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清水教授のデザインコラム/連載 - 82(03/31/2009)

「優れた製品、生産性故の反動!?」

歴史はくり返している・・・・
世界同時不況のニュースが日々、深刻の度合いを増しながら伝えられている。
企業の景況判断指数は−51〜52.9、なかでも製造業分野では−66〜69と厳しい数値を示すものに・・・。
この不況の震源地となったアメリカ・・・。
「先進国の中では、我が国の痛手はそれほどでもないはずだ」と比較的楽観的なコメントも何度か聞いていたのだが・・・。
しかし、最近はそんな楽観論を打ち消す数値ばかりなのだ。

世界中に優れた製品を輸出し・・・・
先進国としての我が国を支え、戦後最長といわれる景気を支えてきた車や電機、精密、機械などの製造業が、実は最も厳しい不況の波をかぶる結果になっているのは皮肉なことだ。
優れた製品の部位・部品を造る製造業が構成する組織、下請けやその孫請けなどのネットワークは、内需量、輸出量を超えて生産性を向上させてきたことも。
系列化し結束していた組織も本体企業がなくなれば身も蓋もないこととばかりにしわ寄せは末端へと移していったこと・・・。
徐々に、その固い結束は失われていった。
それら中小零細企業の優れた技術も、今は世界に拡散し弱体化することになる。
しかし、モノづくりの技術を失い、世界のマーケットから忘れられる様なことになれば、我が国の存在感はない!

結果として輸出に依存する体質は依然として継続されることになるのだろうが・・・
しかし、内需を喚起すべき「モノ」の多くは既に充足しており、これ以上に「欲しい・・・」、「買いたい・・・」というものが当面はない!というのも問題なのだ。
勿論、まだまだ、衣・食・住の充実やよりよい生き方を保障するモノの在り方が終わることは無い。

部品を担当する下請け、孫請け企業の経営の深刻さは尋常ではない。
いまは世界同時不況の中で、それらの製造のシステム、人員配置の適正を図り、変えることが求められているということだろう。
システムのバランス、淘汰を急がせているようにもみえる。
変化を促しているのだが、しかし、時間をかけて組織されたシステムはそう簡単に変身できるものではない。

資本主義の原則であるMore and moreは・・・・
もはや限界で破綻せざるを得ないのだという警告は経営指導の神様ともいわれる船井幸雄氏によって発し続けられている。
しかし、それが明日であるのか、10年後であるか?
現実の社会は、いまが問題でありせいぜい明日のことが問題なのだ。

デザインは、変化を捉え変化をつくるもの・・・・
人間は常によりよい生き方を求め、安住と安定を求めて営々と努力して来た歴史がある。
しかし、人間社会における「安住」、「安定」の状態に満足することはなく、ほど遠いものだろう。求める必死さが失せ、退廃に繋がる。衰え廃れ、向上心を失わせることになりかねないのだ。人間にとって健全を保つのは、常に問題を突きつけられる状態であると考えている。私達が関わるデザインもまた「変化」をつくる。美しく、魅力的な変化をつくるのだということになる。
造型は視線の変化を生み人々の感性をとらえる。用途や操作性の変化は思考力を要求する。変化によって生まれる功罪、その全てが生活に反映し人間が生きることに重要でもあるのだ。
「変化」は生活の中に新鮮な気分と緊張を与える。人々に「考える」こと、「学ぶ」ことを意識させることになる。
                       (2009/3・31 記)
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メモ:
・この旅を終え帰国する日がこのコラムの締め切りの日だと気付いたのは、スカイライナー成田第二空港に降り立ったときだった。
「よし、講演とセミナーの間にも考えよう・・・」と腹を決め目的地、台湾へと飛び立ったのだが・・・。
取り敢えず送信する・・・!

・第二回目となるWBC・・・・
5回目の対決となる日韓両国の対決となった。
人々の心には何でも許せるような充足感と虚脱感が交錯しているように見える。
「侍ジャパン」の愛称には、ちよっと馴染めない気がしていたが、ドラマ以上の展開で因縁の流れは決着したのだ。一喜一憂し狂喜乱舞している観戦者を見るのも楽しいこと・・・。殊更に感動を与えられたものでもあった。
不況に次ぐ不況。派遣切り、憂さを晴らすものにもなり日本人として、民族としての誇りを人々に思い起こさせるものだったように思う。
何ごとも巻き込んで、一丸となるチームワークを見た。

・デザインを学ぶ・・・・
真似る?→模倣…にせもの
真似ぶ?→真似て学ぶ、習得する
学ぶ?→真似てする・・・習って行う、教えを受ける、業を受ける、習う、学問をする
・古く数学的な思考が少ない時代には右脳思考のみで、左脳思考はなかったと言われている。