この夏は眼が眩むような日差しがつづき、これまでに私が経験することもなかった暑さだった。
おかげで自宅で過ごすことが多く、気が向くままに絵筆を握り、新聞や本を隅々まで丁寧に読み、テレビ、インターネットを見て過ごすという時間が多くなっていた。
先月のロンドン・オリンピック。ほぼ8時間の時差でサッカーや体操、あるいは水泳などの競技をリアルタイムで見ると、さすがに寝不足気味で、体調もおかしくなってしまった。
その流れは今月、北方4島にはじまり竹島や尖閣諸島につながる連日のニュース報道だった。
近隣諸国とのトラブル、よく聞くことだが案外諍いは多く絶えないもの・・・。
つい先程のニュースでも日本の国旗を踏みつけ、破り、火までつけて燃やすというパフオーマンスを見せられることには、いささか辟易したものだ。
いまや中国もネット社会であり自国へむけたアピールともみえる。自己主張をせざるを得ない国、自己矛盾を他に転嫁せざるを得ない現実を映した国の、暴徒の姿なのだろう。
一国の象徴でもある国旗を足蹴に侮辱する行為は、非難されるべきことであり無知で稚拙なこととしか見えない・・・。
大国意識だろう、ときには軍事力を誇示し威嚇するする場面もあるが、しかし、不愉快を感じても決してひるむことはないはずだ。
ここ数十年来の我が国の平和主義、そして国際貢献は、先進国としては他に類をみないことだと言われている。しかし、中国の圧力への対抗する国民的感情は、防衛力の整備拡充の必要を痛感させるものであり、可能性を引き出すものにもなっているように思う。
意図的に扇動された反日デモや暴動に便乗し、賃上げを要求するストライキまでが重なっては中国に工場を置くメリットもなく、不買運動を叫ぶこの地での日本企業による対中国投資は急速に冷え込み、代わって、ベトナムやタイなどへのシフトが加速することになる。
チベットや新疆ウイグルをはじめ、わが国の尖閣諸島、アジア諸国の海域をも視野に置いた拡大主義・・・。「中国の一党独裁体制による拡大主義には無理があり、すでに「自壊の徴候が現れているのだ」とも言われている。
「なぜ中国は拡大主義を取るのか?」という疑問について、宇田川敬介氏は「通貨制度の異質さ」を挙げている。中国は「資産そのものが通貨発行の基準」であり、常に国家資産を増やさなければ通貨を発行できない。つまり、「共産党の保有している資産が多くなれば、その限度まで通貨を発行できる。逆に通貨発行が限度に達すると、どこかの資産を奪い取らねば通貨を発行できない」というのだ。これが尖閣、諸海域の資源を狙う最大の理由」なのだと指摘している。
これまでの右肩上がりの成長も、ここにきて「8%から7・5%に成長を下方修正するなど、中国の拡大主義は限界に近づいている」のだと。仮に、「中国がバブルを継続させるには、紙幣を刷って経済を循環させる必要があるのだが、にもかかわらず大衆の顔色をうかがい、権力闘争に明け暮れているのだ」とも。
「経済成長の鈍化で雇用の可能性を低くし、下層民衆の不満の爆発は中国の崩壊の明確な兆候と見ることが出来る。人民の反乱によって一党独裁は覆る可能性がある」のだと・・・。
現在の欲望に駆られた拡大主義という強引な手法はまさに錯覚であり、世界を敵に回して孤立することにもなろう。
自制を失った我が国への様々な圧力も実は自らの首を絞め、経済鈍化を加速させることになる。わが国をはじめ中国の近代化、経済発展を支えた国や企業が明らかな離反をみせている。
バブル経済は破綻し人民の生活レベルは一気に下降することになり、人々はそこにあった未来を失うことになる。
その事に気づかなければならない! いま、若者に求められるのは短絡な感情論ではなく、現実を確りと見つめ自らの頭で考えることだ。
よりよい生き方を求め、安住と安定を求めて営々と努力しても、しかし、人間社会における安定・安住の状態に到達するということは、なかなか難しいことだと痛感している。
それでも私たちにとっての安定・安住を保つということは、常に「問題」を突きつけられる状態であっても注意深く謙虚に対応していくことなのだろう。
私たち日本人は、世界の存在や動きに鋭敏に反応して生きてきた存在であり、もの事を見抜く力を生活に連らねて考えることもできる。つまり、いわゆる五感を働かせ、空気を読み取ることも含めて、考えるだけでは分からない皮膚感覚の経験が生体に組み込まれた、日本人としての優れた感性が育まれているからだ。
わが国にとってのさまざまな試練は、耐える強い意志を持続させることで世界の視線に応えるものにもなるはずだ。
(2012/9・30 記)
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メモ:
『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』ぐっちーさん 東邦出版
世界中が「ここ10年の勝者は日本」と断言!日本なしでは世界は回らないのだとも・・・。
我が国の潜在力! 世界最強の通貨は円(YEN)。本当はすごい日本の経済力なのだが、それを日本人だけが知らないのだという。「日本経済の底力と魅力、求められているのは、グローバルな視点ではなく極めて日本的な価値観なのだ」とも・・・。
著者:ぐっちーさん=山口正洋 1960年東京港区生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。丸紅を経て1986年モルガン・スタンレー、ABNアムロ、ベアー・スターンズなど欧米の金融機関を経て、ブティックの投資銀行を開設。M&Aから民事再生、地方再生まで幅広くディールをこなす一方で、「ぐっちーさん」のペンネームでブログを中心に活躍。2007年にはアルファブロガーを受賞。丸紅、モルガン・スタンレー、ABNアムロ、ベアー・スターンズなどを渡り歩き、
内外から金融・経済を見つめてきた著者が明かす日本経済の嘘と真実!
『それでも、日本経済が世界最強という真実』 三橋貴明 WAC
日本は世界一といえるイノベテーブナ国であり、「ガラバゴス」市場のオリジナリテイこそが強みで、本当は世界に援助できるほどお金があり余っているのだとか・・・。
著者:1969年熊本県で生まれ東京都で育つ。東京都立大学経済学部卒業 外資系IT企業ノーテル、日本電気、日本IBMなどに勤務、中小企業診断士の資格を取得。2008年(平成20年)11月、三橋貴明診断士事務所、フリーランスの活動を開始し、2009年11月24日、株式会社三橋貴明事務所を設立。通信業界に対して企業の財務分析を使った提案型コンサルティングを推進している。また、国民経済計算、国際収支などの国家の経済指標に財務分析の手法を応用し、各国の経済分析を行っている。日本のメディア論、メディア分析を発表している。経済成長と国益の重視を説き、デフレ不況から脱却せずに財政再建を優先させることに批判的な立場を取る。景気が悪化した際に積極的に財政出動した小渕内閣と麻生内閣の経済政策を高く評価している。
『2014年に中国は崩壊する』 宇田川敬介 扶桑社新書
中国は崩壊に向かい、韓国の生殺与奪権―苦境に立つ韓国経済を生かすも殺すも日本次第なのだとも・・・。