネットからはなかなか伝わりません。実際に見る価値がある美しさです。従来のiPadは画面をよく見ると文字のエッジにギザギザがみえました。新しいiPadは目を凝らしてみても、ギザギザが見えません。人の目では判別しきれないほどのきめ細かさです。9.7インチというコンパクトなサイズで、2048×1536ピクセルの解像度。家庭の大きなハイビジョンテレビですら、1920×1080ピクセルですから、小さなディスプレイでありながら、どれほど美しいかが想像できるかと思います。これまで、拡大しなければ読みづらかった電子書籍などの小さな文字もそのまま読むことができます。特に新聞や雑誌は、全体のレイアウトそのものが情報でもあるので、全体像を把握しながら読めるというのはいいですね。
500万画素の写真を撮ることができ、フルハイビジョンの動画を撮影することもできます。ちょうど桜の開花が間近に迫った季節に発売されたこともあって、新しいiPadで花見を楽しんでいる人の姿を多く目にしました。人ごみの中、カメラを持った手を高く挙げて撮影することがあります。普通のビデオやカメラだとファインダーが小さいため、いま何が撮影できているのか、桜と我が子の姿はちゃんと映っているのか、撮っている本人ですらよく分からないことがあります。iPadならファインダーの役割も果たしているモニターが大きいため、何を撮っているのかよくわかります。周りからも何を撮影しているのかが見えるので、目の前で繰り広げられていることと、撮影している画面と、両方同時に家族や友人で楽しむことができます。
ただ、これまでのiPadと比べて、高さと幅は同じですが、 厚さは0.6ミリアップ、重さはおよそ50gアップしています。iPadのヘビーユーザーである元Appleの技術者ジョン・ギブスさんによると、この50gアップというのは、持ってみて違いを感じるとのこと。1時間も持ち続けていると、手の疲労感が違ってくるそうです。がっしりとした体格のギブスさんですらそうなのですから、人ごみの中であまり腕を上げすぎていると、次の日に筋肉痛になるかもしれません。
容量は16GB、32GB、64GBの3種類。迷うところですね。16GBでCDレベル4000曲分くらい入ります。CD1曲分と高画質の写真1枚が同じくらいのサイズなので、写真だと、16GBで4000枚くらい。映像はさすがに容量が大きく、1時間の映像が2GBから4GBくらい。16GBで4時間くらいの映像が入ることになります。iPadとパソコンの大きな違いのひとつは、容量をあとから変えられないこと。ですから、ジャストサイズかあるいは大きめのサイズを、お財布と相談しながら選ぶことになります。画質にそれほどこだわらないというのであれば、新しいiPadの発売にともない値段が安くなったiPad2を選ぶという方法もあります。
現在、銀座Appleストアのフリーワークショップ「iPadをはじめよう」には新しいiPadを手にしたシニア層がたくさん参加しています。(新しいiPadが発売されるまでは「iPad2をはじめよう」というワークショップでした)他のワークショプでは空席が目立つことが多いのですが、このiPadのワークショップはたちまち席が埋まります。シニア層が第二の人生をより楽しくするために、また小さな子供でも使いやすいので、子供と親が兼用で使うためにと、iPadはこれまでコンピューターにあまり関わりがなかった世代も取り込んでいます。確かにパソコンよりもとっつきやすい。iPadをきっかけに、ツイッターやフェイスブックで人々との交流を楽しむシニア層も増えています。
なのに、ひとつ疑問が。メールなどで文字を入力するときのこと。iPadはローマ字、日本語、さらに各国の言語でも入力することができます。日本の文化である絵文字までそろっています。なのに、日本語の50音入力の画面が何かおかしい。「あいうえお」の50音が左からなのです。初代iPad、iPad2、そして新しいiPad全てに共通して。個人的にこれはとても気持ちが悪いです。我が家には5歳の息子がいて、ひらがなに興味のある年頃。部屋にも、お風呂場にも、50音表が貼ってあります。いずれも50音は右から「あいうえお」。よくある子供向けのひらがな練習マシーンも右から「あいうえお」です。小学校の教科書も当然右から「あいうえお」ですよね。なのになぜ、iPadは左から「あいうえお」なのでしょうか。銀行のATMなども左からのところが多いですね。コンピューターになじみのある世代なら、右からでも、左からでもすぐに慣れるでしょう。そもそもローマ字入力を使っている人がほとんどですから、気がつかないかもしれません。しかし、子供はローマ字入力ができないし、シニア層も50音入力のほうが使いやすいのではないでしょうか。例えば「よ」と入力するにはローマ字では「Y、O (ワイ、オー)」と二つ打ちますが、50音では「よ」と一つ打つだけでいいのですから。これまでの左からの並びで使い慣れている人もいるでしょうから、右からでも左からでもカスタマイズできるようにしてほしいものです。
番組でもとりあげたところ、たくさんの反応がありました。「慣れれば問題ない」「ローマ字入力してるから気にならなかった」という意見の一方で、「さすが、お母さん」「それはいい指摘だw」「激しく同意」などなど。タブレット型コンピューター、iPad。大まかにいうとパソコンではありません。けれどもパソコンに近いことが出来る。シニア層や子供でも、工夫しだいでパソコン以上のことができる可能性のある端末です。だからこそ、この50音入力もぜひ改善してほしいのです。
大学在学中に初めて手にしたMac。かれこれ20年近く、Macと生活していますが、まだまだ知らないことがいっぱい。というより知らないことだらけ。東京デジタルホン時代からソフトバンク携帯なのにもかかわらず、タイミングを逃し、いまだiPhoneにも変えていないわけで。今、次のiPhoneの発売をいまかいまかと待っているところです。今年の夏あたり発売されるとの予想もありますが。30代最後の思い出に銀座に並ぶとしますか。それにしても、 新しいiPadの発売はお天気に恵まれていました。今回の発売は3月中旬、まだまだ寒さが残る季節。雪でも降ろうものなら、急病人が出てしまったかもしれません。思えば、iPhone4sのときもお天気が良かった。Appleの新製品発売と日本のお天気の相性はいいのかもしれませんね。iPhone5(新しいiPhone!?)の発売日は、どうなるでしょう。
2012年5月1日
増子瑞穂
http://members3.jcom.home.ne.jp/massyweb/index2.htm
ニコニコ生放送 ついに発売!「新しいiPad」の実力を徹底検証
http://live.nicovideo.jp/watch/lv84983450
マックピープル5月号「最新iPad完全攻略」
http://macpeople.jp/2012/03/macpeople_20125329.html