”eスポーツ”が注目されています。ネットやスマホなどで遊ぶデジタルゲームはスポーツか?平昌冬季五輪では過去最多の13個のメダルを獲得し若き日本人選手に感動し誇らしく思い幕を閉じました。それもつかの間、今後の五輪で”eスポーツ”を競技種目とする協議が浮上し日本では観戦者側も含め喧々諤々、賛否両論ニギヤカに論じ話され始めています。日本は世界情勢からは時すでに遅しと言われている”eスポーツ”です。世界の流れに乗り遅れることを嫌う日本国民が現実を目の当たりにしている”eスポーツ”です。
eスポーツは、コンピュータ・ゲームやビデオゲームで、サッカーや球技、カーレース、戦略シミュレーション、シューティングなどの対戦型のゲーム・競技のことを言うエレクトロニック・スポーツ(electronic sports)のことです。20世紀末頃から欧米、韓国、中国などで人氣になり多くの競技者が参加し高額な賞金を懸けられる大会もあり日本ではやっとプロ認定制度が今年から始まりました。
eスポーツ、プロ認定イベント開催(2月10日)
対戦型のコンピュータゲームを競技するゲーマー(競技参加者)のプロ資格を認定する初のイベントが幕張で開催され日本でもeスポーツとプロゲーマーがやっと認知され始め今後日本でも一般的なプロスポーツのゲームとして親しまれるのではと期待され始めています。
”没入感”流行りのデジタル社会
スポーツはゲームです。創作分野での鑑賞者が”感情移入”し醸される”臨場感”へと誘う感動体験を超え、VRのカーレースやシューティングなどデジタル・ゲーム時代には”没入感”が成功の秘訣とまで言われるようになり”病みつき”になるゲーム愛好家が後を絶たない世界的な傾向が指摘されているデジタル社会です。
”ゲーム障害”(2018年1月6日NHK7ニュース)
ゲームをしたい衝動と熱中し過ぎる”没入感”が日常生活に支障をきたすのを”ゲーム障害”としてジュネーブにあるWHO(世界保健機関)が病気や死因などの統計を国際的に比較する国際疾病分類に追加し今年中頃に改訂版「国際疾病分類」を公表予定と発表しました。”新たな病気”として追加される”ゲーム障害”の基準は「ゲームをしたい欲求・状態が1年間続き家族や社会、学習や仕事、生活に支障が起きている場合」で、インターネットやスマホの普及でオンライゲームなどへの過度の依存が世界各地で問題指摘され国際的に統一されていないのをWHOが提議と基準化するとのことです。課題は実態把握と治療方法と効果に尽きる話でゲームに限ったことでは無く多様性の時代の新たな病的現象だと言え”没入感”がうごめいています。
2024年の五輪ではIOCも賛同していると言われるeスポーツです。スポーツの祭典である五輪はその時代の産業を反映する場でもあると言えます。1業種1社のトップ・スポンサー制であることから契約料が100億円とも言われ、eスポーツは時代をリードする米国IT産業の巨大企業がトップ・スポンサーとして参入することで裏付けています。
スポーツもゲームも産業がバックアップ
エンターテイメント産業を大分類とすれば、映画、演劇、芸能、ゲーム(競技)・スポーツなどが中分類にになり、6段の称号を獲得した14歳の中学生棋士で話題の将棋や、囲碁、オンラインゲーム、家庭用ゲーム、スポーツなどが小分類になります。「eスポーツはスポーツではないゲームだ」、「スポーツはフィジカルな汗を流すのが普通でゲームはそれにあたらない!」、出版物で『頭の体操』に始まり『脳トレ』などが一世を風靡し脳を遣うeスポーツは立派にスポーツとして定義づけられます。ゲームもスポーツも産業として成り立っています。過去の常識にとらわれ子どもの行く末を案じ「ゲームなんかしてないで勉強しなさい」という親御さんがいまだに大半でも、その親御さんの多くはマンガを読みアニメを観てコンピュータ・ゲームをして育った団塊世代や団塊ジュニア世代が大半なはずです。
団塊世代は、 総務省の人口統計で1世代240万人以上出生した1947年(昭和22年)~1950年(昭和25年)生まれの4世代で出生時合計960万人、現在は約860万人で今年68歳以上の4世代です。団塊世代を中心に日本文化を大きく様変わりさせてきました。ビートルズに熱中し長髪に憧れ、受験地獄、就職難、住宅難などを経験した世代が日本文化のカウンター・カルチャーとして世界的なアニメブームの火付け役となったマンガ世代でもあり、「マンガばかり読んでないで勉強しなさい」と就職ではマンガの関連産業が日本にまだ根付かない時代で苦労し年輪を重ねた団塊世代です。
現代の情報化社会の歴史は日が浅くてもゲーム関連の就職先も産業として成り立っています。
近い未来に目を向ければ、自動運転自動車、VR(仮想現実)、Iot、AI、、VR、フィンテック、サイバー攻撃に対応するホワイトハッカーなど電子産業分野での活躍が期待される人財への登竜門のひとつであるeスポーツといえます。
戦争はゲームではない
ローマ帝国時代、コロッセオ(円形闘技場:競技場)で猛獣と剣闘士、奴隷同士の剣闘士が殺しあう”出し物(競技)”に大観衆のローマ市民が熱狂するシーンを映画『グラディエーター』(原題: Gladiator、2000年公開、米国)に描かれていました。近代では人と人とが殺し合うのは犯罪や戦争です。コロッセオのフィールドで殺し合う姿を観戦し熱狂する異常性は違和感と共に人間性の欠如、あるいは人間の尊厳を踏みにじる行為の歴史として学べます。人同士が殺し合う戦争の代わりにシューティング競技、やり投げ、ハンマー投げなどの数々のゲーム・競技・スポーツがその後の世界史の中で誕生してくるのは文明社会を築こうとする人類の進歩を肯定的に捉え、国と国との戦争や人と人とのヴァイオレンス犯罪の代わりにeスポーツで対戦し勝敗を決め後は話し合いで解決という世界平和実現への糸口となれば多様性に富んだ現実社会でeスポーツが素晴らしい成果をあげ貢献してくれると期待したい21世紀です。