なんとも目まぐるしい時代になったものだ!
世界のそこここで起きるさまざまな出来事が、リアルタイムに拡散していることも、直ちに影響されることにもなるIT社会・・・。受けとる個人の「感性」や「タイミング」「ひらめき」によっても結果は大きく変わってしまうことに。未来を正確に予測することなど極めて難しく、ままならないことだが・・・。
ところで、日本の企業は、利益を確保するための市場予測やコンセプトを求め、経営的な数字ばかりが優先されているようにもみえる。コンプライアンスや社内ルールで社員を縛り、疑問を持って独立したユニークな発想をするデザイナーや技術者も結構多いのだとも聞いている。経営者には、少なくとも数十年、営々と積み上げてきた現状をなんとか維持したいという意識が強く働くものだろう。が、しかし、功を奏したモノづくりの手法と前例に倣うだけでリスクを回避したいとするだけでは激変する時代を生きのこるのは難しいだろう。大前研一氏(経営コンサルタント『SAPIO』小学館16/2)は「もう、『改善』だけでは生き残れない!これからは『0から1』を生み出す力が必要なのだ」と。さらに言えば、「『1から100』までも一気に広げる世界的なネットワークを考えるべきだろう」と。
しかし、「0-1」、或は、「1-100」を目指す者のみならず、手に触れる発想が極めて有効だろう。常識を突き抜けるデザインはデザイナー自らの生体から発するヒラメキであり感性でもあるからだ。ルーチンワークとしての調査やコンセプト作成に多くの時間を費やすよりも確信を持って「その可能性」にアプローチすること。その結果次第では直ぐに修正するといったスピーデイで柔軟な対応も必要だろうが。
ベンチャー企業は、「0から1」でなくとも「1から2」を生み出せる発想力であり、日頃から温めているユニークなアイデアをスケッチにおいて、検討を繰り返しながら思いを具現化しているようにも見える。いまは、個人や中小企業でも、多くの情報やユーザーにアプローチすることが出来るし、大企業並みのチャンスはある。
しがらみに囚われない自由なモノづくりの環境が醸成され、新たな可能性と多くの優れた科学技術などの世界のトップレベルの層の厚さと広さが、新しい日本のモノづくりとしての可能性を膨らませている。
いまは、少品種、大量生産では否定されてきたユニークだが「尖ったアイデア」、「多様性」や「個性」が貴重なデザインの強みにもなり、ベンチャー企業の主要な商品でもある。人の本質的な「生活・欲求」は世界的にも変わるものではないだろう。たとえば、生活や自分自身のニーズとして捉えた感性は日本人のデザイン力の中心にあり、共感され信頼される高品質の「ジャパンブランド」でもあると言える。「自分が望む生活」、その実現に「何が必要か」「何があったらよいか」を確りと考える発想力が求められている。
(2016/2・1記)
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メモ:ネット上に紹介されているベンチャー企業――これまでの量産品とは異なるユニークなアイデアでオリジナリテイが高い「商品」がユーザーに求められている。その商品の企画・開発と品質を保証する中小企業による製造加工プロセス・・・。そのブランドを立ち上げるビジネス展開など。
・ハイアールアジア――代表取締役社長兼CEO伊藤嘉明
――「ワクワク感のある製品しか作らない!?」 コンセプトをすべてチェックし、社長のゴーサインが出ない製品は日の目をみない。売れるか、売れないかではなく、社長、消費者をワクワクさせて、いままでにない価値観を生み出しているのか否かが重要だと。奇抜な発想、常識破りの自由な発想を!「自分はこれが欲しい」、「これがあったら多くの人が喜ぶはず」という思い。市場調査ではニーズが見えなくても、潜在ニーズを掘り起こした製品を作れば、それがニッチだとしても新たな市場が生まれ、ニッチな市場をマスマーケットに成長させるという狙い。大画面ディスプレイの中に熱帯魚が泳ぐ冷蔵庫、スケルトンタイプの洗濯機、「スター・ウォーズ」人気キャラクター「R2-D2」型冷蔵庫R2-D2型冷蔵庫、ポータブル洗濯機AQUA「COTON」など。 「こんなのもアリ」と思わせることで、社員の中に巣食っていたタブーを打ち破ろうとしているのだとか。
・カドー 代表取締役副社長兼クリエイティブディレクター 鈴木 健
――「プロダクトに必要なもの。それは“哲学と“ストーリー”」 カドーの家電はシンプルながらも、実は細部に至るまでも尖っているのだと。素材や色、形状にも必然的な拘りを持つ、家電を置いた空間にも大きなインパクトを与える存在感をもつ。家電に関する哲学を表す公式(技術+美)×心=カドー。技術は家電の機能面の重要な要素で、美は見た目を指している。ポイントは“×心”、心とは、デザイナーを含めた作り手たちのこだわりを指す。
・イクシー 近藤玄大CEOソフトウェア 山浦博志CTOメカ 近藤玄大CEOインダストリアルデザイナー
――3人のエンジニアとデザイナーが立ち上げたべンチャー企業。彼らが開発しているのは「筋電義手」。事故や病気などで手を失った人が、腕に筋肉に発生する微弱な電位信号を利用し、本人の意思で動かせる義手の開発。 利用者自身が修理したり、カスタマイズしたりすることが難しいという課題が。3人は、筋電を読み取るコンピュータとしてスマートフォンを利用したり、3Dプリンターを使ったりするなど、最新技術を活用し大幅なコストダウンを実現。搭載するモーター数を減らしつつ、薄い紙をつまんだり、靴紐を結んだり出来る性能も備えている。