9月。息子が3歳の誕生日を迎えました。あの長く辛かった、でも感動に満ちた出産の日から3年。毎日無我夢中で子育てをしてきて3年が経ちました。早いものです。3歳という年齢は子どもの成長においてひとつの節目のように感じます。一人でできることが多くなり様々な場面での自立が始まります。私も母親として3歳とい うわけですが、まだまだヒヨッコです。子どもの成長は目覚ましいのに、親は同じところを行ったり来たり。子どもの3歳と親の3歳は成長の度合いがまるで違うように感じます。
子どもが使うおもちゃも3歳はひとつの節目です。おもちゃのパッケージをみてみると「対象年齢3歳以上」や「対象年齢6歳以上」など、月齢の目安が表示されています。使う子どもにとってそのおもちゃが難しすぎないか、簡単すぎないかなど、選ぶ基準になります。そしてもうひとつ大切な理由があります。安全面への配慮で す。
対象年齢が3歳以上のおもちゃの場合、「3歳未満のお子様には絶対に与えないでください」と強い表現で記されています。赤ちゃんはおもちゃをはじめ手に触れたものは何でも口に入れて確かめる習性があります。このとき直径39ミリ以下のものは口の中に入ってしまい窒息のおそれがあるのです。個人差はありますが口の中に モノを入れることがなくなり誤飲による窒息の危険性が少なくなると考えられているのが3歳前ぐらいから。与えられるサイズも増え、選べるおもちゃの幅も広がります。ですからおもちゃは3歳未満対象と3歳以上対象では世界が全く違うのです。39ミリ以下のおもちゃの中には、万一の誤飲に備え空気穴が開いている製品も多 くあります。
しかし、兄弟がいる場合しばしば問題が起こります。3歳を過ぎた上の子どもが、下の子どもに小さなおもちゃを与えてしまったことによる誤飲事故をよく耳にします。親が気づかないうちにミニカーのタイヤを下の子が飲み込んでしまって、翌日排泄物の中から出てくるなどよく聞く話です。(少々汚い話で恐縮ですが)このよう なケースならまだ笑える話。中には実際に窒息を起こし、救急車を呼ぶ事故も多くあります。月齢の違う兄弟が、それぞれ使うおもちゃを分けて別々に遊ばせるのは通常の家庭では不可能なことです。どんなにおもちゃを分けたところで時間とともにそれらは入り乱れます。親は子どもが遊んでいる様子をずっと見ていることなど出 来ないのが現状です。誤飲の危険性がある小さな子どもも、3歳を過ぎた子どもも一緒に楽しめるおもちゃの選択肢が広がると、兄弟のいる家庭での誤飲事故が減り、親も子も安心して楽しめるのではないでしょうか。
ひとつおもちゃを紹介します。息子の出産祝いに友人から頂いたもので、赤ちゃんの頃から3歳を過ぎた今でも楽しんでいるおもちゃです。ドイツ、ジーナ社のベビーキューブ。一辺が4センチの立方体の積み木で、赤、青、黄、緑、橙、紫の6色が2個ずつ、計12個セットになっています。木の優しい手触りが小さな子どもにも 持ちやすく4センチの立方体なのでもちろん誤飲の危険性もありません。6色の鮮やかな色彩は目にも楽しく、振ると「カラカラ」「シャラシャラ」「チリンチリン」など、色によって違う音がします。真ん中に小さな穴が開いているのですがそこから中の音源がかすかに見え、でもどんなものが入っているかまでは分からず、なん とも不思議な感じです。目だけでなく耳でも楽しめ、想像も膨らむ積み木なのです。
また、誤飲以外の安全性にも配慮されています。赤ちゃんが口にしてもいいように着色料は人体に無害なものを使用。またすべての角は丁寧に削られ、丸くなっています。中が空洞なのでとても軽く、1個あたりの重さは20gから30g程度。とても軽く赤ちゃんが足の上に落としてしまっても安心です。
息子が赤ちゃんの頃はそれこそ積み木を舐めていましたし、歯が生え始めた頃は懸命にかじっていました。それが1歳を過ぎた頃、ひとつふたつと積み木を重ねられるようになり、話し始めた頃には積み木を手にとり「きいろ」や「あか」と色を教えてくれるようになりました。3歳を過ぎた今では私と息子で6色ずつとり分け、後 ろ手で振って音のあてっこをしたり、色んな形に積んで、それと同じ形を作るゲームをしたりしています。今でも積み木には赤ちゃんの頃に懸命にかじった歯形がついていて、それを得意げに積む姿を見ていると何とも微笑ましい限りです。その対象年齢が過ぎると飽きられ使われなくなるおもちゃも多くあります。この積み木は月 齢にかかわらず兄弟でも遊べ、さらに次の代にも受け継がれていくおもちゃの逸品だと感じます。
3歳の節目を迎えこれからまた新たに、モノと子育てにまつわる発見がありそうです。
2009年9月28日
増子瑞穂
参考コラム連載43「チャイルドマウス」