■増子瑞穂さんの「キャスター・マッシー通信」連載 - 167(02/11/2017)
「白と黒でインターネット」
●銀色のタワーとレール「インターネット物理モデル」
振り替え休日の月曜日、子ども達とお台場にある日本科学未来館へ行ってきました。お目当ては「インターネット物理モデル」。2001年の開館当初からある人気展示です。今年6月にリニューアルされたので遅ればせながら子ども達と体験してきました。
この展示では、インターネットの仕組みを紹介しています。白と黒のボールが、コンピューターが情報を処理するときの信号、0と1の「2進数」を表しています。白黒8個の玉で「文字」「音」「うごき」を表現します。
まず、受付。自分の番号がモニターに表示されるのですが、この仕組みも視覚的に分かりやすく、数字の動きが面白いです。一桁の数がそれぞれ違う色で表示されているのも工夫を感じます。
順番が来たら「データスティック」を受け取ります。データスティックには白と黒の情報が表示される8個の丸がついています。
文字、音、うごきから送りたい情報を選び、それぞれの「データ作成器」へ。「データ作成器」が様々な情報を白黒の並びにデジタル化し、データスティックに記録してくれます。例えばうごき、「前」に動かすなら「黒・黒」、「右」なら「白・黒」という玉の並びが表示されます。
「送信器」でデータスティックに表示された白黒の順番どおりに玉を並べていきます。小さな子どもでも持ちやすいつるつるした白と黒の玉、子ども達が我れ先に!と興奮する作業です。最初に送り先を表した4個の玉、次に送り元を表した4個の玉、そしてデータ作成器に記録された文字や音やうごき8個の玉、合計16個の玉を並べて送信します。カタカタカタ…という音とともに16個の玉は次々にレールへと流れて行きます。
レールは、実際には見えない電波や通信ケーブル、光ファイバーなどを表しています。ネットワークの中をデータが流れていく様子がレールと白黒の玉で表現され、目で見て理解できるわけです。どんどん流れていく16個の玉。子ども達は玉を見失わないように追いかけます。
銀色のタワーは情報の「中継装置」です。タワーの中で玉が一度止まり、先頭4個の白黒の並び順、つまり送り先を見て行き先を振り分けていきます。例えばAという送り先は白・白・白・黒という並びです。この並び順通りなら送り先Aへ、違うなら次の送り先へと玉は流れていきます。
いよいよゴール。送った16個の玉が送り先に到着します。「復元器」がデジタル化とは逆の作業で、白と黒で表されたデジタルデータを、文字・音・うごきの人が分かる表現に戻してくれます。
文字のデータはモニターに表示されます。音のデータはスピーカーで復元され、送り先によって違う音がでます。うごきのデータは鳥かごの中のニワトリで復元されます。オレンジ色のニワトリが並べた白黒の玉のとおり、前後左右に動いてくれました。うごきのデータが復元されるのは今のところ一カ所のニワトリだけですが、今後、音のデータのように増えてくれるといいな。何が前後左右に動いたら面白いでしょうね。
実際のインターネット上の情報量はスマートフォンのやりとりだと、見えない無数のレールの上を1秒間に1億個くらいの白と黒の玉が流れているイメージなんだそうです。なんだか体が痛くなってきます。
「インターネット物理モデル」小さな子どもでもインターネットの仕組みを、見て聞いて触れて体感できる展示です。以前はじっくり体験できるタイムスケジュールが決まっていたのですが、リニューアル後は受付をすればいつでも体験できるようになりました。モニターの数字が面白い動きをするのを眺めているのも楽しいので、順番待ちもちょっぴり楽しいです。このコラムを読んでいただいている間も、見えないレールの上を白と黒の玉がどんどん流れているんですね。
2017年11月2日
増子瑞穂
https://twitter.com/massykachan
日本科学未来館サイト
http://www.miraikan.jst.go.jp/info/1706221021391.html
●順番待ちのモニター
●データスティックにうごきのデータを入力
●右がデータスティック、白黒の玉を並べる
●白白白黒の送信先Aを目指す玉
●うごきを復元するオレンジのニワトリ