■清水教授のデザインコラム/連載 - 127(01/09/2013)
映像がとらえていたのは海底の砂地に描かれていたのだというミステリーサークル・・・。2重に盛り上げられているサークルはまるでコンパスで引いたように正確な円、直径は2メートルはあるのだろうか。外周から中心に向けて30本位の放射状に線が引かれている。
あの、「ミステリーサークル」が、ついに海底にまで・・・?
いたずら好きなダイバーたちの仕業なのでは・・・。
1980年頃・・・。驚かされたのはイギリスの麦畑に出現したミステリーサークルを思いだしたからだ。一夜にして現れたそれは、さまざまな幾何学模様のパターンが見事に描き出されていた。常識では考えられない時間での作業量を考えると、少人数のいたずらではないだろう、と。UHO・宇宙人説があり宇宙への交信記号では、さまざまな超常現象によるものだという説まで、喧々諤々の論争を引き起こしていたものだ。しかし、当時はそれらしき人物が作成の道具などをもって出頭したこともあって、この件はおわり、だと思っていた。
しかし、その後も2,000余を数えるミステリーサークルが世界の各地に出現していることもあって、まさにミステリーはいまも続いていた。
数年前から目撃されていたという「海底のミステリーサークル」、発見者のダイバーは密かに犯人を捜し、作る過程を映像に記録したいと待ち構えていたのだとか・・・。
一体誰が、何人で!と見ているのだがそれらしきダイバーたちは現れてこない。
カメラの前には小魚が1匹。「犯人は小魚ァ〜?」。しかし、無心に泳いでいる小魚の動き、その行動をカメラが追うと、犯人はこの10センチ足らずのフグらしい、と。
目をこらすと周辺にいるダイバーには目もくれず、胸びれや尾びれ、体全体を震わせながら砂地を巻き上げ一心不乱に掘り進めている様子だ。なんとも微笑ましく、ユーモラスでもある!
その思いもよらない犯人には私自身も少なからずショックを受け、また、感動していた。
驚くほどに正確で繊細なパターン、「下図や構造図」がある訳でもないだろうに・・・。
ときに全体を俯瞰できるところからチエックを繰り返し、造形の出来栄えを眺めていたのだろうか? サークルの中心周辺にはメスを誘うためのしるしか?それらしき模様が・・・。
貝殻やサンゴのかけらをサークルの要所に飾りつけてもいるのだから、驚く!
メスが気に入るとその中心で産卵。孵化するまでオスは見守っているのだとか。
厳粛な種の繁栄をつかさどるDNA、外敵や水流などから産卵や孵化を守るための造形なのだろう。が、2メートルものサークルパターンである意味、ある? まさに、ミステリー・・・。
同じ目的で、ハタオリ鳥が枝先にせっせと集めてきた草を編み合わせて巣作り、メス鳥を誘って求愛する様子にもにている。作り上げた巣がメス鳥の気に入らないとなれば、飛び去ってしまう・・・。また、改めて1から作り直さねばならない、というのだから涙ぐましいこと!
動機としては同じものだろう。生物の種の進化、繁栄をつかさどるDNAの記憶がこれらの本能的な行動となっているものだろう。
放浪の画家・山下清氏がジャガイモを大きいものから小さいものへと1列に並べていたように、フグも大から小へと石を並べている映像を見たことがあった。同じ美意識?習性なども、詳細な観察が継続されることで解明されることになるのだろう。
多分、鳥や魚の世界でも器用で、デザイン力があるものが「もてる」と、いうことなのだろうか? 巣の出来ばえしだい?メスの順番待ちもあると云うのだから、面白い!
「電脳と言われた時代、それでも自然(地球)は人類(生命体)の母胎であり永遠のテーマともなるものである」と。そう書いたことを思いだした。(「コラム:1 自然に学ぶカタチ」2002年10月)
未知の動植物や深海の生物など、壮大なロマン・・・。
それら未知の生命体の進化。特異な形への好奇心はいまも強く興味津々だ。
形体進化の不可思議・・・。それにしても、この小魚が、このような極めてデザイン的なパターンを造りだすことに不思議を感じ驚いてもいる!
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ところで、前回のコラムで取り上げたペットボトル・・・。
「こんなテーマ一つを観察しスケッチしたからって、なんの役に立つのだョ!」という声が聞こえる。「家電や文具だったら興味あるのだけれど、これは、あまり役に立たないんでは・・・」とも・・・。
ただ、「モノ」は何であっても、観察による結果として「分かった」ことの多くが、じつは自らの「発見力」になり、「解決力」として生きてくることになる。そのことが「分かる」ことが大切なことでもある。
ミステリーサークルも、ダイバーが好奇心をもち、行動、観察した結果の大発見である。
さらに観察を継続することで学術的な研究はさらに深化するだろうが・・・。
しかし、ここではその研究を目的とする訳ではなく、「モノ」が自らに機能していることを見つめ直してみること。時間をかけ丁寧に「観察する」ことで気付き、見えてくるものが必ずある。見続けることでモノの「見方」が分かり、そのデザインの「意図」すら分かるようにもなるもの。
仮に「何も見えないョー」という人は、単に見る意志が無いと云うこと、見方が大雑把で未熟、集中力に欠けるのでは、と云うことになる。適性に関わることでもある。
ただし、よく知っている「テーマ」だからほどほどですむのでは、などとゆめゆめ思わないことだ。観察することで、「知ってる!」と思っていたことが「間違いだった!」と、気付かせてもくれるものでもある!
つまり、そのことに気付くほどの「観察力」であって欲しい!と云うことでもある。
とにかく、日常的に「何か?」を丁寧に観察する習慣を持つことが、「デザイン力」をもつためには極めて大切なことだろう。
1つを丁寧に観察することから始めるが、あれこれと迷うだけのテーマ選びにならないように・・・。「家電」や「文具」「クルマ」? 自分の興味しだいでテーマを選ぶことが、まずは一番いいのでは。改めて自らの興味、進みたい領域を考えることにもなるのだから・・・。様々なモノが累積する環境・・・。しかしここでは、自分の周辺を意識することで、いままでは気付くことがなかったものにも「気付く」ことになる。
それらを、広い紙面に書き出し、改めてながめてみるとよい。
モノの目的や用途、形、色あいなどと云うデザイン的なことを見るが、何より、自分の性格や趣味、好み、美意識の有無などということにも気付かされることになる。
それら、書き出したモノの紙面から最も興味あると思う一つを選んでみる。
迷うが、改めて自分の「直感」を信じる決断力も大切な経験となるものだろう。 (2013・9・1 記)
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メモ:
・私が「海底のミステリーサークル」を知ったのは、つい先日のテレビ番組・数分の映像を見たときだ。好奇心に駆られてネットで検索してみた。
・オスはまず、砂地を円の中心に向かって直進し、放射状に広がる溝を掘る。続いて、中心部を円を描くように泳いで砂をならす。メスの産卵の前日には、中心部に不規則な模様を刻んだり、サークルに貝殻やサンゴのかけらを置いたりして飾り付ける。
できたサークルにはメスが訪れて、気に入ったらカップルになり、中心部に卵を産み付けるという。サークルには水流から卵を保護する役割があるが、川瀬さんは「大きいサークルを作るにはエネルギーがいる。強いオスであることのアピールでは?」と。研究成果は7月1日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に報告されている。
・「この沖縄地域の砂の底にある何億年も前の太古の時代に異星人たちが使ったデザインは宇宙に共通するもので、一種のエネルギー収集器。そこから放射されているエネルギーをその魚たちは感じ、からだが感知するエネルギーラインを単純になぞっていくことによって、海底の砂の上に図形を造り上げる。そしてメスたちも、そのようなデザインに感応してその中に入って産卵し、それをオスが受精させるのです。造られた図形の尾根や窪みによって受精卵が十分に保護されることは確かですが、それは彼らがこうしたデザインを造る理由ではありません。ある意味でそのようなデザインは、エネルギーや意識を集中させる目的で、線や幾何学的なデザインが使われるマンダラと同じです。DNAには、先祖たちが知覚したものと、前生での記憶の集積が刻み込まれていて、精神的独自性の基に。DNAの人体は、膨大な量のイメージや刻印、そして個人的印象などを保持することができる、精巧に設計された機器です。それらの情報は、瞬間ごとに正確に記録され、細胞レベルに保存されます。これがやがては、知覚的影響として大量に蓄積され、世代から次の世代へ、生来の超自然的な血縁のテレパシーを通して伝えられる。(「拡大意識へのヒント―海底の造形」・アセンション時局 ‘13・8)