■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 140(02/08/2015)
「浮いて待て」
●息子とプールで遊んでいる数年前の写真。たまたま「 浮いて待て」のポーズになっていました。長く浮けます。
子ども達は夏休みに入りました。お父さん、お母さん、毎日毎日お子さんの世話、お疲れさまです。
楽しく夏休みを過ごしたいところですが、痛ましい事故のニュースが連日伝えられています。
やはり夏、水の事故が多いです。小さな子どもや中高生、大人までも海や川で溺れて亡くなっています。
子どもから目を離さない、溺れる危険性のあるところには近づかないが大原則ですが、もし溺れてしまったら。
「浮いて待て」です。「UITEMATE」という日本語のまま海外でも広まっています。
7月上旬、「浮いて待て」を学ぶ水泳教室に小学三年生の息子と行ってきました。
「浮いて待て」のやり方。まず水面で仰向けになります。手を横に広げます。呼吸をしながら浮きます。
これだけです。とはいえ、泳がずにただ浮くのって思ったよりも難しいです。コツは、あごをあげて、上を見ること。
背中を反らして、えびぞり気味すること。手を横に広げると、手の浮力も使われて浮きやすくなります。
上半身は、肺に入った空気が浮き袋になるので自然に浮きます。しかし、足は浮き袋がないので沈みやすくなります。
そこで足を浮かせるのに役立つのが、ペットボトル。2リットルの空のペットボトルをお腹の近くで持ちます。
そのとき、腕を水面から出さず、腕を水中に入れたままペットボトルをつかみます。ペットボトルを上からつかむのではなく、横、あるいは下から。腕は水中にあると浮力になりますが、水から出てしまうと重しになり体が沈んでしまいます。
このことから溺れた時にやってはいけないのは、手をあげて「助けて!」と叫ぶこと。手を挙げることによって手の浮力が失われるばかりか重しとなります。さらに叫ぶことによって肺に入っていた空気が声とともに外に出てしまい、浮き袋の役割を果たさなくなってしまいます。手をあげて声を出すことによって、体が沈み溺れてしまうのです。
洋服を着ていると水の中ではより動きづらくなるのですが、「浮いて待て」の状態なら洋服そのものが浮力になる場合もあります。また、靴も浮力になります。(うわばきは水に沈むのでご注意を。海や川でうわばきを履くことはないと思いますが)。洋服を着たまま泳ごうとして、岸まで辿り着けず溺れてしまうことも多いのです。
今は携帯やスマホの普及率が高いので、海や川で何か起こってもすぐに救急隊を呼びやすい状況です。助けに行くよりも、数分間浮いて待たせて救急隊の到着を待ったほうが救命率が高いそうです。それどころか素人が助けに行ってしまうと、助ける側も溺れてしまうことが多いとか。
海や川で溺れたら、まず浮いて待たせ救急に通報。そしてペットボトル、クーラーボックス、発泡スチロール、ウインドブレーカー、空のランドセルなど浮くものを溺れている人の近くに投げる。(空のランドセルが浮くってちょっとビックリしました)。
浮いて待たせるときに、声をかけて励まし続けるのも大事だそう。自分も服を着た状態で、何も持たずに助けに行くのは絶対にダメとのことです。
でも、もし我が子が溺れてしまったとしたら。自ら助けに向かわずに救助を待つのってかなり勇気がいります。
親の本能として、着の身着のまま水に飛び込んでしまうと思う。でもこの行動は子どもを助けられないのだと知りました。
息子には「もし溺れてしまったら救急隊が助けに来るまで落ち着いて『浮いて待つ』こと、お母さんは泳いで助けに行かないこと」を伝えました。
溺れた時にどうするかを、親子で確認しておくことが大切です。
この「浮いて待て」が理解できるのは少なくとも小学生からです。幼児に浮いて待て、なんていっても無理です。
どうするか。水の近くで絶対に目を離さないこと。特に海では、一瞬のうちに何十メートルも流されてしまう場所もあります。
事故に気をつけて、どうぞ楽しい夏になりますように。
追伸
大人の方、飲酒して水に入る、なんてのは論外ですよ。
水遊びを楽しみ終わってから、飲みましょうね。
2015年8月1日
増子瑞穂
https://twitter.com/massykachan