「飲み水がない、顔も洗えない、歯も磨けない」。「今一番必要なのは水」。
被災された方がインタビューで答えていました。
西日本豪雨。7月6日から雨が長時間降り続き、大雨の特別警報が11の府県に発表されました。14日現在亡くなった方は200人以上、安否不明の方もまだいらっしゃいます。一週間経っても、川の氾濫やため池決壊のおそれから避難指示が出されています。
今回の災害でも、水を求めて給水車に多くの人が並ぶ様子が映し出されました。真夏日、炎天下で給水車の列に何時間も並ぶ、何キロにもなる重い水を運ぶ、体力が奪われます。被災されているだけでも辛いのに。
災害時、最低3日分の備えをと言われますが、平成27年に東京都で配布された防災の冊子「東京防災」では「支援が届くまでの少なくとも1週間は、誰にも頼らず暮らせるように備えることが備蓄」としています。
水は1人当たり1日3リットル必要と言われています。4人家族なら1日12リットル。2リットルペットボトル6本入りの箱で換算すると1箱分。1週間なら7箱分です。
また過去のコラムから、東日本大震災直後の関東の様子を振り返ります。「地震から3週間たった今もミネラルウォーターは朝一番に並ばないと買えません。買えたとしても1人、あるいは一家族あたり1本のみです。いつ停電が起こるのか本当に停電が起こるのかわからない不安から、懐中電灯や電池、ろうそく、カイロなどの買い占めにも繋がりました。〜あの日から。3.11東日本大震災 連載88〜
地震でも大雪でも低温でも今回のような水害でも、一番必要になるのは水です。福岡で低温注意報が出され水道管の損傷が相次いだときも、復旧に時間がかかり、寒い中給水車の列に大勢の人が並ぶ様子が記憶に残っています。
今回のような水害や津波など、自宅を失ってしまった人にとっては備蓄は役に立たないかもしれません。それでも自宅に被害がなかった人は各自備蓄の水を、自宅を失い避難所などに身を寄せている人は優先的に給水車の水を利用できるようにすれば、給水車に長蛇の列は少しは解消されるのでは。
皆さんの家には今、何リットルの水がありますか。どれくらいの期間水が止まっても、支援が届かなくても、家族全員が健康に過ごせますか。今は必要なところに必要な分の水を回すときですが、落ち着いたら各自備えを。また頼りの給水車も道路が寸断されてしまうと、給水場所までなかなか辿り着けません。
これから子ども達にとって楽しい夏休みのはずなのに。被災された方が、子ども達が、一日も早く穏やかで安心して暮らせる毎日になりますよう。
2018年7月14日
増子瑞穂
東京防災