■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 137(03/05/2015)
「老人保育から感じること」
新年度が始まり、あっという間に一ヶ月が経ちました。長男は小学3年生。日に日に小生意気になっていきます。放課後は学校内にある学童保育に行っています。
不肖ながら、息子の通う学童保育の会、会長を担当することになりました。ちょっと前まで、息子が保育園に入れなかったハナシをマッシー通信で書いていたと思ったのに。時が過ぎるのは早いです。
ちなみに学童保育とは、放課後の児童を有償で受け入れる保育の場所。就業や親の介護、保護者自身の病気など、様々な理由から保護者に代わって児童の保育をします。
私の住む自治体の学童保育は、小学1年生から4年生までを受け入れています。近い将来、6年生まで受け入れるという動きもありますが、これがなかなか難しい。保育園同様、空きがないのです。ここの自治体では、基本的に一定の条件を満たせば、希望者はみな学童に入れます。けど、ギュウギュウ。定員の2倍を超える児童が、学童の部屋にひしめきあっています。校庭で遊べる日はまだいいのですが、梅雨時期ともなるとスシ詰めの子ども達はストレスもマックス。子ども同士のケンカが堪えません。
そのうち、保育園のように定員を超えた場合は空き待ち、待機学童という事態になってしまうかも。散々、保育園の待機児童を経験した身としては、またもや待機学童なんて考えただけでぞっとします。ですが、定員を超えて過ごす子ども達の安全も心配です。
この膨れ上がった学童を解消するのではと期待されているのが、自治体でここ数年で始まった放課後居場所づくり事業。親が働いているいないにかかわらず、放課後の子ども達の居場所を学校内で提供します。放課後、家に帰らず夕方まで学校にいてもいいよ、ということです。子どもが学校から帰ってくる時間に家にいなくていいのは、親としてはとても助かります。こちらは利用は無料。保険代のみです。ただ、放課後居場所づくり事業は、その名の通り居場所の提供。あくまで保育ではありません。子どもを見守る有償ボランティアには年齢制限がありません。
保育とは何かというと、子どもの安全を守ることです。例えば、学童の子ども達を見守る支援員と呼ばれる人には定年があります。また、保育園申し込みの手続きをしたことがある人はご存知かと思いますが、祖父母が同居している家庭は保育園に入りにくくなります。働く親に代わって子どもの保育ができるとみなされるからです。ですが、ある一定の年齢(私の住む自治体では65歳)を超えると、関係なくなります。つまり、親に代わって保育できる人としてみなされなくなるのです。
よく、親に代わっておじいちゃんおばあちゃんが保育園の送り迎えしている姿を見かけます。いきなり走り出してしまう子ども、それに追いつけないじぃじばぁば。こちらも子どもの手を引いているので、代わりに追いかけるわけにもいかず。飛び出した先に車が来やしないかヒヤヒヤします。また、ニュースで耳にする子どもの交通事故。その子の面倒を見ていたのが高齢者だったとすると、痛ましい気持ちに加えてモヤモヤした気持ちにもなります。果たしてこの年齢に子どもの安全を守る「保育」をさせていいものなのだろうかと。
もちろん、体力や判断力には個人差があるので、ある一定の年齢で保育できるできないを決めるのは難しいと思います。ただ子どもは、こちらが思いもよらない行動をとるもの。いきなり走る、飛び出す、飛び降りる。これらの行動をある程度予測し、先回りして制止し、子どもの安全を守るのは至難の業です。そこは「しつけ」でしょ、という意見もありますが、子どもを育ててきたものとして、子どもの行動を完全にコントロールすることは無理だと感じます。年齢を重ねてきたからこその知恵があり、子育てに生かされることもたくさんあると思います。ですが「保育」となるとどうでしょう。
「老老介護」が問題になっていますが、保育園や学童など子どもの安全を確保できる保育環境が少ないという現状が「老人保育」にも繋がっているのでしょうか。自分の親だとなおさら、老いに気づきづらいのかもしれません。
ひとつご報告。
3月中旬、父が73歳で亡くなりました。母は日芸生の頃に他界しているので、これで両親を見送ったことになります。私は一人っ子なので、葬儀やその後の手続きなど大変でした。いえ、現在進行形で大変です。40代前半で両親とも見送るのは、人生として早い方だと思いますが、無事両親を送ることができてほっとしています。親よりも、子どものほうが長生きするのがなにより。これからも様々な角度から子どもの安全を考えて行きたいと思います。
2015年5月1日
増子瑞穂
https://twitter.com/massykachan
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