無意識の偏見と創造力

アンコンシャス・バイアスが多くの表現者を悩まし受身の生活者・消費者をも即座に巻き込み

無意識の偏見がジワジワと日本でも一般化し価値観や創造性・表現物に影響を与えています

アナログ社会からデジタル社会になって間もない時代の混乱から生れ正される無意識の偏見

 

無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス unconscious bias)

2017年12月17日NHKGの「これでわかった!世界のいま」で、無意識の偏見を初めて耳にしました。

無意識の偏見とは「自分の育った環境や経験をもとに気付かないうちにもつようになった物事への見方や考え方」と解説。番組で世界144ヵ国・男女の格差調査であるジェンダー・ギャップ指数(世界経済フォーラム:World Economic Forum調査)は、政治経済教育健康の4つのファクターで番付され、男女格差の少ない1位は1980年に直接選挙で世界初の女性大統領を選出したアイスランド、100年以上前に女性に選挙権を認め女性国会議員数の割合は47%、経済の女性就業率は83%、日本国は政治で女性議員割合が9.3%、経済では女性役員・管理者が12.4%と、米国の49位よりも更に低い114位と先進国の中では最下位。経済成長を量る上で女性の労働力は不可欠であり男女格差は無くすべきとし女性が男性並みに働いた場合、世界のGDPは米国と中国を合わせた経済規模に匹敵する29兆ドル増加(約3,200兆円)する試算もあるとのこと。(マッキンゼーグローバル研究所調べ)

外国人労働者を雇用する前に日本人男女を優先雇用しない企業・国家も無意識の偏見からでしょうか。

 

”女子の方がコミュ力高い”(注:コミュ力→こみゅりょく)

約1年後の2018年12月15日、NHKG7時のニュースでも「女子受験生に対する医学部の不適切入試問題」で「無意識の偏見」が再登場していました。女子受験生冷遇のニュースは最近なのでご存知の通りです。

根底に”男女格差”やセクハラ流行り?の現状が#Me Too運動をきっかけに女性へのリスペクトを規範とする社会再構築が急務とされていそうです。

 

無意識の偏見はアナログからデジタル社会に頻繁化し加速

アナログからデジタル社会になってメディア代表だったテレビ局側の一方通行の情報発信から視聴者が参加する参加型の双方向・インタラクティヴ情報流通によって無意識の偏見が加速したと推察できます。

アナログ社会の今までは”言ったもん勝ち”から言ったら即座にリアクション・反応が返ってくるインタラクティヴなデジタル社会になって数年、デジタル社会に慣れないまま過去の手法や表現方法で老若男女が発信源になったテレビ内発言やSNSで粒言った(呟いた)一言が波紋を広げ炎上するなど一部過敏に反応され、謝罪に追い込まれるケースも頻繁化。一方で、大きな勘違いによるいわば常識(この場合の常識は”人や社会に正しい”認識)の無さから拡散するケースの方が目立ち、ネットで正義をかざし自主検閲で騒ぐ”ソーシャル・ジャスティス・ウォーリア”によってインフルエンスされた「自分の眼で人を観ず、人の文書で人サダメする」無数の主体のない人々がそれに輪をかけ加速させているアナログからデジタル社会になって頻繁化し加速する無意識の偏見と感じます。

 

無意識を意識すること

2つの無意識の偏見を題材にした放送の答えは無意識を意識するでした。

言葉遊びのように聞こえる答えでしたが、決定的な答えが出せていないということなのでしょう。あるいは、無意識の偏見が多岐にわたり受けた人々へのそれぞれの対処方法が一つにまとめられないほどなのでしょう。

 

独創性(originality またはinitiative)ある創造力、独創性のない:derivative、模倣の:imitative

デザイン、音楽、演劇、映画などのリアル表現世界や独創性の高いYouTube、インスタ映えのインスタグラムを代表とするSNS・ネット表現などの表現者は、「無意識の偏見」とどう向き合うべきか、向き合ってきたのか急速に世界的になった無意識の偏見ゆえ、意識していなかったが本音だと想います。

表現者は創出した作品・商品と並行しネットやSNSなどで自身の生き様も演出する傾向にあり生活者・消費者が表現者を身近に感じる反面、意識しないで表現した表現物や言葉が生活者・消費者を精神的に傷つけ無意識の偏見が拡散し創出した作品・商品に悪影響を招くケースが跡を絶ちません。

LGBTデザイナーで世界的有名ブランドの失態

ピザなどの洋食を中国人のモデルに箸で食べさせるコマーシャル映像が大不評となり中国国内で新店舗開店が延期され不買運動まで起きた報道に発信者側はタジタジでかえって溝を深める結果にしてしまいました。

世界的な高級ブランドバックメーカーのツモリ

世界的な高級ブランドバックメーカーの新キャラクターにアフリカ系の人々が不快感を訴えSNSで拡散し発売を取りやめる報道がありました。恐らく愛着を込めてと想ったツモリがアダとなったのでしょう。

二つの事例は有名だから自己過信も許される。特権階級のツモリでオゴル気持ちが消費者・生活者に不快感と嫌悪感、禍根を残すと理解・学習し、人としてコミュ力を自ら見直し情報発信前に細心の注意で無意識の偏見を意識することで、世界的に有名なれば権利保持以外に、なっただけの義務もあるのだという教訓です。

 

創造力の第一歩は独創性を活かし無意識の偏見を意識

音楽で言えば楽曲やメロディ、文学で言えば文字表現、絵画ではモチーフ、演劇では演じ方や台詞などの独創的な表現が20世紀までに出尽くし枯渇したと一部で言われ、技術進歩でデジタル社会になりYouTube、インスタ映えのインスタグラムを代表とするSNS・ネット表現などであらたな独創性から創造物・表現物が輝きを取り戻しつつあると感じられます。過去の偉大な表現者たちも今息を吹き返し独創性をもって創造物を表現すればそこには素晴らしい作品が輝きを放つはずです。新しい表現者は無意識の偏見をなくす意識の第一歩として目や耳、鼻や口、皮膚などの五感からセンスした情報を創造力の根っこである脳内で化学変化させ共通認識できる表現の基本である「言葉ありき」の段階で無意識の偏見を意識した表現を心がけルーティン(routine)化しておくべきでしょう。

                   明るく・元氣に・波動を合わせる…鈴木淳平

 

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