●遺された本も、全て残すわけにもいかず。
去年3月に父親が他界し、丸1年経ちました。が、まだ片付けは終わっていません。
父親が所有していたマンションには、たくさんのモノが残されたままです。
近しい身内が亡くなると、やらなければならないことがひっきりなしに押し寄せてきて、悲しんでいるヒマもありません。
親戚への連絡から始まり、通夜、告別式、火葬、納骨の手配。火葬場が空いている日によって、通夜や葬儀の日も決まります。そして火葬場の多くが「友引」はお休み。スケジュールを組むのがなかなか難しいのです。
葬儀社もどこに頼むのか決めなければなりません。普段からおつき合いのある葬儀社がある人なんてそう多くはないと。
(ワイドショーなどで悪徳葬儀社がとりあげられたりしてますよね、全てが終わってから法外な金額を要求されるなど。コワイ…)
ちなみに私は、住んでいる自治体の指定委託葬儀社にお願いしました。
そうそう、亡くなった人の宗教も知っておかなければなりません。葬儀社から最初に聞かれるのが故人の宗教です。宗教によって、葬儀の方法なども変わってくるわけで、宗教を知らないと段取 りが進まなくなってしまいます。知っていたつもりが、気がついたら改宗していた、なんてこともあります。
これらの段取りを一日足らずで決めるのです。結婚式と違って、じっくり吟味し数ヶ月に臨む、ということができないのです。
これらを終えたら、おもに遺産相続の手続き。これがまた一苦労です。預金やら不動産やら相続の大小は人それぞれですが、大変なのはあまり変わらないかと思います。
故人の戸籍が全て揃っていないと手続きできないことがほとんど。人にもよりますが、戸籍って1通じゃないんですよね。結婚したり引っ越ししたりで、日本全国に戸籍が散らばっています。ちなみに父の場合は合計4通ありました。
これを時系列で並べて空白の時間が なければ、ようやく手続きに入れます。これほどまでに面倒な理由は、相続人が他にもいるかもしれないから。相続の権利がある自分も知らない兄弟がどこかにいるかもしれない。そんなドラマみたいなことが起こりうるんですね。
(幸い私の場合、知らない兄弟は発見されませんでした。笑)。
あとは、電気・ガス・水道・電話を止めたり解約したり。お役所にも何度も足を運び。亡くなってから4ヶ月くらいは手続きもろもろに奔走することになります。
そして、故人の私物の処分。本当に大変なのはここです。
やはり血の繋がりがあると、思い入れがあるのですぐに業者を呼んでキレイに処分、とはいかないものです。
ひとつひとつこれはいる、いらない。売る、人にあげる、残す、捨てる。 捨てる、もそのままゴミ集積所に捨てられるものもあれば、お金を出して引き取ってもらわなければならないものもあります。
自治体によっては、一般ゴミでも有料のところもあります。
ときに、引き出しに使えなくなったたくさんのハサミがヒモでまとめられて入っていたり、押し入れにチラシなどの裏紙が大量にストックされ ていたりします。謎の遺産に手がとまる、そんなことの繰り返しです。
仕事や子育てをしながらの作業なので大変さは倍増。あっという間に1年が経過してしまいました。
それでも私は40代ですからまだ体力はあります。これが自分もさらに歳を重ねてからだったらと思うと、キツイ…。
実体験からですが、「何を遺すか」ではなく「何を遺さないか」ではないかと感じます。
厳選したモノの中で暮らし、次の世代に遺したいものを判断してもらうのが、負担をかけない生き方だと思いました。
私は子ども達にこんな大変な思いをさせないように気をつけよう…。
それでも去年に比べて、今年は桜を見る余裕が出てきた気がします。
2016年4月1日
増子瑞穂
twitter.com/massykachan
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