■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 160(03/04/2017)
「西武線40000系誕生!」
●40000系正面の顔
西武鉄道の新型車両「40000系」(よんまんけい)のお披露目イベントに行ってきました。3月中旬の日曜日午前9時半、肌寒い中、会場の西武球場前駅は大行列です。駅にはピカピカの40000系が二編成並んでいました。正面の写真を撮るために再び行列に並びます。西武線では現在30000系、通称スマイルトレインという正面が笑った顔のような愛くるしい車両が走行しています。このスマイルトレインを進化させたのが40000系です。外観は丸みを帯びたフォルム、西武線沿線の自然を感じさせる緑と青が使われています。
40000系の大きな特徴は、まず全席指定のS-TRAIN(エストレイン)として運行すること。必ず座れる電車です。平日は所沢〜豊洲を、土休日は西武秩父〜元町・中華街を走ります。乗車料金の他に指定席料金が必要です。
座席は「クロスシート」と呼ばれる進行方向を向いた2列シートです。シートはさくらをモチーフにした温かみのあるデザインになっています。座席の背面にはドリンクホルダーと荷物を掛けられるフックがついています。足元にはコンセントがあり、スマホなどの充電ができます。車内には無料のWi-Fiがあります。さらにプラズマクラスターも搭載されています。さながら動くオフィス、かなり快適です。コーヒーを飲みながらパソコン仕事ができます。(いつかこのマッシー通信もS-TRAINで書こうと目論んでいます)。
クロスシートは座席を回転させ向かい合わせで座ることもできます。向かい合わせでも窮屈さは感じません。西武秩父から元町・中華街までのおよそ2時間半、家族や友人で乗ったらとても楽しそうです。
また40000系は全席指定のS-TRAINとしてだけではなく、通常運行でも走行します。このときの座席はクロスシートから「ロングシート」へ変化。こちらもゆったり座れそうです。もちろん通常の電車ですから乗車料金だけで乗れます。ただ満員電車のとき、足元の空間に荷物が入りこんでしまい、忘れ物が増えそうだなと感じました。
小さな子どもと乗るなら10号車がオススメ。パートナーゾーンという名前がついています。これまでマッシー通信でもたびたび取り上げてきた「ベビーカーを畳まずに電車に乗れるのか乗れないのか問題」は終了です。乗れるんです。むしろ車いすの方はもちろん、ベビーカーやじっと座っていられないお子さん、赤ちゃんを抱っこした親御さん向けの車両といっていいでしょう。車両の大半がフリースペースになっています。小さな子どもでも外が眺められる大きな窓。子どもがちょうどつかまれる低い位置に手すりがついていて、温かい配慮が感じられます。パートナーゾーンの真ん中にある中腰いすは、ちょい掛けができるシートです。座席に座ったとたん、抱っこしたりおんぶしたりしている赤ちゃ んが泣いてしまって…というお父さんお母さん、抱っこしたままちょい掛けできるのです!親御さんの足腰の負担がかなり軽減されるのではないでしょうか。そして、赤ちゃんを抱っこしたまま立っているよりもちょい掛けしたほうが安全です。
40000系にはオムツ交換台つきのトイレもあります。子どものトイレ・オムツの心配からも開放されます。ただ、このトイレのついている車両は4号車にあります。10号車のパートナーゾーンからちょっと遠い…。子どものトイレや赤ちゃんのオムツで緊急事態が発生したとき、10号車から4号車に移動しなければなりません。オムツ交換台つきのトイレは10号車のパートナーゾーンにあればなおよかったと感じますが色んな事情があるのでしょうね…。さすがに新幹線のように二車両に一カ所ずつトイレ、とはいきません。それでも電車にトイレがあるって、安心感が違いますよね。子ども連れならなおさらです。
40000系、まだ走っている姿を見るのは珍しいのですがこれから増えていくことでしょう。S-TRAINとしても、通常の電車としても、楽しいがいっぱいの電車です。
2017年4月3日
増子瑞穂
https://twitter.com/massykachan
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●S-TRAINの「クロスシート」
●通常運行の「ロングシート」
●10号車のパートナーゾーン
●パートナーゾーン車内、窓が大きい!
●ちょい掛けできるのがうれしい中腰いす
●4号車のオムツ交換台つきトイレ