■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 149(01/05/2016)
「日本科学未来館リニューアル」
●ジオコスモスとアシモ
4月20日にリニューアルオープンしたばかりの日本科学未来館に子どもと行ってきました。日本科学未来館は、見たり聞いたり触れたりしながら科学を学べる場所。東京お台場にあります。2001年のオープン以来、本格的なリニューアルとのことです。新しく登場した展示を二つご紹介します。
「 未来逆算思考」
あまり聞き慣れない言葉ですが、ゲーム感覚の展示です。まず自分が理想に思う地球を一つ選びます。例えば「いつまでもきれいな水が飲める地球」や「芸術文化に満ちあふれた地球」など。その理想とする地球を50年後も続けられるか、子孫に残すことができるか、全長10メートルの巨大なゲーム板の上で挑戦。未来からさかのぼってどんな困難があるのか、それをどう避けるのか、考えた上で道筋を自分で描きます。50年後まで辿り着けなかった場合、子孫から手紙が届きます。とても寂しい内容の手紙です。思い描いた未来を50年後まで続けてあげられなくてゴメンなさい…。成功すると10メートル先の大型モニターに心躍る映像が流れます。
現在から未来を想像す るだけではなく、理想とする未来から現在までさかのぼって思い描くことの大切さを気づかせてくれるゲームです。
そして、ゲーム板の映像が綺麗。上からプロジェクターで映し出しています。映像が映っていないときはただの白い板とのこと。これ、モニターじゃないんだ…。思わず板に顔を近づけて見入ってしまいました。
「100億人でサバイバル」
さまざまな災害が起こる地球の仕組みと人との関係が、模型を使って表現されています。直径6.7メートルの大きな模型です。危険の種を表現している「赤い球」が転がってきて、人や暮らしに襲いかかります。赤い球はときに地震、津波、噴火となり、ときにウィルスとなり、ときに汚染物質となり、人に迫ります。ときどきウィルスが規則的な動きを変え、遠くに転がっていきます。飛行機によってウィルスが発生したところから遠く離れた地域に広がる様子を表現しています。
手が届きそうなほど近くで見られ、カラカラと赤い球が転がる音が始終鳴り響きます。この音も、人に迫り来る危険をまざまざと感じさせます。きっと、展示ごとガラスケースに 入れてしまった方がホコリもつかないしメンテナンスもラクでしょう。でも、あえて剥き出しのままにしてるのではないかと感じました。ガラスケースに入れてしまうと、病気や災害がどこか他人事のように感じてしまうのでは。常に転がり続ける赤い球、鳴り続ける音。それぞれの災害が複雑に絡まりあい、普段は人の助けになるものまで凶器に変えて人に襲いかかることを教えてくれます。ピタゴラスイッチのようで面白いのですが、災害の怖さをじわじわと感じる、見れば見るほど発見がある。個人的には1時間くらい見続けるのをお勧めします。災害が起こる仕組み、人との関わりにはっと気づかされます。
そして、新しい展示ではないのですが、ロボットのアシモがお引っ越し。日本科 学未来館のシンボル展示「ジオコスモス」の近くになりました。アシモがジオコスモスの紹介をしてくれ、アシモとジオコスモスのツーショットが見られます。ぜひ実際に見てみてください。
2016年4月30日
増子瑞穂
https://twitter.com/massykachan
未来逆算思考
http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/future/innovation/backward.html
100億人でサバイバル
http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/world/earth/missionsurvival.html
常設展リニューアル
http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/renewal.html
関連コラム、リニューアル後もこちらの展示は継続されています。
2015ノーベル物理学賞↓
http://www.nudn.net/maccy/143.html
祝!ノーベル物理学賞受賞↓
http://www.nudn.net/maccy/131.html
●未来逆算思考、10メートルの巨大ゲーム板で映像も綺麗
●ゴール目前でゲームオーバー、子孫からの手紙が届きます
●100億人でサバイバル、圧巻の展示
●ひずみのエネルギー、地震、津波の関係性を表現