北陸新幹線車両・・・・
北陸を駆ける、「和の未来」。日本に受け継がれてきた和の価値や美意識に光を当て、さらに未来へとつないでいきたいという願いが込められています。スピード感と精悍さを表現したエクステリアデザイン流れるようなワンモーションラインの先頭形状。
高速で走行するために磨き抜かれた造形と日本の伝統的な色使い。
伝統と未来を融合させたエクステリアデザインは、沿線の自然と一体となり、美しい風景を創り出します。アイボリーホワイトの車体色は日本的な気品や落ち着きを表現。シンボルカラーは空色(車体上部・帯色)――沿線に広がる空の青さを。銅色カッパー(帯色)――日本の伝統工芸である銅器や象篏の銅色を表現(「W7 / E7系」デザイン監修 奥山 清行)
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首都圏と北陸をつなぎ沿線各地域の活性化が期待されているが・・・。ホームに滑り込んでくる新幹線の車両、そのフルサイズの威容には出迎える子供たちに強烈なインパクトを与え、感動でもあったのだろう。そのワクワク感は、「新幹線の運転手になりたい!」であり、「新幹線を作りたい!」という幼児の夢!になったのかも知れない。
そんな車両デザインの新しい表情・・・。その顔になる先頭車両の造形と連結された車両全体の統一された形と色彩計画は、高速ゆえの条件と空力特性をクリアーしたスピードシエープに集約されるものだろう。そのクリアーせねばならない運転者の空間。その運行が科学的なものに依存するだけではなく運転者自身の「目視」が重要であると言われる前方視界、周辺視界を容易にする配慮も重要だろう。もちろん、完成度の高い技術力、訓練し研ぎ澄まされた運転士の感性による操作の精度、維持管理者などの高い問題意識などが一つになって我が国の、世界の新幹線を成り立たせてもいる。それらの公共交通機関としてのノウハウ、基本的な条件の蓄積は数百ページにも及ぶもの、犯罪防止や落書き、破損、火災などを防止するなどのハード設計レベルでは当然のこと。
しかし、デザインレベルでは、利用者の乗降、移動などに対してのきめ細やかな配慮であり、安全、安心、快適性を考えた未来的で「カッコイイ!」と、人々に感動してもらえるデザインの具現化に力点を置いていることだ。デザインの社会的な使命感、信頼性を獲得するものでもある。
鉄道各社の競合意識の「差別化」と「サービス」を売りにし車両デザインを要件とし、安全・安心を極めるデザインが求められてもいるということだろう。
山手線の新型車両・・・・
この秋には山手線の新しい車両が登場する予定だという。前回のコラム、ニューヨークの地下鉄の車両デザインとは明らかに条件が違い、比較することは出来ないものだが・・・。勿論、公共交通機関としては地域の特性、住民の利便性を優先させるものでデザインの条件も異なる。
ステンレス製の車両、山手線のシンボルカラーはドアにおいて他の路線との差別化を鮮明にしている。デザインコンセプトは「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」なのだという。
我が国の場合は、なによりも安全性、快適性への配慮が優先されることであり、老人やからだの不自由な人、幼児、ベビーカーなどの乗降や移動時の安心、安全に対する配慮が優先される条件だ。高齢化や東京五輪、外国人旅行者までもが考慮された「次世代の通勤電車」でもあるというもの。発表された写真を見る限り新型車両の内部空間が広く感じられる。多分、このことを意識したデザイン、何よりもこれまではぶら下がっていた中吊り広告が無くなったこと・・・。代わりに20インチの液晶モニターが13~20か所に設置され、電車の運行情報や企業広告、動画やニュースなどが流されることになる。
また、垂直に立ち上がっていたポール類を壁面に向けて湾曲させることで天井や床面の広がりを見せる効果も大きい。それでも、座席の腰掛幅は一人あたり1センチ拡げた46センチにしている。優先席は1両あたり3席増やし色彩的に存在の視認性をたかめている。さらに、すべての車両に1か所ずつ、優先席や車いすやベビーカー利用者、旅行者などの大きな荷物も考慮してのスペースを十分にとったレイアウトなのだという。
安全性の向上のために乗降口の扉は荷物が挟まれても引き抜きやすいように改良したほか、レールや架線に異常がないかを監視するシステムまでも新たに搭載している。
先頭車両の前面は大きな窓と表示装置で、差別化の視認性と安心安全を約束する前方や周辺の視界を確保したものだろう。利用者の信頼に応え、親しまれる顔でもあってほしいものだ。
山手線としては、2002年に運行がはじまった現車両の後継型で、首都圏の別の路線にも順次導入されるのだとか。
製品は技術の結晶、結晶のカタチはデザイン・・・・?
新幹線・車両、クルマ、家電などに止まらず、日本製品の多くは、高度に究められた技術の結晶でもあると言われる。と、いうことは、その結晶=カタチ=デザイン!ということになる。
手で触れ、視覚的にとらえられるもの・・・。つまり、機能や品質の素晴らしさは、その形、デザインの良し悪しによって否応なしに評価されてしまう、ということにもなる。
さらに言えば、1人だけではなく、1社だけでもなく、関わる多くの企業製品(部品)、技術者、企画者、保守管理者などの努力が報われるデザインでなければならないということだ。
デザインが対応し解決せねばならない問題は、それが何であれ、使われる地域・環境、用途、モノの大小など・・・。それぞれにある条件を確り咀嚼し、理解することが大切でもある。
(2015・4・1記)
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メモ:
・近況―ニューヨーク地下鉄・・・・
ホームに滑り込んできた車両のドアが開くと、乗降するサラリーマンの通勤だろうか、そんな乗降する人ごみがニュースとして流れていた。運行のダイヤは有っても意味をなさない、遅延が常態化している事への不満でもあるらしい。古い信号機などインフラの不備が原因らしいのだが、その苛立ちが運賃の値上げなどもっての外という訳だ!
我が国のように秒を刻む正確さは、関わる全ての人が心を一つにして成し遂げていること、世界的にも例が無いことだろうが・・・。2000年以来走り続けている宇田川信学氏デザイン(川崎重工製)の車両だが、その利便性や快適性も適正な運行管理があってのことだろう。
・世界第2位のGDP中国も・・・・
まだまだ発展途上国としての面も多い。高速鉄道市場の大きさを背景に、各国の先進技術を導入し組み合わせることは出来る、が・・・。それらの技術を統合したことで成り立つはずの新しい技術や製品は「パクリ」なのか?と。
ボンバルディア(カナダ)、川崎重工(日本)、シーメンス(ドイツ)、アルストム(フランス)など・・・。確かに、「現在の中国高速鉄道は世界のトップメーカーの技術導入の上に成り立っている」のだと。しかし、導入したものを?ぎ合わせて良しとするほど単純なものではないだろう。時間的な経過、さまざまな運用経験があって初めて理解される技術も多いからだ。海外に向けて輸出できるのは車両やレール、信号など成熟した鉄道システムがあるためだという・・・。なにか懸念されることだ!「トルコの高速鉄道は中国が海外で初めて建設を請け負ったプロジェクト」だという。「中国高速鉄道の海外輸出戦略において極めて重要」とも。しかし、エルドアン首相が試乗した列車は技術的問題が生じ、30分ほども停車したともいわれている。
中国の関係者からの「技術的問題で停車したとの事実」は報じられることは無かったのだとか。
・「中国の57階建て高層ビル、わずか19日間で建設」と言う話題・・・・
時間を競って次々に組み立てられていく高層ビル(中国 湖南省・長沙市で建設)。 1日に3階分を組み立てる驚異のスピード、57階建てのビルが完成するのに要した日数、わずか19日間。事前に工場で建材などを組み立て、それを現場に運んで積み上げていくプレハブ工法ながら、このスピード! およそ1,200人が24時間態勢の作業。完成したビルには4,000人収容のオフィスと800戸の住宅。業者は「震度6弱程度の地震にも耐えられる構造だ」と胸を張るが・・・。ちなみに、日本企業だったら2~3年はかかろうと言うものだ。何か恐ろしい!おちおち寝ていられないのでは・・・。あくまでも、未開発地域へ向けた思惑有のパフォーマンス、か?
・3Dプリンターで制作した車・・・・
全体の1部なのだが電気自動車「Strati」がシカゴで開催された「IMTS 2014」展に。プロトタイプながら実走行も可能、3Dプリンター製としては世界で初。会場に3Dプリンターや必要な機械、工具、部品、機材を持ち込み6日間の会期中に完成させた。素材はカーボン強化ABSなど。ボデイ、タイヤ、ホイールなどが3Ðプリンター製。メーカーLocal Motors社、現在、走行スピードが米国基準に満たないため公道を走ることはできないが、開発・製品化を目指すと。(World Maker Faire New York 2014)
●自分なりのアプローチ→こんなデザインは!(イメージやアイデアをスケッチに・・・)
◇ 3Dプリンターはアイデア次第!何を作る?
◇ 新幹線と山手線、形は対極的? 自分ならばこんなデザイン、考えてみると楽しいよ!