■北欧デザイン旅行報告(10/22/2006)
福富ちはるさん(デザイン学科副手;H14年度卒)からの報告
今夏も北欧に行ってきました。去年と同じく2週間の旅です。ひと味もふた味も違う旅での発見をまたここで紹介させていただくこととなりました。北欧の雰囲気が少しでも伝わればと願い、楽しんでいただけたらと思います。
今回もまずデンマーク、コペンハーゲンから入りました。北欧の窓口、デンマークの空港、‘カストロップ空港’は北欧で最大ではないでしょうか。免税店はまるでデパートの中のように広く溢れています。太陽の光がいっぱい入る様に窓が大きいので空港内はどこも明るく、置かれている椅子やソファはもちろんデザイナーズです。飲食店も街のカフェのようで、見て回るだけでもいいですし、どこを選ぶのかだけでとても時間がかかりました。(でも、どこも高いノ結局一番安価なところを選びました。)
板張りでできたフロア。北欧はほとんど石畳なのでこの板張りがとても心地よく感じました。開放的な空間がかっこいい。
飛行機ででたコーヒー。SASの配色はいつ見てもお洒落だと思ってしまいます。ただのコーヒーとミルクなのだけれどもついつい撮ってしまいました。
コペンハーゲンと言えば、誰もが知っているチボリ公園!レトロでどこか懐かしくて、なんといっても愛らしい遊園地。訪れる人々が子供から高齢者と幅が広いところに驚きます。みんなに愛されているところなのですね。
唯一乗ったメーリーゴーラウンド。きりん、鶏ノ貴重です。
中国のお城なんかもあります。夜に行くと本当にライトアップが綺麗です。
2日目にアンデルセンの街、‘オーデンセ’に行きました。インターンシティで2時間弱。行きは天気がとてもよかったので、電車から見る風景も本当にすてきでした。
電車は自転車も乗せることができるので大きいつくりになっています。中もゆったりしているので快適な電車の旅を楽しめます。もちろん混むなんてこともめったにないのです。オーデンセは何度きてもうっとりしてしまうほどかわいい、絵本の中のような街です。
アンデルセン公園。あいにくの雨で暗かったのですが芝生がとても綺麗でした。アンデルセンの像の後ろにはあるのが聖クヌート教会。
聖クヌート教会。祭壇が金色に輝いていました。
コペンハーゲンから北に電車で30分ほど行ったところに、とてもすばらしい
現代美術館があります。コレクションもすばらしいのですが、なんといっても展示の仕方がとてもいいのです。去年とはがらりと違う展示に今年も魅了されました。工事中のところがあって少し残念でしたが、テラスから見えるオーレスン海峡がとても美しかったです。ここにあるミュージアムショップも最高です!
ルイジアナ美術館がある‘フムレベック’の駅。レンガ造りなんて、海外ならではですね。風景にはまっています。
箱型のモノに光を透過させて見せる椅子の紹介。
カフェテラス。ここからの景色は最高です。この海の先がスウェーデンです。
贅沢をしてサーモンを食べました。とにかくおいしい!
(この旅でも基本がパンとチーズとハムだけでしたからノ)
デンマークにいくならルイジアナ美術館には絶対に行ってほしい!
ここはそう思えるところです。
コペンハーゲンは自転車利用者が本当に多い!!
なかでもちょっとびっくりしたのが、子供をのせるのに前輪のところに大きな箱がのっているだけの自転車。簡易的すぎる。でも子供は楽しそうに乗っているんですよね。これが..
こっちの人はアイスが本当に好きなんです。この日も肌寒いのに列をなして食べていました。乳製品がおいしいから仕方ないのですかね。。アイスの消費率は日本の倍だそうです。
最終日にとまったユースホステル。これはロビーですがユースとは思えないほどお洒落。部屋も綺麗で清潔でした。お勧めです!
かつてアンデルセンも好きで住んでいたという港町‘ニューハウン’
コペンハーゲン中央駅から歩いて15分くらいのところにあります。
北欧の天気は変わりやすく、ニューハウンで雨に降られたのですが、すぐやんでそのあと大きな大きな虹を見ました。とても感動的な風景でした。
さて、デンマークを堪能して、次はスウェーデンです。前期に特別講座にきていただいた山野陽子さんがいらっしゃる国です。私は北欧の中でスウェーデンは一番好きかもしれません。
まずフェリーでゴットランドに行きました。去年も行ったのですが、ゴットランドはストックホルムからバスで1時間のニーナスハムンという港からフェリーで約3時間いったところにある、バルト海に浮かぶリゾート地です。島
中にある遺跡、廃墟、教会などまるで中世の時代にタイムスリップしたかのようなところです。町全体がユネスコの世界文化遺産に登録されているヴィスビーという町に1泊2日滞在しました。
丘の上から見下ろしたヴィスビーの町並み。街の全貌を見下ろせて、海も見えて、まるで『魔女の宅急便の世界』です。(実際モデルになったとか。。)
中心地にある教会。『サンタアリア大聖堂』
そして、この島でついに出会えました!羊に!
羊を探しに、自転車でヴィスビーから南へ漕ぐ事1時間!やっと出会えました!なかなか場所がわからなかったのと、自転車に乗りながら見る景色があまりにもよくてテンションあがり、無駄にはしゃいでいたので後半は大分疲れていたのですが、羊に出会った時はとても感動してしまいました。ヴィスビーには羊毛で作られた雑貨などが売っていて、羊がたくさんいるのは知っていたのですが、こうやって実際に見てみると、とても愛らしいのです。
!!!!(でも逃げていくノ)
こんなに近くにきてくれました。かわいい。
ゴットランドを堪能して、またストックホルムに帰ってきました。
北欧を本当に日差しがつよい!太陽が近すぎます。お洒落ではなく、本当にサングラスが必要なんだと知ります。夏のこの太陽は北欧の人々にはとても貴重なので、少し肌寒いのに、タンクトップだったり、外で食事したりノ。残り少ない夏を楽しんでいるのだと思います。(日本で言えば間違いなく、秋なのですが。)冬の北欧を経験したことがないのでわからないのですが、太陽があがらない日もあったり、寒すぎて外にでられなかったりで、みんな冬は憂鬱になるそうです。太陽って、生きていくのに重要ですね。当たり前ですが。
またもやスーパーでパッケージを撮影。怒られないか不安になりながら。
これは日本でいうクラッカーのような固いパン。バターを塗って食べたら最高においしい!日本のイケヤにも売っていたらいいのにノ
ヨーグルトドリンクみたいです。パッケージがかわいいですよね。
今回はちょっと足をのばして、グスタフバーグという町に行きました。
グスタフスベリ陶芸美術館に行くのが目的で、ストックホルムからバスで約30分行ったところにあります。スティグ・リンドベリの作品が見られるということでとても楽しみにしていました。それまであまり興味がなかったというか、ちょっと知ってるという程度だったのですが、リンドベリが描く線やパターン、イラストがとても暖かく、色合いも素敵なのですっかり虜になってしまいました。残念ながら彼の絵が売っていなかったので、日本で本を探してみようと思います。ちなみにアウトレットで念願のリンドベリデザインのお皿を購入しました。食卓がとても明るくなり、ご飯がおいしく感じるので気に入って使っています。
美術館前の看板。
美術館の中にあった折りたたみ椅子。折りたたみ椅子の収納の仕方もシンプルで美しかったです。(スウェーデンの美術館でよく見た椅子)
また初めていったのがユールゴーデン島にある、スカンセンというところ。(スウェーデンは島がいっぱいあります。)
日本でいう日光江戸村?みたいなここは野外博物館です。1500年代の農家、住宅、工場、雑貨屋などの建築が見られ、その建築の中には昔の衣装を着た人がいて、建物を説明してくれます。駆け足で見て回ったのですが、動物園もあったりして、とても楽しいところです。でも人が全然いなかった。
野外博物館スカンセン入り口
そして何度も行きたくなってしまうのが、グンナールアスプルンド設計の森の火葬場です。
ここのランドスケープはとても心地よい。おだやかな気持ちになれる場所です。
まず目にはいるのが十字架です。(昨年の報告記に写真があります。)十字架の平行したところにアスプルンドが眠っています。
緩やかな丘がとても綺麗(瞑想の丘)
建物の内部。壁と一体になっている椅子が印象的でした。
天気のいい昼もいいのですが、月夜に来るのもよいらしいです。(ちょっと怖いですけどね。)でも墓地っていうのを忘れてはいけません。カメラを持った旅行者を何人もみたのですが、墓地に人が集まるってすごいと思いませんか。
これもアスプルンドの考えにあったのでしょうか。。
アスプルンドが設計した市立図書館。残念ながら中は工事中で見られませんでした。外観だけ。
スウェーデンの地下鉄。岩がむき出しになっていて、掘ったままの感じです。
2度目のゴットランド、火葬場に行けて、またリンドベリの作品を見られて、より一層スウェーデンが好きになりました。今度こそはガラス工房に行きたいです。オーロラもみてみたい!
そして三か国目、フィンランド。
夕刻にスウェーデンから大型客船に乗って16時間ほどかけて行きます。(船酔いしないかとても不安になりながら。)フィンランドは三か国の中で一番人が少なく静かな国でした。
シリヤラインの船内(まるでデパートの様です。)
船内の夜はどこもお祭り騒ぎです。お酒をのんでほろ酔いで気持ちよく踊っている人がいました。楽しかった!
ヘルシンキ大聖堂。トラムの線がとても綺麗に見えました。
アアルト設計のアカデミア書店
中央が吹き抜けの柱が少ない設計と、照明の使い方がおもしろい。
やはりありました!キシリトール。これはパッケージが素晴らしくて、閉めたら簡単に開かないようにさりげない工夫がされているのです。(写真じゃわかりませんが。)このさいげないデザインが私は好きです。味はメントスのような感じでとてもおいしい!
駅の天井。構造が美しくてノやはり太陽の日差しをいれるためか。
意識して設計しているのだと感じました。
北欧ならではの料理。ベリーソースをかけて食べるミートボール。とてもおいしい。こっちでも人気の店らしく6時頃からたくさん人が集まってきました。
他にもアラビアショップや、キアズマ美術館、テンペリアウキオ教会、マリメッコ。今回は画像を紹介しきれないところもたくさんあるのですが、最後の国フィンランドもとても自然が豊かで、時間がゆっくりで、空が高くて、空気がおいしくて、とても透明感のある国でした。
あと、今回はフィンランドから、高速艇で1時間半で行ける、エストニア、タリンにもいきました。2時間しかいれなかったのですがノ(少しだけ紹介します)
高速艇リンダライン(とっても早い。アトラクションのようで..)
タリンの港。どこか冷たいイメージ。元々はホールだったところに発着所をつくったようでした。
一部だけ残されている古い町並み
どこかロシアの面影が残っているそんなところでした。私たちが行った町は旧市街で昔の町並みが残されているところだったのですが、一歩そこを出ると近代的な街も存在していました。フィンランドに行った際はぜひタリンまで足をのばしてみてください!
単純なことで、北欧は高層ビルがないからかもしれませんが、空が高く感じて、空の雲や空の青さが、必ず目にとびこんできます。そして花が綺麗で、空気が、水がおいしくて、人が温かくて。太陽も近くに感じることができる。北欧とはそんなところです。
スカンジナビアンデザインもさることながら、北欧のこの自然のよさが私は本当に好きです。(だから2度もきてしまったのかなと。)
そして自然のよさにはかなわないなぁと改めて感じた旅でした。これから進む人生の中でせめて私ができることは、‘自然に恥じないモノ作り’なのかなと感じました。この旅で感じたこと、出会った人、もの、異国を知ったことは自分のデザインワークの糧になると思っています。まさにエネルギーをもらった感じです。この旅での出会い、また一緒に旅をしてくれた友達に感謝して、旅の報告記を終わりにします。
福冨ちはる
■北欧デザイン旅行報告(10/21/2005)
福富ちはるさん(デザイン学科副手;H14年度卒)
安斎明日香さん(デザイン学科副手;H16年度卒)からの報告
2005年9月9日から9月20日の間、遅めの夏休みをいただいて、同じくOGの安斎さん(H16卒)とデンマーク、スウェーデン、フィンランドに旅行に行ってきました。ひとつの目的はデザインの見聞を広げる事!もうひとつの目的は留学中の野口さんに会いにいくこと。ただのプライベート旅行にすぎないのですが、旅で感じた事、発見したことを少しですが、紹介させていただきます。
少しでも楽しんでいただけたらと思います。。
まずは成田からデンマーク・カストロップ空港へ。飛行機で約11時間。
初めて乗ったSASは快適で、グッズデザインも素敵でした。
たとえば、ランチボックス。グラフィックももちろんですが、無駄のない作りには二人で感動したものです。
デンマークはこの3つの国で一番わたしが思い描いていた北欧にぴったりの国でした。
チボリ公園があるせいか、本当に子供が多い!!しかも可愛らしいのです。
どんな場所にも子供の為の遊び場が必ずと言っていいほどありました。
まず驚いたのがデンマークは自転車の利用度が高い!自転車道路があって、びゅんびゅんとばしている人に何度かひかれそうになりました。。電車では自転車が積みこめるようになってました。
デンマーク中央駅から電車で1時間30分くらいの郊外にあるアンデルセンの街、オーデンセにいきました。写真はアンデルセン美術館。
オーデンセの街並。まさにメルヘンの世界でした。
中央駅
多くの人が利用する駅で、ステンドグラスがとても印象的でした。
デンマーク王立図書館
斜にカットされた建築でとってもかっこいい!黒いダイヤとも言われているそうです。
デンマークデザインセンター
デンマークデザインを代表する作品がたくさん展示されていました。
飛行機でストックフォルムへ。
スウェーデン、ストックホルム
同期の野口さんと再会。野口さんの通う大学Konstfack王立芸術大学を案内してもらいました。学校はエリクソンの会社の横にあり、もともとはエリクソンの工場だったところを学校に改装したとのことでした。第一印象は白くて明るい!太陽光が常に入る設計になっていて、とても清潔感のあるオシャレな大学でした。廊下、ホールは展示会場に使われていて、誰でも見にこれるそうです。近所の小中学校の生徒が学校見学にくるのも稀みたいです。
アトリエは1年生から大学院生までが一緒に使用していました。しかもキッチン付き。
快適すぎる環境でした。手前にいるのが野口さん、この旅では本当にお世話になりました!
机をのぞいてみると、机の上は万国共通でコピックやスケッチが並んでいて、ポートフォリオなんかもありました。
図書館は地域住民にも公開していておじいさんが窓辺にすわって一生懸命本を読んでいました。(とても絵になるのです。)アクシスもあって、どうやら野口さんしか読んでないようでした。
素材が並べてありました。(是非日藝でもやりたいですね。。)
工房も見せてもらいました。塗装室、発泡を扱う部屋、金工室、木工室、それぞれ細かく部屋に分かれていて環境のよいところでした。(でも全学年使うにはせまくないのだろうか...)天井はどこも窓になっているので明るくていい!と思ったのですが、冬は太陽が上がる時間が短いので暗い日が多いそうです。。。
学食
スウェーデンではパッケージデザインが特に目をひきました。スーパーに行くとどれもかしこもパッケージデザインが素敵なので、恥を忍んで写真を撮りまくりました。なかでも私達が惚れ込んだパッケージがヨーグルトの「YOGGI」。味によってカラーが違ってとても素敵でした。牛乳パックもたまらなく可愛かったです。(牛乳パックのストライプの太さは脂肪分のレベルを表している)
森の火葬場(kapell krematorium)アスプルンド作
いわゆる墓地なんですが、世界遺産にも登録されています。芝生がとても綺麗でピクニックしたくなるような素敵な公園でした。
スウェーデンの象徴、ガラスの棟。薄暗くなるとぼんやり明りがともってとても幻想的でした。
魔女の宅急便のモデルになったと言われている時計台。
スウェーデンからフェリーで3時間ほどいったところにある島、ゴットランドにいきました。時間がなくて1泊しかできなかったのですが、とってもよいところでした。ゴットランドの中心地ヴィスビィ街の高い所からは海を見ることができ、ここで食べたお昼はとてもおいしかった。
街には世界遺産にもなっている教会の廃虚がたくさんありました。
街を囲む城壁
街中の家がとてもかわいく雰囲気のあるものばかりでした。
海辺にはさりげなくブランコが。ここだけでなく、たくさんありました。
夕日
ゴットランドで見た夕日は、今までで一番神秘的で感動しました。
最後にフィンランド、ヘルシンキ。
スウェーデンからシリヤラインでヘルシンキへ。船にのっているとは思えないくらい中は賑わっていて、免税店で買い物する人や、カジノを楽しむ人や、高級レストランで食事している人、本当に皆楽しんでいました。豪華客船?の旅はとても貴重な体験でした。
フェリーからの眺め
アラビア工場
アラビア、イッタラなどのアウトレット商品が売られていて買い物に夢中になってしまいました。。。
この工場の横に同じく同期の池田君が留学中のヘルシンキ芸術大学がありました。
ヘルシンキの中心街にある現代美術館キアズマ。
建築がとてもおもしろく、展示をみていても全くと言っていいほど飽きないつくりになっていました。
5-キアズマ.jpg
キアズマの目と鼻の先にある岩でつくられた教会テンぺリアウキオ教会
教会とは思えない外観とはうらはらに、岩で囲まれた内装はとても美しく、感動しました。
中心地からトラムで30分くらい行ったところにあるアルヴァ・アアルトの自邸にもいきました。時間がなくて、近くにあったアトリエは行けなかったのですが、自邸もとてもすてきなところでした。(学生の時に製図の授業で書いた花瓶がオシャレに使われていたのが印象的でした。まねしようと思います。。)
以上で終わりです。旅のほんの一部分でしたが、楽しんで頂けたのならば幸いです。
街のいたるところにある看板やサイン、プロダクト等、北欧には本当にデザインが溢れていると実感しました。あとなんと言っても自然がすばらしい!空気のよい環境だからこそ、よいモノ造りへと繋がるのかなとも思いました。もし次に行く機会ができたら、ガラスの街スモーランドに行きたいです。
この旅でのたくさんの出会いに感謝して、これからの創作活動につなげられたらと思います。最後まで見ていただいてありがとうございました。
福富ちはる、安斎明日香
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