リブロ池袋が、7月20日海の日に閉店します。あと半月あまり。池袋駅、そして池袋西武から直結の書店、リブロ。
「リブロ、閉店、理由」などで検索すると、何やら大人の事情です。1975年9月にオープンしちょうど40年。節目の年に閉店とは、なんとも残念です。
5年前にも、池袋西武からのイルムス撤退のことを書きました。現在、無印良品が入っているイルムス跡地。思えば大学当時、あの場所にはアールヴィヴァンがあったっけ。美術専門書と当時はまだ触れる機会が少なかったアート関連の商品が並んでいました。明治通りを見下ろせる併設のカフェで、カウンター席に座ってアイスティーとか飲みながら色んなことを吸収したんだと思います。大学を卒業するころにアールヴィヴァンが閉店。私よりもっと前の世代の方は、西武美術館やアールヴィヴァン登場時の勢いと衝撃を懐かしく思われることでしょう。アールヴィヴァン閉店からおよそ20年、イルムス閉店から5年、そしてリブロ。池袋からカルチャーがまたひとつ消えます。
明治通りから無印良品を入って地下へ降りるとリブロ。あるいは、西武池袋線地下改札近くの池袋西武から食品売り場を左に眺め、たい焼きの香ばしい匂いをかぎながら地下通路を進むとリブロ。改めて考えると、駅直結とはいえリブロへのアクセスってちょっと面倒だったんですね。売り場は別館と書籍館に分かれてるし、別館もリブロは地下のみで1、2階は無印良品だし。案内図を改めて見ても、ちょっとしたダンジョンです。
書籍館のエントランスも池袋線各駅停車しか止まらないホーム改札近くにあるのですが、裏通りでちょっと不便。(江古田からなら各駅のみなので利便性がいいのでしょうか)。それでも駅から直結の書店、雨の日などは重宝しました。
ちなみに現在、別館と書籍館をつなぐ地下通路にリブロ池袋のイベント一覧が掲示されています。年表を眺めていると、あぁ、このイベント行った行った!という懐かしい気持ちになります。またAゾーンリブロの顔ともいえる柱には、リブロと関わりのあった作家がサインをしています。
別館地下一階にある絵本の専門店、わむぱむ。子どもが産まれてからよく足を運ぶようになりました。
先日、このわむぱむで詩人谷川俊太郎さんのサイン会がありました。小学校の教科書から慣れ親しんでいた谷川さんの作品。大学の頃はリブロで詩集を買い集めました。「クレーの絵本」や「モーツァルトを聴く人」などなど。
現在でも、小学校国語の教科書に谷川さんの作品が掲載され、息子が学んでいます。サイン会で「あの人が谷川俊太郎さんだよ」と息子に教えると、なんだかポカンとしていました。教科書に載っている人が目の前にいるなんて、実感がわかないのでしょう。リブロは、遠い存在の作家に会える機会を与えてくれる場所でもありました。
リブロに来て、本の背表紙をみて、手に取って眺めてると、なんだか気持ちが豊かになりました。何か本を買って池袋線に乗ると、ワクワクしました。でも最近は。リブロで消費していたかというと、そうでもありません。本はインターネットで「ポチる」ことも。閉店の理由は赤字だから、というわけではなさそうですが、たいして消費をしていないのに閉店を惜しむのも身勝手かもしれません。
リブロの特徴でもある本のディスプレイ。書店員さんのこだわりが随所に見られました。児童書売り場でも、子ども達の関心を引きつける工夫がありました。
もうすぐ七夕。書店員さんが書いたものでしょうか。「世界中の子どもたちが心に残る1冊に出会えますように」胸を打ちました。
時代が変わっても、心が豊かになる場所でありますように。子ども達が何かを吸収できる場所になりますように。ちょっぴり消費もしないとかな。
2015年7月1日
増子瑞穂
twitter.com/massykachan