惜しいところで4位入賞だというニュース。
予選ですら通過できない者も・・・。
「また次に頑張りまーす!」というコメントは悔しさを滲ませながらも意外に明るい・・・。
彼らが人1倍の努力をし、日々激しい練習をしたであろうことは想像に難くない。
しかし、世界の壁は予想を超えて高かったのだ!
今回の冬季トリノ五輪はメダル無しの結果だろうと悲観的になっていた・・・。
これもわが国のいまを示す退潮のしるしか・・・。
かって、わが国が発展途上であった時代には、「国威発揚」が第一義とされ、「選手は国を代表する!」「国の名誉のために!」という励ましにガチガチに緊張し実力が発揮出来なかった、と言われていた。
そのプレッシャーは確かに我々の想像をはるかに超えるものであったのだろう。
しかし、いまは「楽しんで来い!」
「気楽にやったら・・・」と言う声援に変わった。
時代はオリンピックのプレッシャーを与えないようにという配慮から、そんな励ましに変わっていた。
わが国の豊かさは、「厳しさ」を「優しさ」に代えたのだとも言える。
確かに彼らは自信を持ち、溌剌として見えた・・・。
しかし、メダルが確実視され、騒がれていた選手も空しく敗退している・・・。
マスコミによるキャッチコピー、期待を込めた記事の氾濫に実力以上の期待が膨らんだこともある。
選手は実力以上の評価に錯覚し楽観的な気分になったのだともいえないことも無い。
特に、若い選手にはそうした心理が働いたのではないだろうか・・・。
生来、日本人の生真面目さはプレッシャーに弱いもの、しかし、世界と戦うためには、ここ一番の緊張に耐え得る不退転の「精神力」が必要なのではないか。
プレッシャーに打ち勝つ精神力こそが実力以上の力を生み出すものなのだ!
そんな時の荒川静香の金メダル・・・。
プレッシャーに耐えた表情、笑顔が美しい。殊更に輝いて見えたのはやり終えた安堵感、あるいは照明のせいなのだろうか・・・。
メダルには届かなかったのだがマスコミに騒がれなかった分、期待以上の成績で見る人々を捉えていた。
日頃は余りなじみの無いゲームだが、4人のチームメイトが氷上のゴールを狙ってストーンを滑らせるゲームだ。同時に、2人がモップ状の道具でその筋道を擦る・・・。
その様子がなんともユーモラス、自分も出来そうと思わせる楽しさがあった。
なんとはない魅力があった。目標を見据える真剣な眼差しにも魅かれた。
さらに、WBCにおける王ジャパーンの優勝はまさにチームプレーの結果だろう。
中国、台湾、韓国戦・・・。
日の丸を胸に、楽観的な予選スタートの筈だった、が韓国戦に2敗を喫するという厳しい結果に・・・。潜在するメジャーコンプレックスはアメリカ戦を落とすものにもなった。
不甲斐ない敗戦、その「屈辱感」に焼け酒を煽ったというイチロー・・・。
しかし、偶然の強運は選手の心を確実に変えていた。
3度目の韓国戦にはさすがに気合をいれ、チームが1つになって戦うことになった。
同一チームが3度ものチャンスを持つ?余り例の無い話だが、もう負けられないというプレッシャー、負けても失うものがないという居直り・・・。チームを本気にさせる時間があって予想以上の力が発揮されたものだ。
キューバとの決勝戦もそうそれまでの試合とは明らかに目付きが違っていた。
一人ひとりがチームプレーに徹していた。捨て身の戦い、まさにチームワーク、チームプレーに徹したものであったのだ。
精神力で戦った典型とも言えるもの・・・。
ベースボールのルールを100パーセント使い切ってチーム日本の野球が勝利したのだ!
勿論、王監督の人柄、チームリーダーとしてのイチローの存在が実に大きいものだったようにも思う。
WBC、その戦いのプロセスは描かれた感動のドラマであり、人々を狂喜乱舞させるに十分なストーリであった。
興奮と感動の余韻、その波動はいまも私の体内に鮮明に刻み込まれている。
目標を明確にした仲間への相互信頼、個々人の意志が1つになることの強さ、スポーツに学ぶことは多い・・・。
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チームワークの中で「デザイン力」と「社会人基礎力」を学ぶ・・・・
人との触れ合いの中で生活をするためにはコミュニケーション力などを含む、「社会人基礎力」が必要であるといわれる。
このことは前回のコラムでも、あるいは講義の端々にも触れていること。
「デザイン力」と併せて余りにも重要なことだからでもある。
「孤族化」、「孤立化」がますます進む現代社会、国や地域、家族すらも・・・。
生活の多くが個人の単位に分断されて失われていく・・・。
それらは人々の中で倣い学んでいくものだからである。
他人との交流することで判る自分を見つめることが出来る。姿かたちが違うこと、考え、価値観、個性の差違を知り、考えることが出来る。自分の強さや弱さを見極めることも・・・。
チームワークの中で協調し、意見を戦わせる十分な時間が必要なのだ!
「産学協同研究」や「軽井沢セミナー」はその事を前提にチーム編成を考えている。
「デザイナーになる」という志しを同じくする仲間との信頼と相互触発・・・。
苦しいときも、つらい時も、仲間がいれば超えられるもの・・・。
また乗り越える感動を共有して貰いたいとも考えている・・・。
この時期、学ぶべき自らの4年間を充実したものにしてもらいたい。
それをやりとげる不退転の意志、「精神力」が必要になる・・・。
(31 March/ 2006 記)
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追記:チームアプローチによる学習効果を・・・・
目標:新しい「モノ」の可能性をデザインをする?そのための情報・資料の収集分
析による意見の交換、デザイン・アイデア展開の交感など。
役割分担:各自の責任、役割分担と相互信頼による補い合う関係の構築など。
チームリーダー:目標・目的の十分な理解とグループ構成員の能力、性格、日程などの
を理解することが必要。グループの要、代表として目標達成のために最善を尽くす。
構成員へのコミニュケーションの徹底と人間関係の構築誘導する。プレゼンテイションな
どを代表する。チームの意見を把握しておくことなど・・・。