■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 109(12/31/2012)
「バラの花を見つめながら」
●ずらっと並ぶ真っ赤なバラ。日付け変わって、午前2時頃。
2012年12月16日、衆議院選挙が行われました。自民党の圧勝だったこの選挙。インターネットの開票特番の自民党中継担当として、永田町の自民党本部でこの様子を間近で見ていました。「バラの花つけ」が行われた会場には、テレビ、ネット、新聞、多くのメディア関係者が押し寄せました。幹部席が目前の、アリーナ席?には、スチールカメラマンがぎっしり座り、なんだか人気の寄席にきたみたい。(例えが不適当ですみません)会場後ろにはテレビカメラがずらっと並び、さらに後ろ、幅1メートルもない通路には、放送を出すための各局の配線が何本も重なっています。その配線の上をマスコミ関係者が右往左往。10メートル移動するのに3、40秒かかるほどでした。中継リポーターが放送の
ためにしゃべれる場所は1メートル四方ほどの場所のみ。音が重なってしまうのを防ぐために、「そちらは何時から中継予定!?」などとお互い確認しながら、各局が入れ替わり立ち替わり中継を出していました。当選確実が続く和やかムードの党関係者とはうらはらに、メディア関係者はちょっとピリピリ。この日の関東地方は穏やかに晴れた一日でしたが、会場内はそれにもまして、常夏!のぼせて顔が赤くなるほどの熱気に包まれていました。
今回の衆院選には議席数480に対して、今の選挙制度になってから最多の1504人が立候補。いっぽう投票率は戦後最低の59.32%。なんとも皮肉な記録ですね。ちなみに、2009年の民主党への政権交代選挙の投票率は69.3%。2005年の小泉政権での郵政民営化解散選挙は67.5%でした。
この投票率を引き上げることにつながるのか。夏の参議院選挙までに「ネット選挙」を導入しようという動きが高まっています。今の公職選挙法では、選挙期間中、候補者がサイト、Twitter、ブログなどで発信することは禁止されています。よくあるビラやハガキはオッケー。(ポストに入ってるとちょっと迷惑な、アレ)ネットに慣れていない幹部クラスのベテランが敬遠していたこともあって、ネット選挙の議論はなかなか進みませんでした。が、ここ数年TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの普及はめざましく、政界でも見過ごすことはできなくなってきたようです。
12月22日付けの朝日新聞によると。11月27日から12月15日までの19日間で、12政党の名前や主な略称が含まれるツイート数は、およそ460万件。うち、「自民」や「自民党」を含むものは150万7281件で、他の党を圧倒。ちなみに「民主」は99万9903件。自民関連のツイートは民主関連の1.5倍。内容は、「好きだ、支持する」などの「前向き」なツイートも、「イヤだ、支持しない」などの「後ろ向き」なツイートも両方あります。例えば、憲法改正についてのツイートにしても、ある人が「支持する」とつぶやけば、ある人が「ありえない」と反論する。そのように賛否両論を繰り返して、自民党関連のツイートは白熱していったよう。それだけ、話題を提供することができた
、言ってみれば存在感をアピールできた、ということなんですね。
選挙関連のツイートが460万件。もしここに候補者自らのツイートが加われば、ツイート数はもっと増えることは間違いないでしょう。選挙に対する関心も高まり、投票率があがることも予想できます。自民党圧勝に終わった今回の選挙ですが、有権者の40%が投票していないわけですから、なんだかしっくりこない。100%は無理かもしれないけれど、せめて80%くらいの投票率での結果というのを見てみたいものです。
自民党の安倍総裁はネット選挙に意欲的のよう。夏の参院選には実現しているかもしれませんね。かつて自民党には、選挙前に「そのまま関心がないといって寝てしまっていてくれればいい」と言って有権者の反感を買った総理大臣がいました。自民党にとっては、投票率が低いほうが有利と言われています。投票率があがるであろうネット選挙を、自民党が導入しようとしているということは、政治と国民の距離は縮まってきているのかもしれません。関心がないから、興味ないから、と投票を放棄していても何も変わりません。今回、寝てしまっていた有権者の皆さん、次回はしっかり起きてみてはいかがでしょうか。
2013年も、色んな角度から発信していきたいと思います。2013年もマッシー通信を、どうぞよろしくお願いいたします。
2012年12月31日
増子瑞穂
選挙結果を一緒に考えてみよう〜衆議院総選挙2012 開票特番 http://live.nicovideo.jp/gate/lv115969181