「ご趣味は・・・」と、時に私にも聞かれることがある。
そのたびに、「スポーツ観戦です」と答える事にしている。
旅行やゴルフ、つり、ボーリング、テニス、スキー、写真、将棋、碁・・・。
「デザインをやるのに何でもためになるのだから・・・」と、若い頃、誰かに進められた。
何でもやった、が1っだけにはまらないことにした。
それらを思い巡らすのだが・・・。どれが趣味だと言えるのかと躊躇してしまうからだ。
「ありません・・・」と応えるのも、余りに無愛想、話が終ってしまう。
何より「朴念仁に見られかねない!」と考えてのことだ。

野球は例外として、ボクシング、サッカー、バレー、水泳、柔道・・・。それが何であれ、特に国際試合であれば一層、応援に身がいる。
かっての日本は、身長差、跳躍力、筋力など体力的に劣るために様々な秘策を講じた。様々な小細工?相手の裏をかく奇襲攻撃は見事だった。
世界に冠を成していたバレー、その「技」も先方に読まれ盗まれると分が悪くなった・・・。
サッカーも「駄目だナー」と言う感覚が数年前まではあった。
敵ゴールにボールを蹴りこんで行くわけだが、いかにも約束されたパターン、戦略はぎこちないものだった。動じる事も無く敵勢はがむしゃらに攻め込んでくる、その個人技、何よりも身体能力の高さを見せ付けられた。
そんな試合に愛想を付かして、余り見ることもなくなった。

しかし、最近、幾つかの試合を見るにつけ、その動きにほとほと感心してもいる。
国内Jリーグの盛り上がり、チーム間の切磋琢磨は、個人技を研ぎ澄ました。
若い優秀な選手も続々と生まれてもいるようである。
さらに、海外名門チームへの参加、一流選手を直接目にし、対戦することで過大な恐怖心はなくなり自信と確信にもなっていたのだ。
ゲームセンスや駆け引きに一層の磨きがかかったのだ!
そんなメンバーによるチームワーク、以心伝心のフオーメイションは変幻自在に機能して見事だ思うことが多くなっていた。
これがあの同じ日本人かと思う最近の試合振りだった。
ただ、今回のアテネ・オリンピックでは残念な結果に終わってしまったのだが・・・。
まさかの連携ミス、一瞬の油断があったのだ。
そして、マスコミが騒ぐほどに世界は甘くなかったと言うことだろう。
しかし、その実力は確実に世界のレベル! 必ず次に繋がるものだろう・・・。
多分、何よりもそれらに刺激された小中学生を含めた社会的な底辺の広がりがあるからだ!スポーツは何よりも強くて、勝利することが人々の関心を集める。
選手と共に多くのサポターもひたすら勝利することを願って参加しているからだ。
・・・・・・・
ところで、70年目にして初めてのことだとか・・・。
日本のプロ野球選手会がストを行った。
ここ1週間ほどの国を挙げての論争にも・・・。
2リーグ12球団の経営が困難でパリーグ2球団の合併計画が発端だった。
ファンの為にと言う経営者、選手会双方の言い分には大きな隔たりがある。

数十年?営々と積み上げて来た球団組織、数えられないほどの艱難、耐えた辛苦!
その後に・・・。やっと得たであろう経営者たちの現在の地位・・・。
「選手如きに何が分る!」
「IT企業?」、「ライブドアー・・・」、「ポット出の若造に何が出来る!」
「経営が簡単にやれるものではないんだ!」と言う・・・。
僅かに10年足らずで年商100億。いつの間にか資産は数千億の・・・。「得体も知れない飛んでも無い奴! しかもネクタイもしていない・・・」
既存の企業人、経営者像のイメージからは押し測れないもの、余りにも異なる「カタチ」への拒否反応は大きいものだった。
ヌボーとした風貌、今時の若者らしくフランクなTシヤツ、31歳のライブドアー堀江社長への拒否感は極めて人間臭い感情、面子の問題でもあったのだ。

双方に初めてのこと、意地の行きがかりストのようにも見えるが実は、古い体質が台頭する新興勢力への拒否反応でもある様に見へる。
経営者側の一方的で尊大な姿勢、しかし、徐々にマスコミや世論の声が聞こえ始めると妥協点を見出そうとする動きに変わった。
一時の感情、拒否反応も時間を置いてみれば極めて他愛のないこと、大人げ無いと気付くものだ。利害、良し悪しの判断は徐々に譲歩の姿勢に軟化している。
そのための若干の時間・・・。
IT企業が社長の意向で即断することに対して経営側の「決断」は複雑な思考回路を経た末に決めざるを得ないものだった。
最初に名乗りをあげた「ライブドアー」、追って名乗り出た「楽天」、何れもがIT系ながら経営者の駆け引きにも興味が持たれる。
・・・・・・・
共同会見では経営者側の譲歩が言われ、スト回避が報告された。
さらに1社、IT企業・楽天の球団経営参入表明が又、野次馬の好奇心を煽ることに。
銀行OBで財界に人脈を持つといわれる楽天・三木谷社長のネクタイが決まっていた。一方、若者に共感されるTシャツ・ライブドアー堀江社長、代理でコメントをしていた副社長のネクタイの襟元が締まらないのもご愛嬌か!
そういえば先ほど記者会見した古田選手会会長と各球団選手会長達、経営者側の面々もネクタイを締めていた。
ヨーロッパを起源とし男性の襟元を飾るネクタイ、サラリーマンとして働くもののシンボルにもなっているようでもある。
ホワイトカラーであるという印し? 所属する企業への忠誠心、働くものの自意識を喚起するもの?かも。
しかし、何よりも他人に「礼」を失しない気配りを「カタチ」として見せる、常識ある社会人としての「シンボル」なのだろう。
そういえば、まさに常識ある大学生が、タレント紛いの扮装で「その場」が何をすべき所で、相手が誰であるかも考えられない者が増え、幼児化が目に付く。
「他人の目」、「カタチ(外見)」からの自己評価!高度のデザインを志す者ならば十分意識すべきであり、大人としての自覚、思考力を持つて欲しいものだ!
高温多湿、我が国の夏には耐え難いだろう企業人のネクタイ!しかし、耐える彼らのプライド? 社会人として、マナーとしてのネクタイ姿には敬服もしている。
私自身は、暑い日に襟元を締め付けるネクタイは苦手だ。ただ、人並み以上に社会人としてのマナー、他人に不快感を与えない身だしなみには心掛けてもいるつもりだ。

あのライブドアー堀江社長、IT企業家としての自信、しがらみに囚われない合理主義。
しかし、独善的な生き方には不遜と見られかねないこともあって、スムースな計画の進行を妨げるものにもなる。
そんなしがらみを抜けて時代は確実に移るものなのだが・・・。

(23・Sept/2004 記)
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追伸:ヤンキースの松井やマリナーズのイチローの活躍をリアルタイムで観戦出来る時代でもある。
我が国のプロ野球も時代のしがらみを抜けて、次代への一層の発展があるのだろうか?
来期、IT企業チームがどの様な「カタチ」でに生まれるのだろうか?
また、新球団の誕生は数十年振りの事だとか・・・。
それもまた、楽しみでもある。

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