iPhone5を待ちわびて連載106

●9月20日夜10時、すでに行列が

2012年、9月21日午前8時。Apple社からiPhone5が発売されました。各メディアでも発売の瞬間が放送されていました。NUDNの読者にもiPhoneユーザーが多いことでしょう。
発売の前日から、このiPhone5を手に入れるために、銀座Appleストアに並んできました。
この模様は、私が出演しているインターネット番組「ニコニコ生放送」でも放送しました。今回のマッシー通信は、その悲喜こもごものリポートです。

9月20日、2人の子どもを保育園に迎えにいって、お風呂に入れ、夕食を食べさせ、帰宅した夫に子ども達を任せてから家を出発。夜10時、銀座に到着です。地下鉄銀座一丁目駅の8番出口をあがると、すでに行列が出来ている様子が目に飛び込んできました。銀座アップルストア前で、ニコニコ生放送のスタッフと合流です。店の様子や行列の全体像を収録してから、私の「行列」はスタートです。あらかじめ、スタッフに並んでおいてもらって交代、なんてことはしません。ガチです。完全ドキュメンタリーです。

銀座Appleストアのガラス張りのエントランスには黒い幕が張られていました。こんなことは初めてです。iPhone4sや新しいiPadの発売のときもこんなことはありませんでした。特別感に胸が高まります。エントランスの様子を撮影して、10時半。ようやく、列の最後尾に並びました。313番目。発売まであと10時間ほどあるというのに。本当に買えるのか、心配になってきます。行列では様々な噂、憶測が飛び交います。iPhoneは300くらいしか用意がないらしい、など。
今回のiPhone5、色は白と黒の2種類。容量は16ギガ、32ギガ、64ギガの3種類。キャリアはソフトバンクとKDDIから選べます。私のお目当ては、「白の32ギガ、ソフトバンクモデル」です。果たして本当に手に入るのでしょうか。

先頭の人は発売の1週間近く前から並んでいたとのこと。その間、雷雨の夜もありました。いったいどうやって乗り越えたのでしょう。毎回のことですが、Apple行列はお祭り。亡きスティーブジョブスの仮装をしたひと、かぶりものでiPhoneそのものになりきっている人、様々です。ただ、9月の発売とあって、暑さが残る季節。思ったほど仮装は多くありませんでした。やはりかぶりものなどは、もう少し寒くなってからのほうが楽なのでしょうね。

深夜1時、まだまだ行列は元気です。人々はネットで情報収集をしたり、現在の様子をTwitterやFacebookにアップしたりしています。警備員さんも定期的に見回りをしています。お疲れさまです。

深夜2時。スタッフが夜食を買ってきてくれました。マック!AppleのMACとかけてでしょうか。丑三つ時にマックを食べるなんて、江古田での学生時代を思い出します。ほんと、学生気分です。

深夜3時を過ぎると、行列の人々も寝る人が増えはじめました。私も見よう見まねで、銀座のど真ん中にゴロンと寝転んでみました。今頃、子ども達は夢の中でしょう。薄曇りなのと、街灯が明るいのとで、残念ながら星は見えませんでしたが、暑くもなく寒くもなく、心地の良い夜です。雨でも降ろうものなら、かなり状況は変わっていたことでしょう。そんな条件の良さも手伝ってか、興奮してなかなか寝つけません。そうそうない経験です。行列を眺めたり、ショウウィンドウを眺めたり、眠っている銀座の街をブラブラ歩いて過ごしました。

午前5時頃。気がつくと自分の場所?で、少しだけウトウトしていたようです。空が明るくなりはじめていました。行列は静まり返っています。みんな夜遅くまで起きていたので、熟睡です。

●明け方、銀座の路上でウトウト。

午前6時。そろそろ、Appleストアの店員さんが、順番に希望の機種を聞いて回るとのことで、行列の人々は起こされました。また、始発が始まったことにより、これから更に列に並ぶ人が増えるよう。その準備のためもあってか、列は少しずつ前に詰めるため、全員起立、状態でした。みんな眠そうです。
店員さんによって確実な情報が回ってきました。「黒の16ギガ、ソフトバンクモデル」がすでに在庫切れになったそう。私の「白、32、ソフバン」は大丈夫でしょうか。気が気ではありません。なんといっても313番目ですもの!
そんな不安に加えて、銀座に小雨がぱらついてきました。これは辛い、と思っていた矢先、Appleストアの店員さんが傘を行列の人々に貸してまわっています。とても大きな黒い傘、Appleロゴマーク入りです。突然の雨でさえ、素敵なサプライズに感じられます。(言い過ぎ?)

●リンゴマークの傘!。

午前8時、行列にならんでから9時間半が経過。いよいよiPhone5発売の瞬間を迎えました。ニコニコ生放送でも店頭の様子の中継が始まりました。が、私がならんでいる場所からはその様子をうかがいしることはできません。発売のカウントダウン、先頭の人が店内に入る際のハイタッチなどは、もう恒例となっています。タイミングが良ければ、私が店内に入る様子も生中継で伝えたかったのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。私の並んでいる場所からは、その盛り上がりの様子が見えないばかりか、声すらも聞こえてきませんでした。粛々と午前8時を迎えただけでした。欲しい機種が手に入るかどうかは、まだわかりません。

●午前8時発売の時、ここからは見えません。

午前8時30分、ついに来ました。といっても店内に入れたわけではありません。機種の確定です。店員さんがやってきて、希望の機種が書かれたカードを渡してくれました。32ギガ、白、ソフトバンク。このカードを手に入れたことによって、買えることが確定となるのです。列にならんでから10時間が経過していました。

●このカードを手に入れたら一安心。

しかし、ここからがまた長い。列はなかなか進みません。このぶんでは、手に入るのは、夕方くらいになってしまうのかも。待っている間も、雨が降ったりやんだりしています。列も少しだけ動いては、また止まり、の繰り返しです。この時間が一番辛かったかもしれません。

牛歩戦術のような時間を経て、午前11時45分。銀座アップルストアが間近に迫ってきました。ここまでの疲れが軽くなっていくのを感じます。
そして!正午。ついに、銀座アップルストア店内に入ることが出来ました。銀座の街に正午の鐘が鳴り響いています。なんというタイミング。私の耳には、まるでファンファーレのように聞こえます。先頭集団のハイタッチは恒例となっていますが、300番目ともなると、行列の皆さんも静かに店内に入っていきます。でも、ここまで並んだんですもの。ぜひ、恒例のハイタッチをしたい!(番組的にも)入り口の店員さんに「ハイタッチお願いします!」と頼んだところ、快くハイタッチしてくれました。

料金プランやら、初期設定やらの手続きで、無事にiPhone5を手に、店を出たのは午後2時過ぎ。昨夜銀座に到着してから、実に16時間が経過していました。そして、この日すぐ、夜10時からiPhone5の検証番組を放送したのでした。怒濤の24時間でした。

●スタジオでiPhone5の実機紹介。

iPhone5。実機についてはもう、ネットでもメディアでも、色々と取り上げられているので、ここで改めてお伝えする必要はないでしょう。iPhone5、薄くて軽いです。美しいです。それにつきます。ネットで取り上げられているように、地図機能がレベルダウンしてはいますが、いわゆるガラケーから初めてスマートフォンにした私にとっては、快適そのもの。自席を持たないノマドワーカーですし、仕事の現場もいつも違う場所。出先でちょちょっと色々なことが調べられる。TwitterもFacebookも楽々。写真をとるのも楽しい。これはいいですね。電池の減りが早いのが難点です。

余計なお世話かもしれませんが、今後Apple行列に並ばれる方へのアドバイス。
1、並んでいる間は適度な運動を、水分もこまめに。

2、コンビニや24時間営業のマクドナルドなど、トイレを貸してくれる場所のチェックを。借りるだけなのも悪いので、ちょっとしたものも買いましょう。

3、お天気に恵まれるAppleの新製品発売日ですが、今後はわかりません。土砂降りの夜もあるかも。雨具の準備を。って、土砂降りだったら、並ぶのやめますかね。

4、なるべく、友達と一緒に。一人は、辛い。と思います。並ぶのも友達と時間を共有するからこそ、乗り越えられるのかも。TwitterやFacebookで気持ちの共有、もありですが、一人だとトイレや買い出しなど、身動きが取りづらいのが難点。場所を離れている間に行列が進んでしまっていたりします。

39歳、2人の幼い子どもの母親です。が、銀座に徹夜で並んで、iPhoneを手にするとは。予想外でした。一等地に寝そべって見上げた、銀座の空。仲間と過ごした心地の良い夜。一生忘れないことでしょう。それにしても、Appleの新製品発売の夜は、本当にお天気に恵まれます。明るくなってから、雨が降ることはありましたが。来年のiPhone6(iPhone5s?)の発売日はどうでしょう。もう、並ぶことはないとは思うのですが、分かりません。冒頭で悲喜こもごもと書きましたが、振り返ってみると、「悲」はなかったかな。「喜」ばかりでした。このコラムが、今後Apple製品で並ばれる方の参考になれば幸いです。