■清水教授のデザインコラム/連載 - 61(06/30/2007)
「軽井沢セミナー:4枚のプレゼンテイションパッド・・・・・」
セミナーも終わり近くになると、4枚のパッドが追加支給される。
提案するデザインのプレゼンに使うもの、一寸上質な紙だ。
そのプレゼンパッド制作に備えて体力の温存?そこここの床や長いすに仮眠をとる者が目に付く・・・。
最終日は例年通り、朝の7時が締め切りなのだ!
テーマや条件を与えられてからのコンセプトやアイデアスケッチなど、デザインプロセスの全てが描かれるパッドは40枚以上がノルマになる。
それらの集大成となるのがこの4枚・・・。その出来ばえが結果の評価を大きく左右することになる。デザインプロセスの中でも時間を睨みながらの作業は充実した、最も緊張した時間でもある。
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早朝、各グループの制作現場を覗くと整然とイスに座り作業中だった。
例年の時間におわれるように慌しく動き回る様子とは違う物静かさ・・・。
疲労感のある顔つきを見ると、「間に合わないのでは・・・」という不安がよぎった。
提出までは・・・あと1時間とチョッと・・・。
ひと通り見回ると、受付会場のへ・・・。
「あと10分・・・」
薄暗がりの階段をパッドを抱えた学生が下りてくる・・・。
気がつくと、ほぼ全員が提出していた・・・。
4枚のパッドも、審査会場の都合で2枚を見易いようにと指示する。
提出を終わった学生たちの開放感・・・。
ホッとしたもの、不安げな表情もみえる。
しかし、意外に元気な笑顔!やり終えたという達成感だろう。
100余名の作品が床一面をうめる。
それでも、予め調査分析されプリントアウトされたPCチャートとは明らかに違う作品が並ぶ。完成度の質が違うのだ!
その全てが彼らの手で書かれ、描き出されたものだから・・・?
日頃の作品とは違うもので、彼らの能力の全てを曝け出したものといえるだろう・・・。
審査は例年通りだが、20ポイントの配分、作品の評価にはには難航した。
通路を残して敷き詰められた作品を俯瞰し、その間を数回も行き来して決まらない。
覗き込みながら眼を留め足を止めての移動、しかし紙面に手を伸ばさせるものが少ないのだ。
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もう少し、プレゼンテイション4枚に時間を割きアッピールするため、「魅せる」ための工夫が必要だろう。これは、ポートフオリオにも共通することだが・・・。
テーマをどの様に解決したか!
コンセプトは提案の主旨を理解させ、共感させるために・・・。
テーマ、関わる造形は合目的性と新鮮さを表現し、使用時の新しい可能性を見せるために!
正確に、魅力的に描くことで用途の説明、分解構造図や図面・寸法などがあれば理解は早いはずだ。
その1枚1枚の完成度に、デザインセンスが見えるものだ!
そのことが審査員の眼を留め、結果の評価に繋がることになる。
プレゼンテイションの意味を考え、その内容、方法などをいま一度確りと検討、研究するべきだろう!
(30 June /2007 記)
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追伸:
○提出が極めてスムースであったように、思い返せば、集合もam9時にはほぼ全員が駆
けつけており、20分も早くバスをスタートさせることが出来た。
研修所への到着を考えて、途中休憩を長く取らねばならないのでは、というこれまで
には無い経験だった。
今回のセミナーはリーダーを中心とした上級生の指導力とチームワークの徹底が大き
かったのではと思っている。
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参考:
●製品デザインで考慮すべきこと
多様な要求や問題を適切な解決手法で発想・具現化する過程がデザイン
1 製品の目的・用途・機能を適切に表し、<らしさ>を持った形態であること
2 製品が使われる環境・空間秩序のテーマ性が明確、適切な形態であること
3 材料、加工技術、構造、コストに無理や無駄がないこと
4 製品としての統一感と変化のバランス、美しく新鮮で魅力的であること
5 必要以上の装飾は避けて、未来性を持った形態であること
6 競合製品との差別化、独自性を持つた形態であること
7 形態の発明・発見
8 その他
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●製品形態:ボラードのカタチ
機能・材質・構造・加工、そして、寸法・色彩・テクスチュウアーなどの造形要素など、
種々の条件が1つのまとまった姿に集約されて表現されたもの
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●パッドのレイアウト手法はいうに及ばず、点・線・面などによる表現力・造形力の多様
さが必要だろう。演習授業によるデザイン力の体得にも期待したい。
●相談されて答えたアドバイス・・・。
答えそのものを教えると言う訳には行かないが、あまり反映もされていないようだと
も・・・。なぜ?
■第32回軽井沢セミナーの学生達の
様子及び表彰式の様子は
こちらをご覧下さい。
■第32回軽井沢セミナーのキーワード
テーマ、マップ及び優秀作品の抜粋は
こちらをご覧下さい。