●公園は禁煙のところもあります
2020年の東京オリンピック・パラリンピック。IOC国際オリンピック委員会は「たばこのないオリンピック」を目指しているといいます。人のタバコの煙を吸ってしまうことによる受動喫煙が注目され、タバコに対する目がどんどん厳しくなっているこの頃。喫煙者の方はまたタバコの話題か、とぼやきたくなるかもしれません。そうおっしゃらず、どうかしばしおつき合いを。
WHO世界保健機関によると、日本の受動喫煙対策は世界最低レベルとされています。日本でタバコを吸う人の割合は下がっているのにです。(1960年代は男性の喫煙率は8割を超えていましたが現在は3割。女性の喫煙率は1割前後でほぼ横ばいです)。受動喫煙対策で思い浮かぶのが喫煙室。建物内に設置されすっぽりと囲われた喫煙室を利用している方も多いと思います。ファミレスなどでは喫煙スペースと禁煙スペースを扉ではなくエアカーテンで分けているところも多いです。それなりに対策しているようにも思われるのですが。
扉で仕切られていてもエアカーテンで分けていても、出入りするたびに煙が喫煙室や喫煙スペースから移動します。従業員が飲食物の提供や清掃で喫煙室へ立ち入らなければならないこともあります。屋内ではどんな対策をしても受動喫煙にさらされるリスクが高いとのことで日本の受動喫煙対策は最低レベルとされているんですね。海外の方は日本の飲食店でたばこが吸えることに驚くよう。海外では屋内完全禁煙になっていることが多いとか。その分、屋外の喫煙に関しては割とアバウトなところもあるようです。
では受動喫煙のリスクは。厚生労働省のデータでは、脳卒中、虚血性心疾患、肺がん、乳幼児突然死症候群があげられています。日本では受動喫煙が原因で年間1万5千人が死亡。乳幼児突然死症候群の死亡率は、両親ともタバコを吸う場合は、両親ともタバコを吸わない場合のおよそ5倍というデータもあります。
また、専門家によると喫煙後20分から30分は喫煙者の呼気から有害物質が出続けているといいます。喫煙した部屋の壁などにタバコの有害物質が付着し、それを吸い込んでしまうリスクも分かってきました。消臭剤などでタバコの匂いは消せても、タバコの有害物質は付着したままなんですね。ちょっと驚きです。タバコの有害物質の影響を最も受けやすいのは乳幼児。タバコを吸ったあとしばらくの間は乳幼児に近づかない、タバコを吸ったことがある部屋には乳幼児を入れない配慮も必要なようです。
ここまで読んでいただいて、喫煙者の方は、もううんざりしてますよね。もう読むのをやめてしまっているかもしれません。タバコを吸うのは自由です。法的に認められている行為です。タバコの税金に頼っているところも多々あります。乳幼児へのリスクが大きいことをはじめ周りへの影響を理解していただいたうえでタバコを吸ってもらえれば大変にありがたいです。
そして、タバコを吸っていい場所なのにタバコを吸わない人が顔をしかめる、これもマナー違反かなと思います。タバコを吸う人もいれば吸わない人もいる。吸っていけない場所もあれば、吸っていい場所もある。私は現在非喫煙者ですが(昔は吸ってました)相手がタバコを吸っていたとしても会いたい人がいる。受動喫煙のリスクも自分で選びたいです。ベランダ喫煙など近隣の家からのタバコの煙、禁煙の公園内での喫煙、移動しながら煙をまき散らす歩きタバコ、自分で選べない受動喫煙は困ってしまいます。
以前、車に野球チームの子ども達を乗せ、引率者がタバコを吸いながら運転していたのを目撃したときは驚きを通り越して憤りを感じました。子どもは受動喫煙のリスクなど理解していないでしょう。大人が配慮をしなければならない状況です。公園を見回すと、大人向けの注意書きばかり。ポイ捨てされた吸い殻も毎日のように目にします。情けないなぁ。
追記
そしてもしも、本人が希望するのであれば、禁煙することも選択肢のひとつとして。酒とタバコがやれなくなったら死んだ方がマシだとかねがね言い、本当に余命が出たとき酒もタバコを控え、生きることにこだわり73歳で他界した実父のことを思い出します。
2017年7月3日
増子瑞穂
twitter.com/massykachan
●禁煙の公園でポイ捨てダメ、なんか矛盾?
●こんな注意書きも、大人向けが多いです